(マイケル)
これは極東の国日本を訪れた我々家族の100日間の冒険の物語。
我々の目的は寺院巡りでも秋葉原でのショッピングでもない。
我々の最重要課題それは…
日本を食べ尽くす事だ。
(エミル)あったかい。
(リスン)気持ちいいわねぇ。
これは足湯というんだ。
足の疲れをとるだけでなく全身の血行を良くしてくれる入浴施設だ。
(アスガー)みんなが足を突っ込むお湯なんて汚いんじゃないの?心配いらない。
かけ流しといって地下から湧いたお湯を浴槽に流し続けているからお湯は常に新鮮だ。
自然の恵みってわけね。
ああ。
すぐ近くに火山がある。
この辺りはマグマという名のでっかい湯沸かし器の上に乗ってるようなものさ。
本来は地中からお湯が湧き出る状態の事を意味するがお湯が湧き出す場所や湧き出たお湯を利用した入浴施設の事も温泉という。
古くから病気やケガの療養にも利用されてきたが近年では心と体を癒やす一大レジャースポットとして風呂好きの日本人の高い人気を誇り47全ての都道府県に3,000を超える温泉地が存在する
美しい景観やおいしい料理温泉にはさまざまな楽しみがあるがその拠点となるのが宿だ。
(番頭)ようこそお越し下さいました。
温泉宿の醍醐味はゆったりと解放的な気分を味わう事にある。
パパがする事をよく見てろよ。
まずは到着したら玄関で靴を脱ぐ!そして館内専用のスリッパに履き替える!ほ〜ら足が窮屈な靴の中から解き放たれた!これぞ温泉の醍醐味だ!脱いでまたすぐに履くの?変なの。
うわ〜!エヘヘッ。
ちょっと待った!部屋に入る時はスリッパを脱げ!それから靴下もだ!え〜!?さっき履いたばかりなのにまた脱ぐの?畳を傷めずに済むしはだしの方が更に解放的だろ?これもまた温泉の醍醐味だ。
面倒くさいなぁ…。
(リスン)うわ〜すてきな眺め〜。
来てよかったわねマイケル。
ん?どう?似合うかい?すてき!すごく似合ってるわ。
これは浴衣という着物の一種だ。
宿に備え付けの浴衣は薄くて着心地もいい。
湯上がりのバスローブや寝巻きとして使うのはもちろん何ならこの格好のまま出歩いたっていいんだ。
確かに解放的な気分になれそうね。
だろ?温泉宿ではこれ一着あれば全て事足りるんだ。
でもこれ着方が分かんないよ。
どれパパが着付けしてやる。
面倒くさいからTシャツでいいよ。
駄目だ。
今自分がどこにいると思ってる?温泉だぞ。
スリッパや浴衣に備わっている解放性は温泉にはなくてはならない重要な要素だ。
なぜだか分かるか?ど…どうして?温泉というものは!日々の生活を忘れ!心と体を解放する事で!ゆったりとリラックスするための場所だからだ!うわうざっ!気張り過ぎよね。
温泉の流儀とは!1に!
(3人)リラックス!2に!
(3人)リラックス!3に!
(3人)リラックス!これより浴場に向かう。
他の宿泊客も利用する共用の大きな風呂だ。
各自ルールを厳守するように!
(3人)イエッサー!支給したタオルについて説明する。
この小ぶりなタオルは風呂場で使うものだ。
体を洗い汗を拭え!必要があればこいつで大事な部分を隠せ!
(3人)イエッサー!くれぐれも湯船にタオルを入れる事はしないように!無知な外国人だなどと後ろ指をさされたくなかったらな!何か質問は?リスン。
水着がありません!…どういう事だ?ですから入浴時に着用する水着がありません!大事なところはタオルで隠せと言ったはずだが…?温泉の流儀とは!リラックス!目的とは!リラックス!水着特有の体に対する締めつけが我々から奪い去るものは!リラックス…。
日本の温泉は!…全裸で入るんだよ。
あぁ…。
この国には「裸のつきあい」って言葉がある。
裸になった者同士が同じお湯につかり身分や肩書も関係なく素の自分をさらけ出して語り合う。
風呂はそういうコミュニケーションができる場だと考えられているんだ。
だから恥ずかしがる事はない。
僕らも是非体験してみようじゃないか。
「裸のつきあい」ってやつを!アッハッハッハッハ!来るんじゃなかった…。
男用女用。
私だけ独りぼっち?恨むなら生物学を恨んでくれ。
健闘を祈る。
挫折しちゃうかも…。
(エミル)ママ頑張って。
うぅ…。
今日の事が僕の幼少期のトラウマになったらパパ責任とれる?アスガーリラックスだ。
僕先に行くよ。
魂の…!解放!
(拍手と歓声)うわ〜はぁ〜気持ちいい〜。
露天風呂か〜最高だなぁ。
生まれたままの姿で自然に抱かれる。
日本人が夢中になるのも無理ないな。
ママあっち側にいるの?そうかも。
この世の終わりみたいな顔してたけど一人で大丈夫かな?うん…呼んでみるか。
お〜い大丈夫か?リスーン!ん?リスーン?最高〜!信じられる?こっちは誰もいないの!私一人!こんなぜいたくな気分初めて〜!今世界は私のもの…!私は…自由〜!…ハッ!ホッ!ママ何してるんだろ…。
100日分のストレスの解放だな。
はあ〜夜風が気持ちいい〜。
さっきの温泉24時間いつでも入っていいのよね?地球のマグマが枯渇しないかぎりはな。
ウフフッ。
来てよかった。
フッ…。
僕らの旅もそろそろ終わりだな。
そうね。
(2人)うわ〜!
(リスン)おいしそう!
(仲居)当館自慢のカニづくし料理でございます。
ん〜!おお…。
カニだ…。
…パパどうしちゃったの?前に北海道でカニのお刺身を食べ損ねたでしょ?それ以来夜中に…。
カニ!
(リスン)…って叫んで飛び起きるのが日課だったのよ。
うう…う…うまい…!今日からはゆっくり眠らせてもらえそうね。
(エミル)このスープおいしい。
昆布とかつお節のうまみの相乗効果だよ。
控えめなゆずの香りがカニの生臭さを消して爽やかな味を演出しているのさ。
ウフフフフッ!言うじゃないかアスガー。
最近全く「ピザピザ」言わなくなったな。
すっかり環境に適応したか?諦めただけだよ。
親のわがままにつきあうのも子供の務めだと思ってさ。
なっエミル。
明日は東京に戻って1泊してから日本をたつ。
これまでの罪滅ぼしだ。
どこでも好きなところに連れてってやるぞ。
ほんと!?ついでにハンバーガーとピザも解禁だ!うおぉ〜!大丈夫?もう取材はいいの?予定してた取材のリストは全部消化したしもう思い残す事はないよ。
一冊の本を書くには十分だ。
ほんとにどこでも連れてってくれるの?ああどこでもいいぞ!ネズミのテーマパークでも!?それ以外の場所にしなさい。
はあ!?どこだっていいって言ったじゃん!僕の趣味に合わない。
あっそうだ!新宿に2つ星を獲得して話題の日本料理の店があるんだよ。
子供だましのゴンドラに乗るために3時間並ぶくらいだったらそっちの方がずっといいだろ…。
エミル泣け。
うぅ〜。
分かった行こう。
やったあ〜!イエーイ!失礼します。
ジャンジャカジャン!ジャンジャカジャン!
(リスン)2人とも座って御飯が来たわよ。
やったあ〜!やったあ〜!う〜ん…。
ジャンジャカジャンジャカジャンジャカジャンそれ!ジャンジャカジャンジャカジャンジャカジャン!やったあ〜やったあ〜ネ・ズ・ミ〜!
(トシ)お前に日本料理の何が分かるってんだよえ?何でもかんでもクリームとバターでこねくり回したもんばかり食ってブクブク太りやがって。
ひどい言いぐさだな。
日本料理の事ならよく知ってるさ。
日本料理ってのは人生の楽しみとは無縁の料理だ。
ほぉ…?見かけばっかりで風味のかけらもない。
何でもかんでもしょうゆに突っ込むだけで全部同じ味。
生の魚にヌードルに揚げた野菜。
しかもみんな盗んだ料理だ。
タイとか中国とかポルトガルからな。
いい魚屋とよく切れる包丁さえあれば日本料理なんて誰にでも…。
ヒ…ヒッ…!ん?オニヅカ?知らんな。
何だこれは?お前に人生の楽しみを教えてくれる本だ。
プレゼントだ。
ちゃんと読めよ。
じゃあな。
(不通音)あれ?トシ?…トシ!あ…。
(アスガーとエミルの寝息)
(アスガーとエミルの寝息)あ…。
よぉ〜マイ…。
やあトシ!僕は山あいの情緒あふれる温泉で魂の解放を行い宿で供されたすばらしい料理の数々に舌鼓を打ち家族が寝静まったところで一人ベランダに出て満月と夜風を楽しんでいるところだ!何だよその説明的なセリフは。
先手を打ったんだよ!毎度毎度君にこっちの動向を見透かされるのはあまり気分がいいもんじゃないからな!で何の用だ?もうすぐ旅も終わりだな。
ああそうだな…。
帰るのはあさってだったな?ああ。
分かった。
じゃあお前たちが出発するその日に会おう。
え!?青空に伸びる美しい1本の煙突。
風呂の醍醐味を語るなら旅先の温泉もいいけどやっぱりこれ。
煙突が目印の銭湯を忘れちゃいけない。
今日は温泉と並ぶ日本の伝統的公衆浴場銭湯に寄るとするか。
こんちは。
はいいらっしゃいませ〜。
見事な彫り物が美しいここは番台。
店の主が座る銭湯の見張り台のような場所だ。
ここがいいのは天井が高い事。
見てよこの立派な格子天井。
趣があるだろ?何でも半世紀以上の歴史があるらしい。
さて入るかな。
まず目に飛び込んでくるのは壁一面に描かれた見事な富士の山。
「富士青空水辺」この組み合わせが最高だ。
湖畔の松と桜もいいアクセントになっている。
昔はこの辺りからも本物の富士山が見えたって話だ。
こうやって湯船につかって見る富士の絵は格別だ。
う〜ん極楽極楽!おっ足を伸ばして気持ちよさそうだね。
極楽ですよ。
風情があるし日本の昔からの…。
・古き良きみたいな感じだよね。
のんびり入るならやっぱ銭湯だよね。
マイケルじゃないが大きな湯船にゆっくりつかると魂が解放されるわ〜!風呂上がり銭湯ならではの楽しみはここからだ。
まずは昔ながらの体重計。
針で量るこのアナログ感がたまらない!お父さんいきました!本日の結果は…ベスト体重?大体冬は70キロ夏は大体65キロ前後。
季節で随分変わるね〜。
そして銭湯一番の醍醐味がこれコーヒー牛乳。
俺はこの一本のために熱い湯につかっている。
汗をかいたあとの味は格別だ〜。
お〜グイッと一気。
いい飲みっぷりだねぇ。
あ〜おいしい。
お父さんもいった〜!最高ですね。
あ〜いい風呂だった。
でも銭湯の醍醐味はこれで終わりじゃない。
風呂上がりは不思議と街歩きしたくなる。
いい気分のままぶらぶら散歩。
おもちゃ屋に立ち寄ったり…。
本屋をのぞいてみたり。
マイケルの本はあるかな〜っと。
どうもなさそうだな。
ハッハッハッハッハ!銭湯の締めにやりたくなるのがやっぱりお酒をちょっと一杯。
おっここにするか。
酒の肴はおでん。
うまそうだ!来た来たキンキンに冷えたビール。
これだよ!心地よい風を感じながら風呂上がりの一杯。
これもまた銭湯の醍醐味だ。
さて酔っ払っちまう前にマイケルに会いに行くとするかな。
今、ある映画監督が2015/10/29(木) 00:40〜01:00
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詳細情報
番組内容
帰国を前に「温泉」にやってきたマイケルたち。最初は戸惑っていたリスンたちも、その解放感に、すっかり温泉が気に入ってしまう。そして旅館の夕食に、北海道で食べそびれてしまったカニが供されてマイケルは幸せの絶頂に達する。そこへ例によって、トシから突然の電話がかかってくるが…。
出演者
【声】竹本英史,満仲由紀子,広橋涼,徳山靖彦,滝藤賢一
原作・脚本
【原作】マイケル・ブース,【翻訳】寺西のぶ子
監督・演出
【監督】ラレコ
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz
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