香港にある中国銀行支店。中国の銀行が公表する不良債券比率に不信感が集まる=中国(ブルームバーグ)【拡大】
格付け会社フィッチ・レーティングス在籍時に中国での08年以降の与信拡大に警鐘を鳴らしたことで知られ、今はオートノマス・リサーチで働く朱夏蓮氏は、トップダウン型の手法で分析を進めている。朱氏はオートノマスの同僚と共に、中国が08年以降の与信で得る経済的リターンが小さくなり始めたことを受け、どの程度の資金が無駄になっているのかを試算する。同じような債務急増を経験した日本などの経済データからヒントを得ている。
朱氏の主眼は従来型の銀行融資ではない。シャドーバンキング(影の銀行)を含めたより大きな視点に基づくと、不良債権比率が20~21%、もしくはそれ以上であることが示唆されているという。BNPパリバのジュディ・チャン氏やCLSAのパトリシア・チョン氏ら一部アナリストは数千に及ぶ上場企業のバランスシートの分析というミクロからスタートしている。チャン氏は中国工商銀行など香港に上場する中国の銀行の不良債権比率を約9%と推計。チョン氏は業界全体で6.1%以上だとみている。(ブルームバーグ Jun Luo、Paul Panckhurst)