健康

日本における死因第3位の「肺炎」、なぜ起こる?


2013.03.01

1950年から2010年までの日本における死因別死亡率の推移

日本では肺炎で亡くなる人が年間12万人を超え、死因別の統計でも2011年に脳血管病を抜いて、がん、心臓病に次ぐ第3位になっている(グラフ参照)。肺炎による死亡者の約97%が65歳以上で、高齢になるほど多くなる。肺炎の主な原因は、「肺炎球菌」の感染。肺炎対策としては、かぜやインフルエンザの予防に努めると同時に、肺炎球菌ワクチンの接種が勧められる。この肺炎球菌ワクチンについて、東北大学加齢医学研究所教授で呼吸器感染症に詳しい渡辺彰さんにうかがった。

 

*  *  *

肺炎はさまざまな病原体によって起こるが、主な原因は細菌で、なかでも最も多いのが「肺炎球菌」だ。肺炎球菌はふだんから口内や皮膚にいる細菌の一種で、健康な若い人ではあまり感染症を起こさないが、高齢者や、慢性の心臓病や肺の病気、糖尿病などの持病があって免疫の働きが低下している人では、肺炎を起こしやすく、また重症化しやすい。高齢者の場合、肺炎の典型的な症状が現れにくく、発見が遅れがちなことも治療を難しくする。

 

それだけに予防が重要で、日常生活のなかでの感染予防対策と併せ、ワクチン接種が有効だ。感染リスクの高い人では、肺炎のきっかけにもなりやすいインフルエンザの予防ワクチンとともに、「肺炎球菌ワクチン」の接種が勧められている。

 

■『NHKきょうの健康』2012年12月号より

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