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<仙台いじめ自殺>教員の意識改革不可欠

越直美氏(こし・なおみ)北海道大大学院法学研究科修了。02年から弁護士。早大大学院非常勤講師を経て、09年に米ハーバード大ロースクール修了。12年1月、当時36歳で最年少の女性市長として大津市長に就任。大津市出身。

◎教訓とするために(上)大津市長 越直美さん(40)

 仙台市泉区の館中1年の男子生徒=当時(12)=がいじめを苦に自殺した問題は、5日に校名が公表され、男子生徒の死から1年以上たってようやく同校の生徒や保護者に事実が説明された。痛ましい死を二度と繰り返さないため、今回の問題を教訓としてどう生かすべきか。過去にいじめ対応を経験した首長と元校長、元教育委員長に聞いた。(仙台・中1いじめ自殺問題取材班)

<二重三重の窓口>
 −2011年10月、大津市の中学2年男子生徒がいじめを受けて自殺し、大きな社会的関心事となった。その後、市の自殺防止の取り組みはどう変わったか。
 「市長部局に『いじめ対策推進室』と『大津の子どもをいじめから守る委員会』を新設し、弁護士や臨床心理士らの専門家が子どもや保護者から直接相談を受けて対応している。学校には相談しにくいことなど、埋もれていた声が聞こえるようになった。子どもに徹底的に寄り添い、今までと違う解決方法を図ることができるようになった」

 −同様の相談窓口は学校や市教委にもある。
 「重複し無駄に見えるかもしれないが、窓口を二重三重にして、一方に相談しにくいときは他方に相談できる体制が子どもにとっては重要。1カ所だけではうまくいかず、(解決に向け)先に進まないことがあったと思う」

 −市教委の取り組みは。
 「教育委員の交代で活動を活発化させた。月1、2回程度の形骸化した活動だったのを平均月7回に増やし、専門家として直接学校にも足を運んでいる」
 「市費約2億円を投じて、ほぼ全ての市立小中学校に担任を持たない『いじめ対策担当教員』を配置し、校内でのいじめの情報を集約し情報共有に生かしている。いじめやその疑いのある事案を発見したら24時間以内に市教委に報告する、24時間ルールも設けた」

<対策 終わりなし>
 −仙台のいじめ自殺で市教委は当初、遺族の意向を理由に校名を伏せた。生徒や保護者に説明せず混乱が広がった。
 「遺族の意向に反して進めることはできない。一方で周りにアンケートをして聞かないと(全容が)分からないし、周りの子どもたちが立ち直るために説明する必要もある。公表の必要性を学校と市教委が遺族に説明し、納得していただく努力が重要。遺族の意向が変わることもあり、時々の意向を聞くことが大切だ」

 −いじめ対策で重要なことは。
 「大津では組織や制度が大きく変わったが、最後は教員一人一人の意識が変わらないといけない。学校に地域の目を入れて市民に開かれた空間にしていく必要がある。対策には終わりがない。いじめはどこにでもあるという姿勢で、できることは何でも取り組むことが重要だ」


関連ページ: 宮城 社会 いじめ自殺

2015年10月27日火曜日

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