第1日、18番を首位でホールアウトした畑岡奈紗(右)は、一ノ瀬優希と握手する=埼玉・武蔵丘GCで(神代雅夫撮影)
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◇樋口久子Pontaレディス<第1日>
▽30日、埼玉県飯能市・武蔵丘GC(6605ヤード、パー72)▽晴れ時々曇り、気温19・5度、風速0・8メートル▽賞金総額7000万円、優勝1260万円▽94選手(うちアマ6人)▽観衆3785人
またまたスーパー女子高生出現−。勝みなみや新垣比菜と同学年の高校2年生、今年の世界ジュニアを制した畑岡奈紗(はたおか・なさ、16)=茨城・翔洋学園高=が4バーディー、ノーボギーの68で回り、4アンダーで単独首位発進した。国内女子ツアーで初出場のアマチュア選手が首位スタートするのは史上初。賞金ランク上位4人が欠場しているだけに波乱の可能性は十分。1打差の3アンダー2位に武尾咲希(さき、21)=GOLF5、2アンダー3位に西山ゆかり(33)=アステオ=ら9人が続いている。
陶器の町・笠間に生まれ育ったけれど、茨城名産・納豆のような粘り強さで、そう簡単にはひび割れない。女子ゴルフの“黄金世代”からまた一人、2020年東京五輪代表候補が飛び出した。
畑岡は今年の世界ジュニア選手権チャンピオン。奈良の奈に織物の紗と書くナサという名は、父が「前人未到の地を踏んでほしい。国際派の人間になってほしい」との思いを込めてNASA(米航空宇宙局)からとった。
この日は、26日のマンデー予選を勝ち抜いて初めて出場権を得たプロ競技の初日。「思ったよりは緊張しなかったけど、昨日の夜中は何度か起きたりはしました。同組の三塚優子さんがスタート前に欠場されて、一ノ瀬優希さんと2サムだったのでゆっくり落ち着いてプレーできたのもよかった」と畑岡。3番で4メートルのパットを沈めバーディー先行すると「ロングパットの距離感が合わずショートすることが多かったけど、1〜2メートルのパーパットがよく入って、うまくしのぐことができました」と、ボギーのないまま後半へ。11番で3・5メートル、13番で2メートル、16番で1メートルと、さらに3つのバーディーパットを決めて68。なんとツアー史上初の「アマチュアで初出場首位発進」の快挙だ。
「昨日までも、今朝の練習でも、ショットの調整が思うようにできないままだった。でも、ゆっくり振るように心がけていったら…」目標だったパープレーを大きく上回るゴルフができたという。身長158センチと小柄ながら平均飛距離260ヤードのドライバーショットを武器に、プロ選手全員を押しのけて単独トップに立ったのだから恐れ入る。
同学年に勝や新垣らプロツアー競技でも活躍するライバルがいる。「すごく刺激を受けています。去年の日本ジュニアでは(勝)みなみちゃんに最終日に6打差を逆転されて負けましたし。あの時の経験が世界ジュニアVにつながったし、“勝ちたい”気持ちがみなみちゃんより弱かったと思った。この試合もローアマ目標でしたけど、チャンスが来たら優勝を狙いたいと思います」
将来、日本の賞金女王と全米女子オープンタイトルを狙う16歳は、残り2日間も臆することなく暴れ回る。 (月橋文美)
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