ごみ拾いに密着! “ハロウィーン狂想曲”渋谷で見た「意外な光景」〈dot.〉
dot. 11月1日(日)9時40分配信
サッカーW杯や年末のカウントダウンを思わせる混雑ぶりだった、ハロウィーンの渋谷。昨年は翌日のごみ問題などが報じられたが、今年はどうなっているのか。祭りの後の渋谷を歩いてみた。
ハロウィーンである10月31日が今年は土曜に当たることから、渋谷区や東京都は事前に策をとっていた。東京都は、10月17日から31日まで都内で開催されるハロウィーンイベントの参加者に、「HALLOWEEN & TOKYO」限定の”カボチャのごみ袋”を配布し、「クリーンなハロウィーン」を呼びかけていた。一方、渋谷区は民間の団体と連携して「ハロウィンごみゼロ大作戦in渋谷」を実施、仮装の際に「家で着替え」することや、ごみの持ち帰りを呼びかけていた。
これらの活動は効果があったのだろうか。11月1日の早朝、渋谷の街に降り立った。
駅を出てまず目にしたのは、渋谷駅付近でごみ拾いをするオレンジ色のジャンパー姿の男女数人。聞けば、渋谷ライオンズクラブのメンバーだという。この日ごみ拾いをしていたメンバーのひとり、小林もよさんは次のように話す。
「渋谷ライオンズクラブの活動のひとつとして、もともと月1回、渋谷区でごみ拾いをしていたんです。今回はハロウィーン後のごみが大変だという話を聞いていたので、イレギュラーでごみ拾い活動を行っているんです」
しかし、実際にごみ拾いをしてみると、意外な光景が見られたという。
「実際にやってみると、思ったよりごみが少なくてびっくりしました。昨日のハロウィーンも、子どもたち、小中学生くらいの子たちがごみ拾いをしていく光景が見られて。イベントを楽しむのはいいことなので、終わってからもそんな風に後片付けしてくれるといいですよね」
続いてはスクランブル交差点を渡ってセンター街へ。日曜ということもあって、ここでは昨日に引き続き、まだ仮装姿のままの人も多い。ゴミ収集場所と思われる場所には、うずたかくごみが積まれており、なかには昨日使用したであろう、着ぐるみのようなものが捨てられている場所もあった。
そんななか、白いごみ袋を持った人々と何度もすれ違った。よく見ると、ごみ袋には映画「ゴーストバスターズ」でおなじみのゴーストマークが描かれている。センター街をごみ拾いしながら歩く、彼らに話を聞くと、これは「SHIBUYAハロウィン・ゴーストバスターズプロジェクト」という活動の一環だという。参加男性は次のように説明する。
「これは西野亮廣(お笑いコンビ・キングコングのひとりで、現在は絵本作家としても活動)さんが発案した活動なんです。ハロウィーンのごみ問題が報じられていますけど、実際になくそう、と言うだけではなくならない。それなら片づけ自体も楽しめる活動にすればいいんじゃないかということで、ネットなどで呼びかけをして、集まってごみ拾いをしているんです」
ハロウィーンはゴーストの仮装などをすることから、ゴーストが出したごみを片付ける、ゴーストバスターズになろうという活動だ。これは現在開催中のアートイベント「TOKYO DESIGN WEEK」の一環として行われており、集めたごみで最終的にトラッシュアートを作るという。
ちなみに、センター街やハチ公前などの主要な部分は比較的きれいだが、「裏通りや細い路地はごみが多い印象」だと言う。参加していたのは20代〜30代の男女が多い印象で、なかにはまだ小さい子どもの姿も見られた。
渋谷に降り立ったのは7時前だったが、時間を追うごとにこうしたごみ拾いの人々は増え、8時前にはごみ袋を手にする多くの人が通りを歩いていた。ごみ収集車がひっきりなしに走っており、主要な通りはどんどんキレイになっていく。昨年とはすっかり様変わりした街に驚かされた。
サッカーW杯ではスタジアムでごみ拾いをする日本人の姿が報じられ、3.11の混乱時にも、レジで整然とした列をつくる日本人に海外から称賛の声が集まった。そうした日本人の美徳ともいえるものが、今年のハロウィーンには表れたのかもしれない。
ただ気になったのは、今回ごみ拾いをしていた人たちに「ハロウィーンは楽しみましたか?」と尋ねると「家で普通に過ごしていました」と答える人が多かったことだ。ハロウィーンを楽しむ人が同じように片づける意識を持ってくれれば、よりよいイベントになっていくのではないだろうか。
(ライター・横田 泉)
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