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 参院比例区選出の現職議員96人のうち、業界団体や労組の「組織内候補」の29人が関係する政治団体が、参院選があった年の1~8月に政治活動費で平均5665万円を支出し、残り67人の3・5倍だったことが、朝日新聞の調べで分かった。

 96人が代表の政党支部や資金管理団体、後援会など計302団体の政治資金収支報告書を集計した。陣中見舞いや広報宣伝費などを計上する「政治活動費」について、参院選があった2010年と13年で投開票翌月までの1~8月分を調べた。

 96人のうち、業界団体や労組が組織内候補と認めた29人の支出は平均5665万円。12人は自民で7320万円、17人が民主で4497万円だった。他の67人は1605万円だった。最多は日本医師連盟(日医連)が擁立した羽生田俊(たかし)氏(自民)で約1億7521万円。全国農業者農政運動組織連盟の山田俊男氏(自民)が約1億6547万円で続いた。

 13年に当選した羽生田氏の関連6政治団体は「ポスター代・発送代」に約422万円などを支出。日医連から計2億7500万円の寄付を受けていた。日医連担当者は「全国の開業医への支援呼びかけなどに役立ててもらった」という。ある業界団体の担当者は「公示前の選挙活動は公職選挙法で禁じられ、投票を依頼しない政治活動の形をとっている」と話す。

 岩井奉信・日大教授(政治学)は「業界代表の擁立は悪くないが、政治活動費が他議員の3・5倍は驚き。行き過ぎると日本歯科医師連盟の政治資金規正法違反のような問題が起こりうる」と話す。(贄川俊、中村信義)