中国の物価統計は、GDP統計以上に驚異的な早さで公表される。9月の消費者物価指数の発表は10月14日。国土の狭い日本ですら、10月30日であるにもかかわらず……。物価統計は多くの品目を綿密に調べるため、算出に時間がかかる数値。国土が広い中国がどう調査しているのか、その方法は謎に包まれている。
これまで述べてきたとおり、中国の統計を握っているのは「政府そのもの」。失業率、物価上昇率といったデータは信用できず、「本当のGDP成長率」がどうなっているのかを知ることは極めて困難だ。
だがそれでも、類推することはできる。
中国にも、「まともな統計」としてある程度信用できる指標がある。貨物輸送量、電力消費量、銀行融資残高の3つだ。
その根拠は、内部告発支援サイト「ウィキリークス」が、'07年に公開した李克強首相の発言。李氏は遼寧省党委書記を務めていた当時、「中国のGDP統計は人為的であるため信頼できない。経済評価の際に重視するのは、貨物輸送量、電力消費、銀行融資だ」とはっきりと語っている。
「李克強指数」といわれるこれら3つの指標を正しいとして、GDP統計を算出した調査結果がある。それによれば、'15年のGDP成長率は2・8%。中国が発表した6・9%増の半分以下だ。
だが、私の試算ではこの数字はまだ甘い。中国の「本当の成長率」はさらに厳しいものだ。
中国のGDP統計を算出する上で、「李克強指数」以上に信頼できる指標がある。
それは、輸入統計だ。中国の輸入は相手国から見れば輸出にあたり、その値は各国が公式に発表しているのだから、輸入統計は誤魔化すことができない。
「中国ショック」にそなえよ
中国の今年1~9月の輸入総額は、前年比15%も減少している。輸入が前年比10%以上も減少しているときに、GDPがプラス成長ということはまずあり得ない。絶対に、と言ってもいい。6・9%増などもってのほかだし、2・8%すらも大きく下回っていることは間違いない。
そう言い切れる理由は、10ヵ国以上の世界の先進国の輸入の伸び率とGDP成長率が、確かな正の相関関係にあることがわかっているからだ。このことは、「一つの変数が、もう一方の変数にどれだけ影響を及ぼすか」を導き出す、回帰分析という手法によって明らかにされている。
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