| ●2004/03/11 A tale of two girls |
このムービーは、日本とアフリカのシェラレオネで生まれた二人の女性の現実の話です。 二人は同じ地球上に同じ人類として神に祝福されて生まれてきたのに、その辿った人生は全く異なるものでした...。 WHOのサイトから(要Flash playerプラグイン) http://www.who.int/features/2003/11/en/ 中段の"A tales of two girls"と書かれたリンクをクリックしてください。 |
| ●2004/03/07 発見!! |
火星探査機Spiritは2004年3月5日、ついに火星表面上で異種生命体に出会った。 生命体は黒い表皮に包まれ、丸い頭部に大きな二つの円形の突起を持つ小型の動物で、なぜか我々が既視感をもつ形状を... http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/press/spirit/20040305a/09-sg-02-mickey-A061R1_br.jpg Mickey! |
| ●2004/03/06 バニーちゃんの追跡 |
火星探査中のオポーチュニティの前に不思議な"もの"が現れた。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/spotlight/opportunity/images/b19_Opp_Mission_Success_crop_040302151804_br.jpg ちょっと見るとバニーのような"耳"が出ているのだが、この物体を追い続けるうちに科学者たちは気づいた。なんとこの耳が動いているのだ。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/spotlight/opportunity/images/b19_bunny_movie.gif 更に追い続けると、突然この"もの"は消えてしまった。 追跡班は、オポーチュニティが火星へ降りた日の写真の中に同じ"耳"を発見する。それはローバーの足元にあった。コンピューターの解析で、全く同じ大きさのものであることも確認された。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/spotlight/opportunity/images/b19_under_lander_closeup_040302153451.jpg さて、このバーニーちゃんはいったいなんだろう。 残念ながら生物ではなさそうで、おそらくランダーの一部、エアバッグなどの破片であるようだ。 ふと気がつくと周囲を全てこの耳が取り囲んでいたりすると、展開としては面白いのだが、と素人は無責任にも思うのである。 |
| ●2004/03/02 "Significant findings(重要な発見)"明日NASA発表 |
精力的に火星を調査中のRoverの1台、Opportunityから得られた"重大な発見"について発表が明日早朝にあるそうだ。 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2004/mar/HQ_N04038_rover_press_brfg.html 先に着陸したSpiritが故障から回復した後、岩石を削り分析したり、更なる遠くのクレーターに向かって出発したのは知るところだが、Opportunityはさて何をしていたのか、と聞かれると即答できない。 ホールインワンしたOpportunityはカップから出た後、 砂遊びをしたり 日没に見入っていたり 恐竜の骨のような堆積岩だか火成岩だかを削ってたんじゃなかったっけ...? 別のクレーターに向かったSpiritが見つけた新発見ならば"氷があった"とか言い出しそうだが、Opportunityの周りにはこれというものは見当たらなかったので、岩石の成り立ちについての発表だろうか。 楽しみである。 |
| ●2004/02/13 誰もいなかったはずなのに... |
クレーターの壁の向こうにオポーチュニティが見つけたもの。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/press/opportunity/20040209a/Descent_Stage-B016R1.jpg 誰もいなかったはずの地平線に光っていたのは...。 (koreha,ma-zuro-ba-no backshell to parachute desu.) |
| ●2004/02/06 青春の光と影 |
爾来われわれ日本人は、光をあらわす時に反意語的に「影」という表現を用いてきた。 「星影やさしく...」「月影さやかに...」「赤影参上...」 最後のはちょっと違ったけれど、「影」といっても別に暗い様子を表しているわけではなく、逆に明るいさまを示しているのだ。 最近、歌手のさだまさしの書く本が話題を呼んでいる。最近映画化もされた短編「解夏(げげ)」では、ベーチェット病で失明する主人公に、同じ病気を患ったいわば先輩の患者さんが話す印象深い言葉がある。失明することは真っ暗闇に突き落とされることではない、と彼は語るのだ。いぶかしがる主人公に彼は続ける。闇とは光を感じる人に存在するもので、視力を失ったものにはもはや暗闇というものは存在しない、いうならば白い霧の中にいるようなものだ、と。 陽が無ければ陰という概念はなくなる。陰と陽はいつもペアになっているのだ。柳の木の下に幽霊が出るのは、柳が陽の木だからだそうである。鍵があるのは錠と組み合わさるためだとも言える。 サダム・フセインが潜伏していた(?)壕が、観光名所になることを防ぐために埋められるのだという。ただ埋めただけではあとから調査が必要になった時困るので、穴を保存するためにコンクリートを詰めるのだそうだ。なるほど、埋めることで「穴」は存在しなくなるが、あとで調べたくなったら穴を鋳型にしたコンクリートを掘り出して観察すれば良いのだ。穴とコンクリートはいわば鍵と錠のように陰陽の関係にある。 高校生の頃、東京に住んでいたので山手線をよく利用していた。朝や夕方のラッシュアワーには、周囲の人間に押され文字通り足が宙に浮くようなこともあった。そういう時私は、今自分の周りの人達の中にちょうど自分の形をした空間ができていて、そこにすっぽりはまっているのだな、と感じることがあった。蜂の巣やジグゾーパズルのようにお互いが変形しあい支えあって陰と陽になり、人の集合全体を形作っているのだ。それは不思議な感覚だった。 人間の存在も同じことか。自分が存在することで必ず周囲に何かを与え周囲を変化させることになる。逆に周囲が変化することで自分に与えられるものも。自分がいなくなることで周りが失うもの反対に得るもの(あるいはしばらく周囲がその点で振動するだけかもしれないが)いろいろあるに違いない。 |
| ●2004/01/29 帰ってきた放蕩息子 |
マーズ・エクスプロレーション・ローバー・オポーチュニティがクレーターの中から蟻地獄の壁の画像を送ってくる一方、火星の反対側ではスピリッツの故障が直りつつある。混沌の眠りからさめたスピリッツが送ってきた写真が一枚。 「私は誰?ここはどこ?みんなどこに行ってたの?」 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/press/spirit/20040128a.html まもなくはっきり覚醒するに違いない。まずは一安心だ。 こちらは人類が火星表面に残したローバーの足跡。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/press/spirit/20040123a/3-labeled_640-A20R1.jpg バルーンでバウンドした軌跡やヒートシールドが残した新しいクレーター(?)が宇宙(マーズ・グローバル・サーベイヤー)から見えて面白い。 一発勝負のビーグル2がどこかの岩の間にでも挟まって壊れてしまった経過などを見ていると(本当は誰も見ていた人はいないが)、機能を分担させた小型ロボットを何世代にも分けて複数送り込むというNASAのアイデアはプロジェクト全体でのリスクを軽減させるという点で成功しているようだ。たぶんコストダウンにも役立っているのだろう。 利用法のはっきりしない国際宇宙ステーションを巨額をかけて維持するより天体探査の方が、未知を探求するという人間の特性に合っているかもしれない。 ぜひハッブル望遠鏡の予算の方も削るなんて言わないで続けて欲しい、ブッシュ様。 |
| ●2004/01/22 専守防衛 |
「やあ、富士君。久しぶりだね。」 「このごろ学校を掻きまわしているお騒がせ枢軸トリオ、喧しい奴らだよね。ジョージ君にいろいろ教えてもらって、僕はちょっと賢くなったよ。」僕はぞくりとなんだか悪い予感がした。 「でも、非暴力が君の主義だよね?」 「その通りさ。だから僕はいつもお菓子を配っている。今度はジョージ君に頼まれて隣のクラスに配りに行くことにしたよ。でもね、もしお菓子を配っているところに石が飛んできたらどうすればいいだろう。僕はよけてもいいかな?」 「そりゃそうだろ。」 「逃げたらどうだろう?」 「一度行くって言ったんだから、戦場で途中で逃げたら卑怯者扱いされるよ。」 「それなら、投げようとする相手の腕をちょっと抑えてもいいよね。あるいはその時ちょっとばかり抑える力が入りすぎて相手の腕が痛かったとしてもそれは非常時だから暴力とは言わないな。僕は意外に力が強いから相手の腕が折れちゃうかもしれない。」富士君は僕の眼をじっとのぞきこんだ。僕はつばを飲んだ。本当なんだ。みんな弱いと思っているけれど、実は富士君はこっそりトレーニングしているから握力は学校中で4番目に強いんだ。 「いっそのこと相手が石なんか投げる気にならなくなるように教室を荒らしても許されるよね。みんなの平和のためだからこれは暴力ではないし。いや待て、他の生徒に化けてトリオが襲ってくるかもしれないからみんなさいしょからやっつけてしまえ。ぐふふふ。まて、がっこうにくるまえにまちぶせしてまっこうからひねりつぶしてギタギタニフミツブシテ...」 「富士君!ちょっと富士君!先生ー!富士君が大変だ!誰か来てー!」 |
| ●2004/01/17 Summer Time |
夏の終わりに海岸に吹く風は、閉められたホットドッグ屋の看板を揺らし、もう馬が降ろされて錆びついたメリーゴーランドをキイキイと鳴らす。誰もいない砂の丘の上で、濡れた肌の上に冷たい風が鳥肌の模様を作るのを見ている...。僕は砂丘を駆け下りる。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/press/spirit/20040116a/2R127428271FFL0300P1004R0M2-A13R1.jpg レイ・ブラッドベリの小説にでも出てきそうな風景だが、もう皆さんもご存知の通り、地球上ではなく火星の上の話。錆びついたメリーゴラウンドではなくて、火星表面に無事降りたスピリットがローバーの基地をちょっと振り返っているところ。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/press/spirit/20040116a/mi-A13R1_br.jpg こちらは地面の顕微鏡拡大写真。 異界の風景のはずなのに、なぜかちょっとだけせつないような懐かしいような。誰もいない広大な異星の表面で動いているスピリッツに投影している自分を感じる。 |
| ●2004/01/12 Stand up and walk up ! |
☆火星探査機スピリットは無事に6本足で立ち上がることができた。 と書くと、それほどたいしたことではないようだが、実は案外複雑な動きをしなければならない。 この一連の動きはJPLにムービーがある。(要QuickTime) http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/video/movies/mer_ch_egress_part2.mov 特に前足に当たる車軸の動きが面白い。 ただし立ち上がっただけでは駄目で、この後お立ち台から降りなければならないのだが、実はここが難航している。 クラレ社の作った丈夫なバッグの話は先日書いたが、これが(丈夫過ぎて?)上手くしぼまずに進路を邪魔しているのだ。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/press/spirit/20040111a/navcam_egress_arrow-A9R1.jpg 本来この写真で見る降りる方向はほぼ下正面なのだが、この方向に行くとバッグに"羽"(太陽電池モジュール)が引っかかる可能性がある。 そこで台の上で回転させ、黄色い矢印の方向にバックして降りる予定なのだ。地球上での模擬テストはうまくいった。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/press/spirit/20040111a/EgressTest-A9R1_br.jpg あとは遠隔操作でうまくいくかどうかだ。火星までは指令の電波が到達する時間差があるので、実際にはスピリットが半自律的にこの操作を行う必要があるのだ。ここでしくじっては泣いても泣ききれない。 ☆Norton AntiVirus 2003をお使いの方にサポートニュースが出ています。 「Norton AntiViurs 2003 で 2004 年 1 月 7 日以降、コンピュータの動作が異常に遅くなり、Microsoft Word や Excel が起動できなくなった」 http://service1.symantec.com/SUPPORT/INTER/navjapanesekb.nsf/jp_docid/20040108142217958 ☆手のかかる子ほど可愛いのかもしれない。うちの車の修理ノートを書き始めました。→実験室へどうぞ。 |
| ●2004/01/09 Bag to The Future |
マーズ・パスファインダーとマーズ・エクスプロレーション・ローバのエアバッグには、小さくたためて広がりやすい、しかも破けたり裂けたりしない素材が選ばれている。そうだろう、どの位の衝撃が加わっているかはJPLのムービーを見るとなんとなくだが想像できる。(要QuickTime) http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/video/movies/mer_ch_edl_TerrorPt3.mov この素材(鉄と同等の強さを持つ繊維だとか)「ベクトラン」は実は日本のクラレ社の発明だ。 マーズ・エクスプロレーション・ローバのエアバッグの製作にはクラレの子会社クラレ西条があたった。 このベクトランは強靭さを生かしていろいろなところで使われている。 国内では、JAXAが研究中の成層圏プラットフォーム(SPF)の実験機にも使用されていた。 http://www.kuraray.co.jp/press/2003/030811/030811.html クラレ社は単に製品を開発するだけではなく、近頃理科離れが進んでいるという子供達への社会教育活動も行っているらしい。 http://www.kuraray.co.jp/press/2003/0530/press0530.html こういう企業の姿勢が、社員のモティベーションをも高く保っているのだろう。 |
| ●2004/01/07 I, Robot |
マーズ・エクスプロレーション・ローバ・スピリッツは昆虫のような愛嬌のある形をしている。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/artwork/rover3browse.html 広げた太陽電池パネルが羽のようであるし、立体視可能なカメラと測距儀が首を伸ばしたカマキリのような印象を与え、マーズ・パスファインダー・ソジャーナよりも有機的なフォルムに見える。遠く離れた異郷の地でかいがいしく働く様子がなんとなく想像できるような愛らしい形だ。 私はソジャーナがその業績に比較して、意外に小さかったことに驚いたことがある。スピリッツもその大きさがよくわからない、と思っていたらJPLのサイトにわかりやすい写真があった。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/spacecraft/mer2_021003_br.html 大き目のテーブルワゴンぐらいの感じだろうか。ソジャーナよりはるかに慣性重量が増しているだろうに、よくエアバッグの衝撃に耐えたものだ。 これが着陸船全体。 http://marsrovers.jpl.nasa.gov/gallery/spacecraft/livespacecraft02_br.html しかしアメリカ人というのは本当に陽気な人種だ...。 |
| ●2004/01/04 The Catcher in Space |
アメリカの火星探査機、"マーズ・エクスプロレーション・ローバ"第1弾の"スピリット"が無事に火星に着陸し映像を送ってきた。 着陸の仕方は映画"レッドプラネット"でも写っていたのでご存知の方も多いかもしれないが、パラシュートと逆噴射で減速し最後は乱暴にもエアバッグで弾みながら着陸する。NASAの動画にもあったが、あんな勢いで弾んで内部のロボットが壊れないのか不思議なぐらいだが、コストや重量の点で一番合目的なのだろう。 宇宙開発をする人達の間では"火星に行く途中にはモンスターが棲んでいて探査機を次々に食べてしまう"とまことしやかに言い伝えられている。JAXAの探査機"のぞみ"も、ESAの"ビーグル2"も失われており、この夏の地球と火星の接近以降連敗していた調査(The Year of Mars Rush)でようやく探査機が下りることができたことになる。 NASAは1月2日にも"スターダスト"がビルト2彗星に接近して資料の採取と写真撮影に成功(http://stardust.jpl.nasa.gov/images/stardust_wild2.jpg)しており、面目躍如というところか。(もっともNASAは99年の"マーズ・ポーラ・ランダー"も失っているので、成功続きというわけでもないのだが。)この穴ぼこだらけの彗星の表面の写真もインパクトがある。人類が見る彗星の核のこれほど詳細な写真は初めてではないだろうか。 この彗星の塵を受け止めたAerogelという物質(http://science.msfc.nasa.gov/newhome/headlines/msad05feb99_1.htm)も興味しんしんだ。ゼリーの中の水分を空気に置き換えたもので、人間が作り出した固体の中で最も比重が軽いのだとか。棒寒天のようなものを想像したが、あんな風にしわしわに縮んではおらず、写真ではもっと透明度が高い。 "マーズ・エクスプロレーション・ローバ"は25日にも第2弾の"オポチュニティ"が着陸するので、こちらも楽しみだ。 |
| ●2004/01/03 Fly me to the moon 3 |
届いたNexStar4GTRは、だっこちゃん人形を一回り大きくしたぐらいの大きさだった。ほぼ想像した通りの理想的な大きさだ。 マクストーフカセグレン式というのは、反射式(凹面鏡式)と屈折式(凸レンズ式)を足して2で割ったような構造をしており、焦点距離の割には鏡筒がとても短くすむ(およそ普通の屈折式の三分の一、反射式の三分の二程度)という長所があるのだ。ただし、補正板といわれるレンズの役割をする部分の精度をだすのが難しく、一昔前にはこの方式の望遠鏡は目の玉が出るほどの値段だった。今のこの値段で一般人が気軽に入手できるようになったのは、コンピューターによる設計技術と成形技術の進歩の賜物だろう。ちなみに製造は中国製。(近頃"Made in China"が多いが、製造技術の輸入による10年後の中国の製造力がおそろしいようだ...。) さっそく日の暮れるのを待つのももどかしく外に出る。附属の三脚を広げても良いのだが大きくてわずらわしいので、デッキのテーブルの上にデンと載せる。(本当は、精度を出そうと思ったら三脚は必要です。)星の導入のための基準合わせも、望遠鏡の指示通りに進めれば良いので楽なことこの上ない。 かくしてイージーな天空の旅のはじまりと相成った。 もし以前の私が見たら、どう思うだろう。"汚れつちまつた"私に肩をすくめて苦笑いするかもしれない。 一方今の私の方は、昔かなわなかった夢がチープにかなって、うれしいようななんとなく寂しいような...。いや、もちろんうれしいに決まっている、と日記には書いておこう。 |
| ●2004/01/02 Fly me to the moon 2 |
最近の望遠鏡には、自動導入という機構が備わっていて見たい対象の天体を指定するだけでそれを自動的に視野に導入してくれるものがある。 星を一つづつたどりながら星雲や星団を探した世代の私からはまさに隔世の感がある。もちろん当時も自動導入装置はあった。しかし、それはごく一部の専門業種用のものであり、高価で大きく一般アマチュアにとっては高嶺の花だった。というよりそういう装置が一般に使えるようになるなどということは思いもよらなかった。 昨年、新しい小型望遠鏡を買った。私が持っていた歴代の数台の望遠鏡はすべて自作のものだったので、メーカー製の望遠鏡を購入するのは実は初めてだった。 仲間と作った山の中の観測所には自動導入装置が備わった大型望遠鏡があるのだが、星が見たくなるたびにわざわざ車を駆って山の中まで行くのは、その前後の仕事の調整や算段、生活の準備やら山小屋の掃除やらを考えるととても気が重く、自動導入装置のついた小さな望遠鏡、空が見たくなったらひざに抱えて気軽に子供と一緒に庭に座れるような"お気楽望遠鏡"が欲しくなったのだ。 購入したのはCelestron(セレストロン)社のNexStar4GTRという機種。 http://www.celestron.com/prod_pgs/tel/nx4gt.htm 海の向こうではなんと大体$500弱程度で売られているという。日本でも三脚付き保証付きでそれほど大きな差がなく入手できるのだ。 (つづく) |
| ●2004/01/01 Fly me to the moon |
旧年中はいろいろお世話になりました。 昨今、全国的に小児科医の数が足りないことが指摘されています。 小児科は医療界での3K科とも言われ、ハイリスクローリターンの故新しい成り手が激減していることがその原因とか。 ストイックに治療や研究に情熱の全てを尽くすことが美徳であった旧世代に属する私にとってはまことに青天の霹靂のようなことなのですが、「厳しい条件でも権利を主張せずに黙々と働いてきたことが却って今のような状況を呼んだのだ」とも世の人達に責められ、目を白黒させるばかりです。 最近の医学生の間では、定時出勤で患者さんの命に関わることが少ない、要するに生命に関する責任が少ない科が一番人気なのだとか。 医療界でも、若者が世界を動かすような夢を持つことができない今の世相を反映する状況となっていますが、これも「こういう世の中を作ってきた我々の責任だ」と言われれば、なるほど反論できない自分がいます。 私が今所属している病院も、小児科医の減員が引き金になり、住民のニーズと現実に提供できるサービス内容との離開が理由で軋轢が生まれ、結局小児科が閉鎖される方向です。 さて今年一年どうなることでしょうか。小児医療全体についても自分のこととして真剣に考えざるを得ないような波乱の年となりそうです。 昨日は終日曇っていたのですが、夕方突然晴れ上がったのであわてて望遠鏡を取り出してしばし月を眺めていました。上弦のすっきりとした良い形の月でした。人の世の中はなかなかこのようにすっきりとはいかないですね。 |