中国が「インドネシア高速鉄道計画」を受注したかったワケ=中国メディア
2015-10-21 08:40

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中国が受注することが決定したインドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画は、日本は2008年から事業化調査を行うなど、受注競争においては中国よりも先行していたと考えられていた。
一方の中国は、莫大な費用がかかる高速鉄道の建設において、インドネシア政府の財政負担や債務保証を伴わない計画を提案して受注を決めた。中国側の条件はほとんど旨味のない内容にも見えるが、中国メディアの央視網は17日、中国がインドネシア高速鉄道を受注した目的について論じる記事を掲載している。
記事は、インドネシア高速鉄道の建設計画について、中国鉄路総公司の関係者の話として「政府が計画をアレンジしながらも、実際に事業に当たるのは両国の企業同士」だと指摘し、こうした事業形式は中国の鉄道輸出にとって「新しい形」だと論じた。
さらに中国とインドネシアの企業同士による合弁会社という形で建設と運用を行うことで、インドネシア高速鉄道は「インドネシア政府の財政負担がなく、債務保証も不要となった」と指摘した。
一方で、インドネシア高速鉄道は中国にとって事業としての旨味が少なく、ビジネスとしての将来性について懸念を示す声があることを伝え、「損をしてでも、中国高速鉄道をアピールしたいだけなのではないか」という疑問の声まで存在すると指摘。だが記事は、中国がインドネシア高速鉄道を何としても受注したかったのには理由があることを指摘し、「中国高速鉄道のブランド化」と中国政府の「一帯一路」戦略の推進という長期的な視点に基づいての受注であると主張した。
特に、中国を中心とした現代版のシルクロード経済圏を構築するという「一帯一路」戦略においては、インドネシア高速鉄道とともに東南アジア各国に高速鉄道を建設し、互いに連結させるという戦略につながるものであると主張。また、旅客運輸収入においても、乗客の1人あたり運賃を20万ルピア(約1770円)と見積もれば、年間3兆2000億ルピア(約283億円)は見込めると主張し、事業として利益をあげることも十分可能だと主張した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)captainimages/123RF.COM)