益々拡大するEM技術活用による瀬戸内海地区の環境改善活動
下関市王司漁協でもEM団子で干潟の土壌改善に挑戦中
愛媛県上浦町では小学生による環境改善活動が親や行政を動かす
町民向け「上浦町EMのてびき」を発刊
 瀬戸内しまなみ街道の中心に位置し観光地として売り出し中の愛媛県越智郡上浦町(小野功町長、約3600人)では、平成12年度から始まった町立上浦小6年生による環境改善活動が潮取りと呼ばれる調整池のヘドロ削減やアサリの復活等に成果を上げ、親や町による環境問題への取り組みに強い影響を与えている。同町では平成14年9月には第2回瀬戸内海EMサミット(第1回瀬戸内海環境フォーラム)を隣接する大三島町と共同で開催。更に、上浦町役場が学校や関係者の協力で「上浦町EMのてびき」を平成15年12月に発行して全戸に配布するなど生徒たちの活動を契機に<楽しみながら自分にあった環境改善を進めよう>という活動の輪を広げている。

EMの資材販売、製造、配布、活用ルートも確立
 現在同町では、EMの原料資材販売を漁協組合が一括して取り扱い、EM活性液の一次培養は上浦小学校と町役場が担当している。一般町民には町内5箇所の集会所に500ccのEM活性液入りペットボトルを置いて無料提供し、全町を挙げた環境改善活動を進めている。また、EM技術活用による環境改善活動が町村合併後も継続拡大できるようNPOの立ち上げ準備も進められている。

生徒は<EM100のチャレンジ>で自主活動を拡大
 生徒たちの河川浄化活動は、平成15年3月に京都で開催された第3回世界水フォーラムでも発表され参加者に大きな感動を与えたが、活動の範囲は河川の浄化に留まらず、給食の食べ残しや清掃で集めた落ち葉で<堆肥つくりと花の栽培>を実現するなど校内リサイクルにも拡大している。また、平成14年度からは、生徒の自主的な実践と観察による<EM100チャレンジ>活動が進められ、子供たちの目線で取り上げられたユニークな報告が続出している。


給食残飯の校内リサイクルに取組む
愛媛県上浦小の生徒たち
広がる漁業、農業へのEM技術活用
 上浦地区では、地元漁協がヒラメの中間育成に、人間の健康と環境改善を目指す農家・家庭菜園グループ(越智資行代表17戸)が無農薬野菜づくりに、柑橘類栽培農家が海草等による堆肥づくりにEM活用を進め徐々に成果を上げている。

山口県全域に広がるEM活用による環境改善と漁場復活への活動
山口県漁協連合女性部がEM技術の導入を推進
 山口県漁協女性部連合会(岡本千代子会長、約8,000人)では、平成15年5月の総会に浦上卓三U-ネット運営委員(瀬戸内海環境会議理事)を招き「EM浄化活動と豊かな海づくり」と題した講演会を開催し女性が先頭に立って環境改善活動に乗り出すことを宣言している。同講演会は女性たちに大きな反響を呼び起こし、総会での講演をきっかけに県内各漁協支部から次々と講演依頼が出て平成15年中には20回にも及ぶ講演会が開催された。山口県橘町で浦上水産を経営する浦上氏は、こうした女性部を中心とした環境改善活動の盛り上がりに対応するため女性連合会52支部に対して、同氏が所有するEM基地からEM活性液を無償提供する事を申し入れ、既に、連合会の運送費負担(1000円/20L)により実施されている(浦上氏)。また、女性部会では生活者の立場から最近開発されたEM石鹸の普及を通して家庭からの環境改善を推進したいとの意向もある(同会長)という。

下関王司漁協では干潟の土壌改善にEM団子を活用
 山口県下関市の王司漁協(矢儀伸治組合長、330名)では、平成15年6月開催の総会で<EM団子を活用した干潟土壌の改善活動推進>を決定し、同年7、8月の2ヶ月間に毎日10人を越す組合員のボランティア協力で25,000個のEM団子を作り、全組合員の手で海岸から800メートルの干潟に投入している。EM団子は<50cm間隔に竹棒を突き刺さす>という独特の方法で潮の干満による流失を防止している。既に土壌が赤色系から黒色に変化しており、最終目標であるアサリ・ハマグリの復活に期待を寄せている。平成16年以降も継続してEM団子を投入し漁場の復活を期す(矢儀組合長)としている。

EM先進地・内海町との交流が生んだ環境改善活動
 広島県北東部の山間地に位置し自然を生かした町づくりを目指している神石町(宮野元壮町長、約1100人)では、平成14年4月から同町のシンボル的な存在で貴重な観光収入源となっている神龍湖をEM技術で浄化するという作戦を展開している。これは、以前から友好交流協定を結んでいる内海町の先進的な環境改善に着目していた神石町が、平成13年にボランティア団体・神石町EM普及協会が発足した機会をとらえ、本格的なEM技術の導入を図ったもの。平成14年度には250万円の予算を捻出してEM活性液の培養装置・拡大活性液培養タンク等を購入して役場、集会所、神龍湖の3箇所に設置。ボランティアの手で培養し移動車両も活用したEM活性液の投入を進めている。夏季には、小中学生も参加してEM団子をつくり、2年間で18,000個の団子を神龍湖に投入している。また、同町では無農薬の米づくりや生ごみのリサイクル運動も進め循環型社会の構築を目指しているが、既に約3割の家庭が米のとぎ汁EM発酵液を活用するなど環境改善への意識が高まっている(同町福祉課)。

瀬戸内海から山間地、大都市圏へと拡大するEM技術の活用
 広島県内海町から始まった<自分たちが汚した自然は自分たちの手で回復させよう>という実践活動は、EM技術の活用により瀬戸内海で漁業を生業とする人たちから、ボランティア団体、学校、行政へと人々の輪を広め、産・学・官・ボランティアの協同作業に発展している。そして今、自然が一杯と思われていた山間地の環境問題にも、改善は絶望的と思われていた大阪などの大都市圏での環境改善への動きにも大きな影響を及ぼし始めている。



霞ヶ浦町のボランティア団体がEMによる水族館池の浄化に成果
 茨城県新治郡霞ヶ浦町(郡司豊廣町長、約18,700人)のボランティア団体・よもぎ会(小貫弘子会長、23名)は、会員の飯塚敏夫さんを中心に平成15年5月から町内霞ヶ浦淡水水族館前庭のアクアラビリンス(水の迷路)と鯉池への米のとぎ汁EM発酵液投入を進め、「悪臭が消えた、透明度15cmであったのが底まで見えた、堆積していたヘドロが解消した、鯉の病死が激減した」等の成果を上げている。作業は、EM1と糖蜜で100倍のEM活性液をつくり、米ぬかを使って2倍の希釈発酵液(米のとぎ汁EM発酵液の大量安定品)にして、毎月1回〜2回200リットルのタンクから点滴投入するという方法をとっている(飯塚さん)という。行政も議会もこうしたボランティア活動に注目し、町長自らが現場や処理方法を確認しており、予算措置などのボランティア支援強化に取組んでいる。
霞ヶ浦全域の浄化活動への布石に
 飯塚さんたちは、<霞ヶ浦流域住民30万戸の3割が米のとぎ汁EM発酵液を流せば環境保全はもとより霞ヶ浦の浄化につながる>との想いを胸に、同町を流れる一の瀬川の浄化作戦にも土地整理組合との合意のもとに取組んでいる。また、活動の輪を霞ヶ浦全域の市町村に拡大したいとして、平成15年には同町の女性部6団体へのEM講習会、町内各小学校への働き掛けを進めており、関係機関による協力と支援が期待されている。

霞ヶ浦の浄化に取組むよもぎ会
霞ヶ浦の浄化に取組むよもぎ会
(小貫会長・左から2人目、飯塚さん・右端)


青森発癒しの住宅EMハウス
 約10年前頃から社会問題化した特定化学物質による『シックハウス』は、国土交通省の基で平成13年10月から対策検討が始まり、昨年7月の改正建築基準法の中で同対策も施工開始された。その概要は建材から発散するホルムアルデヒドの発散等級に基づく使用制限等建材に関する物と、購入家具等からの発散に対する換気の基準であり、濃度の許容に関した対応規制であるため、人によってはまだ不十分な場合もある。

癒しの東屋
癒しの東屋
 今回、北東北の木村運営委員の案内で3軒のEMハウスを見学した。
 平成10年竣工の浪岡町の教育委員会教育長成田氏宅は建設時に某ハウスメーカーの理解が得られない事(コンクリートへのEM資材混入他)に対して、ご夫婦による可能な限りの活性液、パウダー、EM炭等での対応がなされ、昨年、床下診断したメーカー担当者から「この床下はおかしい。黴臭さもなく、気持ちが良い。」とのコメントがあったように、床下確認時には爽やかな空気を感じた。紙面の関係上詳細は割愛するが詳細な経緯と住み心地を含めた内容は『EM健康ハウス奮戦記』に懇切丁寧にまとめられている。(問い合わせ先(企)縄文開発(017-764-5739))

 平成14年に竣工した上記木村氏の離れ家(約13坪)は(有)ゼネラル・エンジニアリング(縄文開発理事を兼務する溝江代表)により活性液(1/100濃度、60℃)に1〜3日浸潤させた間伐材等を活用して造られ、非常に心地よい空間で、善循環の輪の構想、青森県を含めた地球環境改善の検討、執筆活動時に活用されている。また、半年前に竣工した溝江氏の会社によるEMハウスは、コンクリート、木材、接着剤等建設資材に徹底してEMを使用したことにより、シックハウス対応住宅でさえ影響を受けた見学者からも「この家では全く影響がない。」との話があったと伺った。また、この住宅は、廃熱の有効利用も徹底されており、以前に比べ暖房用灯油の使用量が半減したとのことであった。建設コストも大手ハウスメーカーによる一般的単価に比較しても安く、高品質、低コストが図られていた事も補足しておきたい。

 なお、今後、新築、リフォームを検討する際には、日本各地でEMハウスの実績も広がっていることから、EM情報誌エコピュア24、35、46号を合わせて参照して検討されることをお薦めしたい。



EMネットはりま 世界文化遺産(国宝)姫路城お濠浄化 継続中
〜EMあんしん野菜朝市も毎週開催〜
 世界文化遺産に指定され、国宝としても有名な姫路城。ここのお濠もEMで浄化が続けられている。活動しているのはEMネットはりま(代表 植木房幸さん)。姫路市小利木(こりき)町の自治会婦人部が中心になり、2年前より週1度のEM投入を地道に続けている。休んだのはお正月時期に3度程度で、期間をずらして投入量を増やしたという。朝早く、毎週休まずに続けるのは非常に労力がいると思うのだが、「損得でなくやっているので続けられること。」と、自治会婦人部会長の岩成さんはあっさり。取材当日は体が縮こまってしまうほどの寒さだったが、皆さん作業がびっくりするほどすばやく、さすがに手馴れた様子。残念ながら成果がまだ充分あがっておらず、現状維持が続いているとのことだったが、資料上では透視度も10cmあがっており、昔のようにたくさんの生物が出てくるなど、成果をはやく目でも確認したいとのことだった。「EM浄化の場合、ある日突然すっきりと水がきれいになることがあると聞いている。励ましてくれる人も大勢いるのでやめられません。」と植木さん。継続は力なりである。

 また、そこから離れること車で10分。約4年前より続いている朝市にお邪魔する。ここは約10軒の農家が集まって自作の野菜等をテントで販売しているスペースで、代表の植木さんはEM資材の販売等も行っており、EMに関して質問をされるお客さんにも丁寧に対応していた。以前はそれぞれの近所で、販売をしたり配ったりという程度だったが、「せっかく健康によい安全でおいしい野菜なのだから」と、定時に集まって販売することにした。売上も上々で、多い日にはすべてあわせて約13万円のことも。安心して買うことのできる野菜をいっぺんに購入できるのだから、消費者にもメリットのある非常に画期的なアイディアだ。こちらも天気に関係なく週一回で開催しており、安心、安全でおいしい野菜に固定客も多いとのこと。「お客さんにどこまで通じているかは分からないが、自分達は確実に良いものを提供している意識がある。」との声もあって、環境、健康に意識の高いプロの農家の方ばかりだった。


上:小利木町自治会婦人部の皆さん(右端が会長岩成さん)
下:EMあんしん野菜朝市の皆さん(前列右端がEMネットはりま代表 植木さん)
 取材に淡々ながらも真剣に答えてくださった皆さんからは意思の強さが見られ、姫路の地に着々と粘りをみせて継続しているEMに、歴史の側面が重なって見えた。


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