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霞ヶ関の施策は、厳密に評価されてきたのか

 日本の経済成長をイノベーションに基づいたものに切り替える必要がある、と言われて久しい。そしてそれには政府による産業政策が有効であるということが長い間言われてきた。こうした、技術革新に基づく経済成長のための産業政策というアイデアの出発点は1980年代に遡る。

 1979年、通産省(当時)は「1980年代の産業政策ビジョン」の中で「技術立国」というコンセプトを提唱した。背景には、明治時代から日本が目指してきた「欧米先進国経済へのキャッチアップ」という課題が、1970年代までに完了したという認識があった。

 1990年代以降、日本経済が長期停滞に陥ると、技術革新の役割がさらに強調されるようになった。さらに90年代には、製造拠点の海外移転による「空洞化」の解決策として、イノベーションによる新規産業分野の創出が期待された。今世紀に入ってから少子高齢化の問題が顕在化してくると、持続的な経済成長のためにはTFP(全要素生産性)の上昇に期待するしかなく、経済構造改革と技術革新を含む広い意味でのイノベーションの重要性が強調されるようになった。

 一方で、米国におけるイノベーション拠点ともいえる、シリコンバレーのエコシステムにも早い時期から政府の関心が向けられ、オープン・イノベーションの重要性、産学協同の必要性、知的財産権の取り扱い方などが議論されてきた。2000年代のはじめには、日本の技術革新システムも、従来の「自己完結型技術革新システム」から「開放・連携型」への移行が不可欠である、という見方が経済産業省によって強調されるようになった。

効果が見えないイノベーション政策

 本稿では、いままでの日本におけるイノベーション政策の主なものを振り返る。特に問題とするのは、30年以上にわたるイノベーション政策の効果が、必ずしも明らかではないことである。日本経済の長期停滞状態を払拭するような、イノベーションに基づく経済成長のシステムはいまだ確立されておらず、現在進行中のアベノミクスにおいてもイノベーション政策が大きな課題になっている。

 そこで、この課題克服のために政府はいま何をやるべきかを論じる。本稿は、我々がNIRAの委託で、櫛田健児(スタンフォード大学)、Richard Dasher(スタンフォード大学)、原田信行(筑波大学)の各氏と行った共同研究をもとにしている。詳しい研究成果は、Institutional Foundation for Innovation-Based Economic Growth ダウンロード可能)を参照されたい。


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