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日中韓首脳会談:定例化で合意 来年は日本が議長国

毎日新聞 2015年11月01日 17時27分(最終更新 11月02日 00時56分)

 【ソウル小田中大】安倍晋三首相と中国の李克強首相、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は1日午後(日本時間同)、韓国ソウルの青瓦台(大統領府)で会談した。日中韓首脳会談は2012年5月以来、約3年半ぶり。3首脳は日中韓首脳会談を再び定例化し、次回会合を日本で来年開くことで合意。共同宣言を採択し、「歴史を直視し、未来に向かう精神の下、諸課題を適切に対処する」との文言を盛り込んだ。

 ◇共同宣言「歴史直視」明記

 会談で3首脳は、首脳会談の再定例化を確認し、共同宣言には「16年に日本が議長を引き継ぐことに期待」などと明記した。安倍首相は終了後、李氏、朴氏との共同記者発表で「来年は日本でのサミットを議長国として主催し、実り多きものにしたい」と強調した。

 会談では、朝鮮半島の非核化や北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の再開に向けた協力を確認。安倍首相は北朝鮮の拉致問題について、政権の重要課題であることを強調し、早期解決に向けて中韓両国に協力を求めた。

 経済分野では、日中韓の自由貿易協定(FTA)交渉の加速化とともに、東アジア地域の経済統合に向けて努力することで一致した。11月末からパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)について、全ての締約国に適用される合意形成に向けた協力を確認した。

 歴史認識問題を巡っては、中韓両国が「政治・安全保障の面における葛藤と反目をもたらす問題を解消できずにいる」(朴氏)などと安倍首相の歴史観に対する疑念を示唆。首相は8月に発表した戦後70年の首相談話について説明し、「歴代内閣の立場は揺るぎない」と理解を求めた。また、共同宣言に盛り込まれた「歴史を直視」などの文言は、今年3月の日中韓外相会談の共同報道発表での表現を踏襲した。

 一方で、日韓の間で懸案となっている旧日本軍の従軍慰安婦問題や、中国が国際社会から非難されている南シナ海での岩礁埋め立てについての言及はなく、3カ国が一致点を見いだすことを優先したことをうかがわせた。

 このほか、主要20カ国・地域(G20)首脳会議やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議など3カ国がかかわる国際会議の成功に向けて緊密に協力することでも一致した。

 会談は2時間の予定で始まり、約1時間35分行われた。日中韓首脳会談は08年から毎年持ち回りで開催していたが、12年の韓国の李明博前大統領による島根県・竹島上陸、日本による沖縄県・尖閣諸島の国有化などをうけて、日本と中韓両国との関係が悪化。12年5月に北京で開催して以来、途絶えていた。

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