主婦Kさん(43)は友人のアドバイスを受け、インターネットを通じ、違法な盗聴アプリ(アプリケーション=応用プログラム)「スパイアプリ」を50万ウォン(約5万3000円)で購入し、捜査を受けた。警察の調べに対しKさんは「夫が会社の女性社員と不倫していると思い、スパイアプリをダウンロードした。今までに一度も犯罪を犯したことはないのに、こんなやりきれない状況で警察の世話になり、死にたいという気持ちだ」と話した。ソウル中央地裁の裁判官は「配偶者と不倫関係にある人の実名や写真、勤務先などをSNSにアップし、名誉毀損(きそん)容疑で告訴され処罰されるケースもかなり多い。本人は悔しいかもしれないが、法的には厳然たる犯罪だ」と話した。
法曹界では、姦通罪の廃止によるこのようなデメリットを、裁判所の慰謝料引き上げによって解消すべきだと指摘している。姦通罪が廃止された時点でも、法曹界では不倫した配偶者が支払う慰謝料が増額されるのと見通しを示していた。ところが、依然としてその額は1000万-5000万ウォン(約106万-530万円)程度となっている。裁判所は、慰謝料の引き上げは現実的に容易ではないと説明する。ソウル家庭裁判所の関係者は「姦通罪が憲法違反との決定が下った後、慰謝料の引き上げが必要かどうかについて議論があったが、各裁判所が自主的に決定することだという結論が出た。交通事故の慰謝料とは異なり、家事事件の慰謝料は内部の事情を一つ一つ調べて判断しなければならず、それが難点だ」と話した。