運命


アイさんはとてもオープンな方でした。
夫さんや、私の実家にもお土産を持ってきてくれたり、私の周りの人達をとても大切にしてくれました。


そして色んな所に出掛けました。


Mちゃんとはお互いに子供がまだ小さかった事もあって、二人きりでデートらしいことをした事はほとんどありませんでした。



お日様の下で手を繋ぐとか、写真を撮るとか、そんなカップルらしい事が出来る喜びを、アイさんとは味わうことが出来ました。


たまに自宅に帰ってくる夫さんからは『sumiには普段子供を任せきりだから、俺が居るときは友達と遊びに行っておいで』なんて言われ、私は本気で羽根を伸ばしました。


遠距離でしたが、月に1度は必ず会えていたし、GWやお盆休みにはアイさんが我が家にお泊まりに来てくれました。



アイさんはどちらかと言うと体育会系の方でしたが、絵画やお芝居も好きで私達は趣味の面でも、とても話しが合いました。


水族館、美術館、ルミナリエ、宝塚観劇、劇団四季、TDR、2丁目のビアンバー。


お仲間さん達とお話する機会にも恵まれました。


アイさんとでなきゃ叶わなかった出来事が沢山あります。


自分の世界が広がって、色んな場所へ繋がっていくようなワクワク感。


新しい場所、新しい出逢い。


アイさんと一緒に居ると、何もかもがキラキラして見えました。



今思い返しても、本当に善くしてもらった記憶しかありません。


アイさんはとても一途に私を思ってくれていました。


子供達がもう少し育ったら、離婚してsumiちゃんの所に行く~なんて冗談とも本気ともつかないような未来を話してくれました。


お婆ちゃんになったら一緒に暮らそう。

でも、お婆ちゃんになる前に一緒になれたらいいね。

二人でカフェをしたいね。

ビアンバーもいいね。

そんな会話を、何十回、何百回としました。



記念日には毎回お花が届きました。

1ヶ月記念日、2ヶ月記念日、3ヶ月記念日、、お花に添えられたメッセージカードには『愛しています』の文字。

こんな大胆なカード、家族に見つかったら大変だよぉ~なんて言いながらも、とても嬉しかったです。


毎朝の電話、おはようからおやすみまでのLINE。


写真を送り合うのは当たり前で自撮りも恥ずかしくなくなりました。


だって、遠く離れた恋人にお顔を見せたい気持ち、分かりますよね(*^^*)


たまに変顔を送りあったり。


見たいし、見てもらいたい。


食べたもの、行った場所の景色、沢山撮って送り合いました。


離れていても、毎日繋がっていました。



『もっと早く出逢いたかった』

私が口ぐせのように言う言葉にアイさんは

『そうだね。でも、今だから出逢えたのかもしれないよ』

そう言ってくれました。



結婚して、子供がいる。

そんな今だからこそ出逢ったのだとしたら、それにもちゃんと意味があるよね。


この出逢いには意味がある。


ムダな出逢いなんて、きっとないんだから。


お付き合いが長くなればなるほどに、私はどんどんアイさんを好きになって行きました。



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告白


初めて出逢ってから数日後、アイさんからお付き合いをして欲しいと言われました。


自分にはsumiちゃんが必要です。

私はsumiちゃんが好きです。と。



私もアイさんの事を好きになっていたんだと思います。


ただ、自分にブレーキをかけている部分がありました。


踏み切れない、思い切れない自分がいました。



けれど、毎日続いているLINEのやりとりはとても楽しくて、アイさんの事を知れば知るほど、その人柄に惹かれて行きました。



そして『自分にはsumiちゃんが必要です』と言われた時に、情が動いてしまいました。



アイさんの真っ直ぐな物言いに、自分の気持ちを認めざるを得なくなっていました。



私もアイさんが好き。


お友達の好きとは違う、好き。



ただ、こんなことを書いたら非難されてしまいそうですが、私はこの時も夫さんへの気持ちが変わってしまったわけではありませんでした。


夫さんも好き。子供も可愛い。


家族は大切。


そこに、アイさんを好きな自分が加わった。


言葉で表すならば、そんな感覚でした。




「アイさん、私は家庭に不満があるわけではないの。家族はとても仲良しなの」


そんなことを話す私にアイさんは

「sumiちゃんの話し聞いてたら分かるよ。夫さんには敵わないって思う。でも、埋まらない物があるでしょう?私にもある。私はsumiちゃんが好きです」

そんな風に答えてくれました。



アイさんと居たら、埋まらないものが埋まるの?


私たちは似た者同士なのかな?


ぽっかり空いたままの心を慰めたくて始めたブログ。


たった4日間で終わったそのブログに、コメントをくれた一人の女性。


それは奇跡なんじゃない?


アイさんとの出逢いは運命なんじゃない?



先の事なんて分からない。


自分の未来なんて、うまく想像出来ない。


だけど、アイさんが差し出した手を今掴まなければ、私はきっと一生後悔する。



そう思いました。





そして、それから約2年間の私たちが始まりました。



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新たな恋


アイさんを見送ってから、数時間後。


私はベッドの中で、なかなか眠れずにいました。


アイさん、そろそろ自宅に着く頃かしら。



スマホで時間を見ます。

暫くするとLINEの着信音。

アイさんからです。


『このまま自宅に着いてしまうのが名残惜しくて、手前でタクシーを降りました。歩きながらお話ししたいです。電話しても良いですか?』


私は直ぐに返信しました。


『降りちゃって大丈夫ですか!?寒くないですか!?』


私の返信が既読になると同時に、LINE通話に切り替わりました。


「はい」

心臓がドキドキします。


『sumiちゃん』

数時間前まで一緒に居た、アイさんの声。


「寒くないですか」


『寒くないよ』


「かなり手前で降りたんですか?」


『んー、私歩くの早いから、、あと、、もう少しで着きます』


「灯りありますか?襲われませんか?」



アイさんはあははと笑って

『こんな男みたいな女を襲う人はいません(笑)今日は本当にありがとう。sumiちゃんに会えて嬉しかった』


「私もです」


『また、会ってくれますか?』



「・・・はい」

少し、戸惑いました。



『嫌ですか?』


「嫌じゃ、ないです」


『良かった。もうあと、、もう少しで自宅に着きます』


「はい、、」


『自宅の前に着きました。 さぁ、現実に戻らないと』


「今日はありがとうございました」


『ありがとう、では、おやすみなさい』


「おやすみなさい」




ほんの数ヵ月前まで、名前も知らなかった人なのに。


今朝まで、顔を会わせたこともなかった人なのに。


今は声を聞いただけで、こんなにも心がザワザワしてしまう。


アイさんの笑顔、アイさんの声、

アイさんの話し方、アイさんの歩き方、



今日知ったばかりのアイさんで、私の頭の中はいっぱいになっていました。




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ブログで繋がる3


最初の緊張は嘘のように解れて、私たちは色んな話をしました。



最初は初対面の人とこんなに長い時間、間が持つのだろうかと思っていたけれど時間はあっという間に過ぎました。


時々訪れる無言の時間も全く苦になりませんでした。


ランチは近所にあるカジュアルフレンチのお店へ。

食事中の所作がとても綺麗だなぁと思いました。


私の子供も、直ぐにアイさんと打ち解けてしまい、夕食時はアイさんの隣から離れませんでした。



そして、いよいよ帰りの時刻が近づき、そろそろ自宅を出て駅に向かわないと間に合わなくなるというところで、本当にMちゃんが家に来てくれました。


Mちゃんが運転する大きな車が、アイさんと私と子供達を乗せて走り出します。


「Mちゃんごめんね、ありがとう」


「いいのいいの!子供らドライブしながらのが寝るから、ついでだよ~」


本当は、運転が苦手な私が夜道を走るのを心配して来てくれたのだと直ぐにわかりました。


アイさんにはMちゃんとの関係は前に話してありました。


駅に到着し車を停めると、アイさんを見送るために私とMちゃんだけ少しの間、外に出ました。

後部座席の窓を開けて、子供がアイさんに手を振ります。

「アイちゃんバイバーイ!また来てね~!」

「今日は遠いところをありがとうございました」

私も別れの挨拶をしました。


「sumiちゃん、今日は会ってくれてありがとう」

アイさんの切なげな笑顔。

アイさんが差し出した手に握手しました。



それからアイさんはMちゃんの方へ向き直りました。

「Mさん、送って下さってありがとうございました」

そう言いながら直角90度くらいに腰を曲げて、Mちゃんに対し頭を下げました。


小雨の降るなか、あちこちから車のライトが当たり、アイさんとMちゃんを照らしました。


か、カッコイイー、、、。

甲子園風。


アイさんのその姿に、Mちゃんに対する誠意を見せて貰えたようで、とても感動したのを覚えています。




アイさんは帰って行きました。

アイさんが見えなくなったところで、私は車に戻りました。


久しぶりに座る、Mちゃんの助手席。


時々近所のスーパー等で顔は合わせてはいたものの、こんな風に会うのは、お別れしてから初めてでした。


車が動き出すと、Mちゃんの子供達は直ぐに眠ってしまいました。


「今日はありがとうね、車、乗せてくれて」


「ううん、sumiちゃん夜の駅前なんてムリでしょ(笑)」


「うん、、」


「アイさん、いい人そうだね」


「うん、時間がね、長いかと思ってたのに、あっという間だったの」


「玄関出てきた時の二人の空気でわかったよ。私はsumiちゃんの幸せを祈ってるよ」



Mちゃんの言葉に、涙で目の前がぐらぐらになりました。

溢さないようにグッと堪えます。


「なんかあったら、助けるから。私らの仲じゃん」


声を出したら、そのまま嗚咽が漏れてしまいそうで、私は頷きながら声にならない『ありがとう』を言いました。


ちょっとやそっとでは壊れなかった。


二人の関係が変わっても、MちゃんはMちゃんでした。



「今日は疲れただろうからゆっくり休みなね」

別れ際、前は頭をぽんぽんとしてくれた時の言い方。


当たり前だけれど、ぽんぽんはもうありません。


私たちは少しずつ違う未来に歩き出してるね。


「うん、ありがとう。Mちゃんも帰ったらゆっくり休んで。おやすみなさい」


お母さんに戻ったMちゃんと、まだ恋をしようとしてる私。


もうそんなことしちゃダメだ、と言う自分と


感情を抑えられるのか!?と問う自分。


Mちゃんを好きになった時のような勢いは、もうありませんでした。


始まれば楽しい事だけじゃないこともわかっていました。


それでも

手を伸ばしたら届くかも知れないその距離に、運命の人が居るかも知れないじゃない。



この時はまだ、両方の私が葛藤していました。



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ブログで繋がる2


普段はあまり車に乗らないため、慣れない運転で駅のパーキングに車を停めました。


駐車券は一度シートベルトを外してから身を乗り出さないと掴めないタイプです。


『遅くなりました。今駅に着きました』

LINEをいれます。


直ぐに既読になりました。

『慌てずゆっくり来てください(^^)』

アイさんの優しい気遣い。


もうそれ以上待たせるのは申し訳なくて、雨で滑りやすくなった床を小走りに、人混みを掻き分けながらアイさんが待つお店に急ぎました。


久しぶりの高揚。

嫌じゃないドキドキ感。

新しい事の始まりはワクワクします。


お店の前で一度立ち止まり、伸ばしかけの前髪を耳にかけながら呼吸を整えました。


よし、いこう。


朝の店内はとても混んでいて熱気があり、外との温度差に一気に顔が熱くなりました。


着ていた上衣を脱ぎながら、店内を見渡します。


アイさん、どこに居るのかな。


ざっと見渡すも、多分緊張しすぎていて、見ていても見えてない状態だったのだと思います。


店内を歩きましたが、アイさんらしき人を見つけることが出来ません。

もう一度連絡をしようと鞄からスマホを取り出そうとしました。

でも上衣やら傘やらでモタついてしまって。


半べそで歩き出した先で、一人の女性と目が合いました。


入り口から一番奥の壁際。


腕を組んで足を組んで、壁に寄り掛かかる様にして浅くソファーに座っている。


その女性が、アイさんでした。


私よりも俄然落ち着いた物腰。

遠く遥々から来た人は思えない、このお店に通いなれた感さえ漂わせています。


目が合った瞬間に、お互いを分かりました。


落ちてくる前髪を押さえながら、屈むようにして一応訊ねます。

「アイさんですか?」

「はじめまして、アイです」

「はじめましてぇぇ(>_<)」


ようやく、会えた。


緊張のピークで、私の手は震えていました。


アイさんの向かいに座ろうとすると、とてもスマートに私の濡れた傘を自分の脇に置いてくれました。


LINEでのやりとりでも沢山優しさを感じながら過ごしましたが、実際の立ち居振舞いにも細やかな気遣いと思い遣りを感じました。



バランスのとれた切れ長な瞳と、美容部員さんみたいに綺麗な眉。

グレーのV襟のセーターからは華奢なデザインのネックレスが見えました。

ジーンズにメンズテイストなブーツを合わせていて。

髪は綺麗な濃い栗色のショートヘア。

血管の浮き出た手の甲と長い指。

骨格のしっかりとした細身の体。

薬指に指輪はありません。


歯磨きのCMみたいな白い歯に爽やかな笑顔が印象的な、前以て見せて貰っていた写真よりも、もっとずっと綺麗でカッコイイ女性でした。



このお方は、、、本当に普通の主婦なの?

読者モデルさんとかじゃないの?

とてもお顔が小さい。


身長165センチのアイさんだけど、お顔が一般的なサイズなら170センチくらいあってもよさそうな。


そう思えるくらい、モデルさんのようにお顔が小さな女性です。


ほんのり低めの穏やかな声が、その容姿にぴったりでした。



私は終始緊張したままで、着ていった白い服の胸元に、2度も珈琲を垂らして笑われてしまったり、情けない有り様でした。



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