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有名論文、うのみは危険? 精神医学、治療効果の信用度37%

 著名雑誌に掲載され引用の頻度も高く信頼性が高そうな論文であっても、精神医学の分野では、その論文が推奨する薬剤などの治療効果の信用度は約37%にとどまる、とする調査結果を、京都大医学研究科の大学院生で精神科医師の田近亜蘭さんがまとめた。現場の医師に論文の結果をうのみにしないよう警鐘を鳴らす内容で、英精神医学誌でこのほど発表した。

 医学分野の論文は高頻度に引用されていても信頼性は必ずしも高くないとする海外の調査結果がある。特に精神医学分野では、死亡や心筋梗塞の発症といった客観的な評価指標を用いることが難しく、論文の信頼性に疑問ももたれていた。

 田近さんは、2000~02年に「ニューイングランドジャーナル」や「ランセット」など医学・精神医学の分野で著名な雑誌8誌に掲載され、出版後3年間で30回以上引用された論文計約2600本から、精神科の治療法を内容とし、後に同じテーマでより緻密な研究デザインの新規論文がある43本を元論文として抽出。元論文を新規論文の内容と比較したところ、新規論文と同程度以上に治療法の効果が確認できたのは16本のみで、別の16本では効果が否定された。元論文の方が、効果を過大に評価する傾向が見られた。

 例えば、元論文の一本では、患者20人に対する臨床試験の結果から統合失調症の治療薬である「オランザピン」が難治性うつ病に「大きな効果がある」としていたが、患者数288人の大規模の臨床試験を基にした新規論文では「効果なし」となっていた。

 田近さんは「研究者や現場の医師は、有名論文であっても、惑わされずに批判的にチェックする必要がある。特に小規模の臨床試験で大きな効果を報告している論文には注意が必要だ」と話している。

【 2015年11月01日 09時20分 】

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