ドキュメント72時間「旅漁師 イカ釣り人生」 2015.10.28


真夜中の日本海沖。
まばゆいライトが海面を照らす。
上がってきたのは美しい…料亭だと1匹数千円。
最高級のケンサキイカだ。
特牛とは山口県の港の名前。
イカを求め全国から漁師が集まる業界では有名な港だという。
家族を陸に残し1年のほとんどを船の上で暮らす漁師たち。
狭い船内に寝泊まりしながら…イカ漁に沸く小さな港で旅する漁師たちの熱い3日間を追った。
8月のお盆明け。
特牛港で撮影開始。
朝9時。
漁を終えたイカ釣り漁船が戻り始めた。
いたいた。
これがうわさのブランドイカ。
(取材者)あっほんとだ。
あっ生きてんだこれ。
ほんとだ。
はい1万2,600。
甘みの強さと輝く美しさで知られ築地や全国の料亭に送られるらしい。
港に帰ってきたばかりの漁師さんがいた。
あっ鳥取から来てるんですか?へえ〜。
この船で?ここから入っていいんですか?そう。
どんな暮らしなのか船内を見せてもらう事に。
こちらが船員室。
船長1人と乗組員2人で共同生活を送っている。
そうです。
そうそうそう。

(演歌)イカ漁は冬九州で始まり夏になると山口沖周辺でケンサキイカを狙う。
秋が深まるとスルメイカに狙いを変え各地を転々としながら北海道まで旅していく。
例年イカ船が50隻以上集まるここ山口の港。
でも今年はまだ9隻しか来ていないそう。
水温が低くイカが来るのが遅れているみたい。
午前10時半。
港に外国の人?インドネシアから?はい。
お若い…。
何歳?インドネシア出身の2人。
日本で漁を学んだあとためたお金で水産系の大学に行くらしい。
向かったのは港にある休憩所…。
全国から来た漁師さんのために無料のお風呂があるんだって。
それにしてもイカ漁の稼ぎってどれくらいなんだろう。
ありがとう。
ありがとうございます。
売り上げも多いけど燃料費もかかるし意外と楽じゃないらしい。
お昼過ぎ。
船に入っていく漁師さんを見つけた。
あっ船長さん。
福井から来たという通称ゲンちゃん。
これから漁に出るというので同行できないかお願いしてみた。
すいません。
ありがとうございます。
午後いよいよイカ漁に出発。
目指すは50キロ先の日本海。
中学卒業後40年以上イカ漁一筋のゲンちゃん。
毎日少しずつ北へ移動するイカの群れを追ってその日の漁場を決めていく。
魚と違ってイカは魚探にはっきり映らない事が多いそう。
潮目や水温を読みどう群れを探し出すかが船長の腕の見せどころだ。
今日の漁場が決まった。
イカ釣りの仕掛けを手早く下ろし日没を待つ。
午後7時過ぎ。
船に明かりがともった。
真っ暗な海を泳いでいるイカがこの光におびき寄せられてくるという。
あっ!イカだ。
きれいなイカが次々と上がってくる。
上がったばかりのイカを新鮮なまま箱詰めしていく。
でも思ったより水揚げが少ないような…。
17。
全然ですか。
どうやら狙いが外れたらしい。
少しの場所の違いが結果を大きく左右する漁の世界。
撮影2日目。
朝8時。
イカを釣った船が戻ってきた。
よかったですね。
ありがとうございます。
ほかの船は結構大漁だったみたい。
更にこの日長崎や兵庫から5隻の船が漁に加わった。
夜通しイカと格闘した漁師たち。
次の漁までの僅かな時間洗濯したり買い物したり自由な時間を過ごす。
買い物帰りの漁師さんに出会った。
ずっとイカ船ですか?そうそう。
若い頃は喫茶店を経営し結構羽振りがよかったらしいけど…。
ギャンブルが原因で妻と離婚。
子どもを養うためにイカ船に乗ってもう20年になるという。
そういう事です。
頑張って下さい。
午後4時。
全ての船が出航したあと港の脇に1台の車。
港で食堂を営んでいるという女性。
えっ15年?あっそうなんですか?うん。
実は昨日船に乗せてくれた福井のゲンちゃんの奥さんだという。
北海道でスナックのママをしていた時漁に来ていたゲンちゃんと出会いイカ船に乗り込んだ。
去年体力の限界を感じて船を降りる事を決意。
ゲンちゃんが長くとどまるこの港で働く事にしたそう。
何やら見せたいものがあるという。
おかあさんの部屋?そうそうそう。
近くにアパートも借りたけど車の中で寝泊まりする事が多いんだって。
(笑い声)久々の陸暮らし。
でも船の生活が忘れられないのかな。
撮影3日目の朝。
小雨の中ゲンちゃんの船が戻ってきた。
まだ本調子ではないらしい。
食堂では奥さんが取れたてのイカをさばいていた。
何か頼み事。
大至急ね。
魚の仕込みを慣れた手つきで手伝い始めた。
朝10時。
船で一人作業をする男性。
長崎出身の53歳の漁師さん。
この船の船長らしい。
えっ?大変ですね。
えっそうなんですか?人の出入りが激しい仕事。
一人きりでイカ釣りから船の整備までをこなし毎日2時間しか寝ていないという。
大変さがすごいよく伝わってきました。
そうやろ。
しけもようだった海は少し落ち着き船が次々と沖へ出ていった。
その中で港に残っている船。
あれ?子どもがいる?撮られてる。
また来たよ。
ほんとにマジで。
どうもこんにちは。
朝一人で仕事をしていた船長さんだ。
気が向かないから。
へえ〜。
船好きの息子さんと奥さんが港に遊びに来ていた。
聞けば長崎からこの港に来ていた時山口出身の奥さんと出会ったらしい。
あっそうなんですか?
(笑い声)結婚後全国を旅する生活をやめこの山口の港に住み着いたんだって。
どう変わりました?ピース。
こっちから出る…。
どうも。
どうもありがとうございます。
明日からはまた一人だけの漁。
でも港には帰りを待つ人がいる。
台風の間はどうされるんですか?台風はね恐らく今回はね僕は下関…。
下関か…まあ下関でしょうね。
下関で船を回して。
ここに置いとけれんですよ。
波が来るんでね。
2015/10/28(水) 02:25〜02:50
NHK総合1・神戸
ドキュメント72時間「旅漁師 イカ釣り人生」[字][再]

今回の舞台は、最高級のイカを追って全国から漁師たちが集まる山口県の小さな港。夏、狭い船室で寝泊まりしながら、一獲千金を狙う男たちのあつい3日間を追った。

詳細情報
番組内容
最高級のイカを追って全国から漁師たちが集まる港がある。山口県の特牛(こっとい)港。沖でとれるケンサキイカは透明に輝く美しさとうまさで知られ、料亭では1匹数千円で供される。故郷を離れ、狭い船内で寝泊まりしながら、一獲千金を狙う漁師たち。この道40年のベテランもいれば、漁の技を学びに来たインドネシアの若者の姿もある。いさり火が輝く夏、イカ漁に沸く小さな港で繰り広げられる男たちの3日間のドラマを追った。
出演者
【語り】田畑智子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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