女性じゃなきゃダメなんだ


翌日になり、Mちゃんが来ました。

さっぱりしたボーイッシュな装いに、3つ穴が開いた薄い耳たぶには、いつもと違う石のピアスをしていました。

「昨日、髪切ったの」

そう言ってクシャクシャと髪を撫でながらリビングに入ってくるMちゃん。

「さっぱりしたねぇ。似合ってるよ」

私が褒めると、無言ではにかんでくれました。

そういう仕草の一つ一つにキュンとしてしまいます。

今まで何とも思わなかった彼女の癖や仕草が、たまらなく愛しくなるのです。

「んー(>_<)Mちゃん、抱き締めたいよぅ」

当時の私は、心の声がそのまま駄々漏れ状態でした。

「sumiちゃん素直すぎ」と笑うMちゃん。


少し緊張していた体が、ゆるやかに解れて行くのを感じました。



他愛のない会話をしながら、一時間、二時間と過ぎていきます。

Mちゃんはなかなか、本題に入ろうとはしませんでした。



もういいや、こんな感じで。

この空気感が大好きだもの。

友達のままでいられたら、それで十分。

十分幸せだよ。


弱気になった心は、一生懸命に理由をつけて、自分が傷付かないようにするために必死でした。



でも、自分が一番わかっているのです。

なぜ告白したのか。


それは、友達では嫌だから

友達以上の存在になりたいから


後ろを歩けば、彼女の背中をギューっとしたくなる。

髪を撫でたい、触れたい、



友達としての『好き』を完全に越えてしまった感情を、押さえられなくなったから告白したんです。



もう、懇願に近い眼差しを向けてしまったと思います。

「Mちゃん、、そろそろ、、本日のメイントークを、、しませんか?」


私の言葉で、Mちゃんは真剣な表情になりました。

そして、頭を下げながら

「宜しくお願いします」と返事をしてくれました。




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恋をしました4


「Mちゃんあのね、Mちゃんをね、、、好きになってしまいました」


いつもの平日の昼下がり。


二人きり。


自宅のリビングで、私はMちゃんに告白をしました。


どんなタイミングで告白したのか、一生懸命だったせいか全く覚えていません。



Mちゃんは「ぇえええ!?」みたいなリアクションをしたあと、

「マジか、、えー、ちょっと、考えさせて」と。

正直、嫌そうには見えませんでした。

Mちゃんの反応は思いの外好印象でした。


「はい。ありがとう。ご検討下さい」




はっきり覚えていませんが、その日から数日間、焦らされました。


Mちゃんは、嫌だとも良いとも言ってはくれませんでした。

それでも毎日メールのやりとりはしていました。




私は徐々に諦めモードになっていきました。

既婚、お互い子供はまだ小さい、しかも同性。

そもそもMちゃんが女性をOKなのかすら聞いてなかった、、、

Mちゃんを困らせただけかもしれない、、。

私、Lの世界の観すぎだわ…。




Mちゃんに謝ろう。

普通に友達として、これからも友達として。

気持ちを伝えられただけでも良いじゃない。





そして、意を決してメールを打ちました。

『Mちゃんごめんね、返事しづらかったよね。
これからも友達として宜しくお願いします』

返事は直ぐにきました。


『そう言われると寂しくなる』


…と。

…寂しくなる?

それは、それっていうのは

まだ、脈がある??



一旦落ちかけた気持ちが一気に浮上します。


『寂しくなるの?どうして?』

ドキドキする鼓動を感じながらメールを打ちました。

Mちゃんからまた直ぐに返信がきました。

『こんなに好き好き言われた事が今までなかったから、それがなくなるのは、寂しい』

、、、なるほど。


でもそれって、、

どういう事??


『Mちゃん、ごめんね。私は、私に対するMちゃんの気持ちが知りたい』


私は、恋の駆け引きみたいなものは出来ない人間です。


それが良いのか悪いのか、はっきり言われないと分からないところがありました。


『あと1日待ってもらえるかな?明日行っても大丈夫?』

『わかった。明日待ってるね』


翌日の朝、Mちゃんは我が家にきました。




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恋をしました3


みなさんも、そうでしたか?

恋の始まり

恋の予感

好きになってしまったかもしれない

好きです!って、気が付いた時


その瞬間というのは、どんな立場でも、どんな状況であっても、甘くて、幸せ。




Mちゃんにハグされてから、私の中にもう一人の私が生まれたようでした。



夫さんを、子供を、変わらず愛してる私と、

Mちゃんのことをもっと知りたい、もっと会いたい、もっともっとと焦がれる私。




自分の全てを知りながら、ギューっと抱きしめてくれたMちゃん。


あのハグには、どんな意味が隠されていたの?




Mちゃんに対するこの気持ちが『恋』だと気付くまでに時間はかかりませんでした。


自分の気持ちを知ってしまったら、嘘をつけないのが私の性分でした。
(今はちょっと違うかなm(_ _)m)


私はMちゃんに、告白をしました。




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恋をしました2


それは、本当に突然の出来事でした。



平日の昼下がり。
いつものように遊びに来ていたMちゃんがそろそろ帰る時間になったので、見送るために玄関に行ったときでした。


いつも駐車場まで見送るので、その時も中腰で靴を履きながら、さて行こーと顔をあげたとき、じっとこちらを見ている、、見つめているMちゃんと目が合いました。


先に靴を履いて待っていたMちゃん。


ただ見ていたのではない、

何か意図的な視線を直感しました。

ですが、最近そういうことがしばしばあり、『なに?』と聞いても『何もないよ?』と言われる事が多かったので、この日も別段気に止めることなく視線を外し、


「いま開けるねぇ」


そう言いながら、玄関の鍵に手を掛けました。


けれど、カチン…私が外した玄関の鍵を、もう一度Mちゃんは締めました。


「?!」


私は何も言わずにMちゃんを見ました。


少し低い視線の先に、少しだけ不安そうなMちゃんの顔。


「Mちゃん?」


Mちゃんは、意を決したように一瞬頷きました。


そして、


「ぎゅってしていい?」


そう、私に聞きました。


「、、ん!?」


おもわず聞き返した私。


ですが次の瞬間、私の背中にはMちゃんの腕が回っていました。


それは、子供が親にするみたいな、体全部で相手を掴むような、『ギュー』でした。


思いがけない、ギューっ。


私はなんだか、ふんわりとした温かい気持ちになってしまって、

Mちゃんが自分より背が低いからなのか、
青春時代の子供だった彼女を知っているからなのか、、

母性本能?


なんだかお母さんのような気持ちになってしまい、ハグされながら、Mちゃんの背中をトントンとして、サスサスして、短い髪をヨシヨシと撫でました。



離れたあと、Mちゃんは何とも言えない表情をして

「また来るね、見送りいいから」

と玄関を出ていきました。



Mちゃんが帰ったあと、私の心は暫くフワフワとしたままでした。



久しぶりに誰かにハグしてもらったなあ、、。


ところで、どうしてハグ?

なんのハグ?



ま、いっかあ(^^)




だってなんだかとても、幸せな気持ち。




それが、私にとって恋のはじまりになりました。




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恋をしました

Mちゃんとの会話がきっかけで、なんとなく自分を知れたような感覚がありました。




相変わらずMちゃんは頻繁に家に遊びにきていたし、ほぼ毎日メールでやりとりをするようになっていました。


「いつも私ばかり愚痴ってごめんね。sumiちゃんは悩みとか無いの?もしあったら私にも話してね」

Mちゃんにそう言われて、私は自分のこと、夫さんとのことを話しました。


昔の自分を知っているMちゃんにだから話せたのだと思います。


普段お喋りなMちゃんは口数少ないまま「そっかあ、話してくれてありがとう」と言ってくれました。



私は、Mちゃんに話を聞いてもらいながら気持ちが軽くなっていく自分を感じつつも、夫さん以外の誰かと自分の秘密を共有することに、悪いことをしているような、いけない妻になっていくような罪悪感も感じていました。



ぜんぶ夫さんに話せたら楽になれる?

でも、それを聞いて夫さんはどうなる?

傷つけるかも。ガッカリされるかも。


自分がレズビアンなのかもしれないことを夫さんに言うべきなのか。
私はずっと戸惑っていました。


話したところで、何か変わるのかな。


あれからずっと男女の営みはない、それでも私たちは仲良しだよね?

子供の寝顔を見てると『夫さんに似てるなあ』って愛しくなるよ。
出掛けたら手を繋ぐし、ハグは温かくて安心する。

夫さんが帰ってくる日は腕に縒りをかけて好物を作るし、顔を見れば思わずニコッと笑ってしまう。


私がレズビアンであったとしても、私は夫さんが大好き。


それなら、なにも変わらないでしょ。
話す必要は、ないでしょう?


だけど、、きっと、
もしも話しても夫さんは
今までと変わらずに私を想ってくれるだろう。
分かってくれるだろう。

そんな、根拠のない信頼感もありました。


頭の中は、話すか、話すべきじゃないのか、ぐるぐると回っていました。







けれど、夫さんの事が大好きで大好きで、夫さんを一筋に想って過ごして来た私の日々は、もうじき消えようとしていました。





あの頃夫さんに話していたら、何かが変わっていたのかな。



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