時事通信が報じたように日本は「人身売買の送り先」だとアメリカ国務省の年次報告書に記載されている。
米国務省は27日、世界各国の人身売買の実態をまとめた年次報告書を公表した。日本については「強制労働や、子供を含む売春の人身取引の被害者が送られる国」と改めて明記。各国の取り組みに対する4段階の格付けで、11年連続して上から2番目の評価に据え置いた。
これについては、お膝元のアメリカはどうなっているのかを指摘しておく必要がある。この “人身売買” が「アメリカの後ろめたい隠し事」だと BBC から批判されていることを紹介しよう。
イアン・パンネル氏が『性的人身売買:搾取された子供たちの生涯に渡る葛藤』という記事を書いている。その記事の一部を翻訳していこう。
アメリカでは貧困、剥奪、搾取といったものが数十万人もの子供たちを暗い闇社会へと突き落としている。
これはごくわずかなアメリカ人だけが知る世界だ。だが、数十万人ものアメリカの子供たちが毎年性的に搾取されているものと考えられている。
毎晩何百人もがセックスのために売買されていると信じられているのだ。
昨年600人もの子供たちが専門機関によって救出されたにも関わらず、FBI は子供への性的虐待は流行レベルだと述べている。
“人身売買” は一般的に「他国の人々が大陸や海を密航し、外国の地で彼らの意に反して労働させられるイメージ」を想像させている。人々はメキシコや中南米からアメリカに人身売買されるのだ。しかし、アメリカでは毎晩のセックスのために売買される大部分はアメリカの子供たちである。
我々は驚くほど類似した恐ろしい話を東海岸から中西部までの数々の女性たちから話を耳にした。ネグレクト(育児放棄)、虐待、搾取、無視といったものは若い年代から始まっている。時には彼らを保護するために訴訟が起こされることもある。
良心、見知らぬ人からの親切、そしていくつかの法執行機関や FBI の仕事ぶりはアメリカの最も脆弱な点を救う手助けをしている。しかし、私が耳にした話はアメリカの最高水準の1つを傷つける最大の後ろめたい隠し事であることを示唆している。
選択が選択でない場合:
ミネソタ州では私は "Breaking Free" と呼ばれるアドボカシーグループを介して、元セックスワーカーと会った。彼女たちがセックスのために最初の売られた時、グループの女性の半数は18歳未満であった。他の女性も18歳よりはるかに上ということはなかった。
ある女性は14歳の時に彼女の叔母によって買われたと言う。
「叔母は私の母に900ドルを与え、私にショッピングモールに買い物に行こうと言うのです」
叔母は彼女をドラッグの売人宅へと連れて行き、彼女はそこでレイプされ、薬物を投与された。
「叔母は私を置き去りにし、そして“あんたが台無しにしたのよ、あんたが留まりたがったのよ”というようなことを言った」と彼女は振り返った。彼女はすぐに虐待が失敗であり、選択であったと信じていた。
多種多様なエピソードを長々と紹介する意図はない。身内が子供を人身売買し、その子供が不幸になるという話は世界中どこでも起きているということだ。他国で発生する『人身売買』を厳しく指摘するアメリカでは、自国民が被害の大半を占めるということを BBC が指摘している。
これらはいずれも一部の極端な例であり、アメリカの実像とは異なるという意見もあるだろう。
だが、その意見は受け入れられる見込みは低い。構図としては慰安婦問題の実態と似ているからだ。それが今現在のアメリカで発生しており、解決の見込みが立っていないのだ。
おそらく、慰安婦問題で日本を厳しく糾弾しているニューヨークタイムズ紙が先頭に立って被害にあった子供たちを救う運動を展開してくれるだろう。
NYT のマーティン・ファクラー君やコネチカット大学のアレクシス・ダデン君が自国の子供たちの人権を軽視するような非愛国者であるとは思えないからだ。それに “モラルを掲げて日本人を裁くが、自分たちには同じモラルを適用しない卑怯者” ではないだろう。
日本に批判の声をあげるアメリカン・リベラルは “日本版シュガー・ダディー” を問題視する暇があるのなら、アメリカ人の子供たちを助け出す方に注力すべきではないだろうか。