【コラム】「正しい歴史」よりも早急に解決すべきこと

 このような状況にあるならば、その解決策を示すために奔走しなければならないのは政界だ。だが最近、与野党は政治理念をめぐる争いに明け暮れ、歳月を費やしている。政府が歴史教科書を国定化する方針を打ち出したのと前後し、政治家たちは「親日(日本の植民地支配に賛同、協力)独裁勢力」「従北(北朝鮮に追従)勢力」などといったレッテルを貼り、むき出しの非難合戦に没頭している。次期大統領選挙の有力候補でもある与党セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表と野党・新政治民主連合の文在寅(ムン・ジェイン)代表は以前、若者の雇用創出をめぐって政策競争を繰り広げた。ところが、来年の国会議員総選挙の候補者公認規則をめぐる党内の対立のため、次第に迷走するようになり、今では外部の敵がはっきりしている歴史教科書論争に没頭して、若者たちからそっぽを向かれてしまった。与野党は現在巻き起こっている政治理念闘争を総選挙まで持続させ、自分たちの支持層を固めようともくろんでいるため、政界で若者たちに関する問題が注目される可能性はさらに低くなっている。

 若者たちのために年長者たちが正しい歴史観を持たせる機会を与えるというのは大事なことだ。国家の将来が懸かってくるかもしれない。だが、与野党がこれを戦略的に活用する一方、早急な対策が求められる現実から目を背けていては、政治の本領が何なのかが不明確になる。実際、国民の大部分は壮大な政治理念よりも、生計の問題への関心が強い。そして「チュンシギバンド」に見られる若者たちの常識的な生計への渇望は、より差し迫ったものになる。

崔承賢(チェ・スンヒョン)政治部次長
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