来年5月に主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)がある三重県の伊勢志摩で、同じころに計画した修学旅行の日程変更を迫られる小学校が相次いでいる。サミット関係者の宿泊が優先されるのに加え、広範囲で警備が敷かれ、旅程への影響が避けられないためだ。

 大阪府岸和田市の小学校は、志摩市賢島(かしこじま)地区に来年5月26、27両日に泊まる修学旅行を計画。だが、旅行会社から日程も場所もサミットと重なると今夏に知らされた。ホテルからも「1カ月後なら空いている」と言われ、6月中旬に遅らせた。それでも校長は「行き先や訪問施設での体験内容を変えるのはひと騒動。助かった」と話す。

 学校側はふつう、1年以上前から修学旅行の準備をする。大勢の生徒の交通手段や見学施設、宿の確保は大変だ。行き先を変えると、下見のやり直しや旅費の積み立て調整などで旅行のメドが立たなくなる恐れもある。このため、日程は変えても、行き先は変えずに実現しようとする学校が多い。

 来年5月の連休明けからサミットまでに大阪市内の小学校11校(約500人)が企画した修学旅行では、団体専用列車を運行する近鉄と相談し、各校が旅程を5月末~6月初旬に再設定した。1年以上前から予約済みだったが、体験学習などの行事が予定通り実施できるかを心配した結果だ。

 2008年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、洞爺湖温泉街への修学旅行を中止する小学校も出た。英国大使館が使ったホテルでは、複数の学校が「警備でスムーズに移動できない恐れがある」として宿泊予約を取り消した。このホテルの幹部は「翌年も一部の学校は戻ってきてくれず残念だった」。別のホテルの社長も「修学旅行は1回断ると次が続かない」と語る。

 13年の三重県の調査では、12年度に伊勢志摩へ修学旅行に来た小学生(引率者を含む)は約5万人。大阪、兵庫、京都など大半が関西からで、5月と10月に集中する。毎年5月に受け入れる鳥羽市の宿泊施設の支配人は「時期をずらして来てくださいなんて、勝手なことはこちらから言いにくい」と悩む。

 外務省はサミットでの宿泊候補施設の視察を始め、三重県は各施設へ「個別に予約を受けるのは控えてほしい」との要請文を送付。賢島近くのホテルの幹部は、来年4月下旬からサミットまでの間で5校の修学旅行の予約を断ったと明かす。「最終的にサミット関係者に譲ることになれば、学校に迷惑をかけることになる」(原篤司、荻野好弘)