人模様:「慰安婦」の事実伝えたい ヤン・バニングさん
毎日新聞 2015年10月31日 東京夕刊
インドネシアの元「慰安婦」をテーマにした「ComfortWomen」展を東京で開いたヤン・バニングさん=2015年10月9日、明珍美紀撮影
「被害を受けた女性へのオマージュ(敬意)として私は彼女たちのポートレートを撮影した」。オランダ在住の写真家、ヤン・バニングさん(61)がこの秋、東京で「Comfort Women(コンフォート・ウーマン)」展を開催。戦時中、「慰安婦」にされたインドネシアの女性たちのまなざしをとらえた16点を展示した。
オランダ領東インド(現インドネシア)出身の両親を持ち「祖父と父が旧日本軍による強制労働の被害を受けた」という。父を含めた強制労働の被害者らの撮影に力を注いだ。2007年からは元「慰安婦」の撮影を手がけ、同じころ、被害女性への聞き取りを始めたオランダ人ジャーナリスト、ヒルデ・ヤンセンさんと連携して事実を伝えるプロジェクトを展開している。同展は米独仏などを巡回した。
日本での展示を企画した「女たちの戦争と平和資料館」(東京)では、インドネシアの被害女性に焦点を当てた特別展(来年6月26日まで)で、バニングさんの作品も使っている。【明珍美紀】