先週の「言論アリーナ」で、相馬中央病院の越智小枝さんが「もう福島は危険ではないのに、まだ多くの人が帰宅できない。これは医学というより心理学や社会学の領域だが、彼らが助けてくれない。むしろ不安をあおっている」と語っていたのが印象的だった、

たしかに客観的に福島の現状を調査している社会学者は開沼博氏ぐらいで、小熊英二氏や宮台真司氏などは反原発デモの先頭に立ち、「福島は危険だ」というキャンペーンを続け、甲状腺癌や白血病など小さな問題を誇大に騒いでいる。

理由は簡単である。彼らは3・11の直後に「原発事故は人類を破滅させる文明的な災害だ」と主張したので、福島が地獄でないと困るのだ。これは慰安婦キャンペーンを張った朝日新聞が、「強制連行」が嘘だとわかると「広義の強制」に問題をすり替えてキャンペーンを続けたのと同じだ。

反原発派に社会学者が多いのは偶然ではない。社会学には標準的な理論体系がなく、つねに「あんなもの学問じゃない」とバカにされてきた。そこで一時は(初期の宮台氏や大澤真幸氏のように)経済学をまねた「科学的」な理論をつくろうとしたが破綻し、物語に逃げ場を求めたのだ。そこでは初めにストーリーがあり、事実はそれに合わせて取捨選択される。

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