香港にある中国銀行支店。中国の銀行が公表する不良債券比率に不信感が集まる=中国(ブルームバーグ)【拡大】
中国が世界の成長を牽引(けんいん)する原動力であり続けるか、それともバブル崩壊後の日本のように「失われた10年」を繰り返すのか。そうした議論の中心となっているのが中国で積み上がっている不良債権の規模だ。中国銀行は29日、同行の四半期ベースの不良債権引き当てが2006年の上場後で最大となったと発表した。
取材したアナリストらは不良債権の水準を測ろうとうするアプローチこそ異なるが、結論は同じだ。つまり公式に発表されている1.5%という不良債権比率は低過ぎるということだ。
米リスクコンサルティング会社クロールの上級マネジングディレクター(香港在勤)であるバイオレット・ホ氏は中国の銀行が報告する不良債権をめぐる数字をそれほど信じたことはない。関連会社間での資産の移し替えから不良債権だと認めたくない銀行の財務実態隠しに至るまで、中国全土であまりにも多くのいかさまを目の当りにしてきたためだ。「中国企業の財務状況を懸念する人々向けに一つアドバイスがあるとすれば、懸念するのが正解だということだ。中国企業に関するクレジットリポートは無意味なことがたびたびだ」と指摘する。