【コラム】日本のように他国のものを自分たちのものと受け入れる賢明さが必要

企業の国籍に噛み付いたところで一体何の利益になるのか

 それゆえ、韓国で「企業の国籍」というフレームの威力は強力だ。サムスン物産と第一毛織の合併をめぐるサムスングループとサムスン物産大株主のエリオット・マネジメント(米国系ヘッジファンド)の対立は、韓国企業とこれを手に入れようとする外国資本という構図で人々に理解され、一方的な雰囲気になった。韓国投資公社(KIC)がエリオットに投資したという理由で非難され、国会でまでこれを問題視する声が出た。

 経営権をめぐるロッテグループ創業者一族の争いでも、「ロッテは韓日どちらの企業なのか」が大きな関心を集めた。国会議員から創業者次男の辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)韓国ロッテグループ会長に対し「サッカーの韓日戦ではどちらを応援するのか」という質問まで飛び出した。

 だが、企業の国籍が重要だということと、国籍で対決意識を持つこと、そしてこれに公の場で言及することは全く違う問題だ。時にはBMWのように他国のプライドを守ってやり、時にはLINEに対する日本のメディアのように他国のものさえ自分たちのものとして受け入れる賢明さが必要だ。

 排他的な姿勢は、結局は損失につながる。サムスンとエリオットの対決が表面化して以降、株式市場で8兆ウォン(約8500億円)ほどの外国人資金が引き揚げられた。そのほとんどは米国の利上げをにらんだ売りだったのだろう。だが欧米のメディアが韓国の排他性を批判的に伝えた後だっただけに、後味が悪い。また、国籍論争の対象となったロッテは日本で一部の嫌韓派から非難を受けている。

 国会議員たちは、エリオットの存在が国民の利益になるという意見を出すことはできなかったのだろうか。韓国人創業者が日本で苦労して成功したロッテの国籍問題を口にしないという融通性を発揮することはできなかったのだろうか。

 国籍問題がことさら関心を集めているのは、私たちが国という中心軸を切実に必要としていることの表れかもしれない。だがそれでも、胸にしまっておく賢明さを忘れずにいよう。いたずらに敵を作って何になるというのか。

崔洽(チェ・フプ)朝鮮経済iウィビ研究所長
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