<トップアイドル時代を知る人物が予想してみた>NHK紅白歌合戦の大トリで松田聖子は何を歌うのか?


水留章[(株)ドリマックス・テレビジョン 代表取締役社長]

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「松田聖子 紅白の大トリに!」

この見出しが、日刊スポーツ12/8付けの一面に踊っていました。「意外にも初」という見出しと共に。

筆者には、松田聖子で大トリが良いの? という古い感覚があります。 NHK紅白歌合戦の大トリと言えば、古くは美空ひばりさん。最近では北島三郎さんと演歌のベテランイメージが自分には染みついているからです。

そんな自分の「時代遅れ」を実感したのが、この春の出来事だった。

遅い晩御飯を我が社(ドリマックス・テレビジョン)の若いテレビスタッフと一緒にしていた時のこと。その時のメンバー、二十代前半の女性が中心でした。そして、たまたま松田聖子さんの話題になったので聞いてみました。

筆者「みんな、松田聖子知っているの?」

社員「はい!」

筆者「歌も知っているの?」

社員「勿論です。」

筆者「赤いスイートピーは?」

社員「小さい時、母親とカラオケ行って憶えました。」

筆者「えっ!お母さんとカラオケ行くの!?」

社員「私は音楽の教科書で知りました」

筆者「…………(絶句)………」

社員「松田聖子さんとお仕事したことがあるのですか?」

筆者「エッ、まぁ……………」

「教科書に載っている松田聖子と仕事をしたことがある」筆者に対する「尊敬の眼差し」にいささか困惑してしまいました。筆者が松田聖子さんに初めて接した時はAD(アシスタントディレクター)でした。しかし、そんな彼女は、もう国民的歌手なんですね。そう考えれば「紅白歌合戦の大トリ」は遅きに逸したかもしれません。

そんな彼女の一番の曲は何かと尋ねられれば、その答えは人により千差万別でしょう。それだけ多くのヒット曲を持っています。例えば、筆者であれば「青い珊瑚礁」です。リリースは1980年になりますから、もう30年以上も昔なんですね。

「青い珊瑚礁」は、聖子さんのデビュー2曲目。彼女をスターダムに押し上げた歌であり、筆者にとっては「時代の空気」を変えた曲のように感じられました。1980年代の始まりを予感させる、素敵な未来を感じさせてくれる曲でした。

当時のテレビでは、「テレビサイズ」という名称で、放送局が楽曲の長さを一方的に決めていました。もちろん、単なる慣習に過ぎないものではありましたが、今思えば随分と傲慢な話です。この「テレビサイズ」とは、通常で2分半、新人では1分半、というサイズ設定。沢田研二さん、都はるみさんクラスの大スターは特例として3分。

当時のサンミュージックとCBSソニーは考えていたんでしょう。青い珊瑚礁は、

♫あ〜〜〜 私の恋は〜〜〜

・・・と、コマーシャルでも使われていたような、とてもキャッチーで印象的なサビから入る曲です。そのため、サビが2回ある「B→A→B」という曲構成にならざるを得ません。つまり、サビが2回あるので、いくら短くカットしようとしても、どうしても2分になってしまう。「短くしてくれ」と言おうとしても、言えない状況です。しかも、曲と本人があまりに魅力的でしたから。

もちろん、これはテレビへの露出が歌のプロモーションとしてベストで不可欠であった時代のお話です。

筆者は、大晦日に「青い珊瑚礁」聴きたいと思っています。しかし、実際は、「赤いスイートピー」か「瑠璃色の地球」あたりになるのでしょうか。あるいは、大穴として、娘の神田沙也加さんとの「アナ雪」だったりして。

 

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水留章

水留章(みずとめ・あきら)1954年神奈川県出身。大学時代に野沢協氏の薫陶を受け、偉大な知性の存在に圧倒される。TBS入社後、制作で居作昌果氏に指導受け、仕事の肝要を教わる。その後編成、営業、人事、スポーツを経験、現在 (株)ドリマックス・テレビジョン代表。趣味…クロール、宝物…Gibson J45