岡田匠
2015年11月2日07時50分
霊園や納骨施設の運営に乗り出す神社が、全国で増えている。神域にあたる境内は避けて近隣の土地を活用し、全国で約50社にのぼるとの調査もある。少子高齢化や宗教離れに直面するなか、安定した収入確保などの狙いがある。
徳川家康の400回忌にあたる「式年大祭」でにぎわう世界遺産・日光東照宮(栃木県日光市)。車で約25分離れた山あいに墓が並ぶ。東照宮が造った、宗教は問わない霊園だ。
東照宮に氏子はいない。文化財保護などの目的で拝観料を取っているが、東日本大震災の年は拝観者が30万~40万人減った。2007年度から始めた「平成の大修理」は50年間続く。
居住地に関係なく敬ってくれる崇敬者をいかに確保するか。家康を神に祭る東照宮の関係者は「先祖を大切にすることに結びつく取り組みがふさわしいと考えた」という。
神道は死やけがれを嫌うため、神職や神としてまつる人のものなどを除いて、境内に墓は造らない。東照宮の場合、境内は世界遺産のエリアでもある。そこで6年前にゴルフ場跡地を購入。約5億5千万円をかけた第1期工事で約3万2千平方メートルを整備し、昨年4月から600基の販売を始めた。面積3~8平方メートルで永代使用料30万~82万円。申し込みは40件ほど。今後、計5千基を予定している。
柳田二郎・権宮司(ごんぐうじ)(61)は「少子高齢化で人口減が押し寄せ、新たな崇敬者を確保していかないと祭りも行事もできなくなる」と危機感を抱く。
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朝日新聞社会部
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