花燃ゆ(43)「萩の乱に誓う」故郷の悲劇が二人を近づける! 2015.10.31


う。
(美和)はあ…これが生糸作り。
糸挽きっつって繭から細〜い糸を挽いて一本の生糸に仕上げる。
群馬にやって来て最初に出会ったのは阿久沢せいだった。
これがその繭を作るお蚕様だ。
お蚕様がこの桑の葉を食べて糸を吐く。
お…お蚕様ですか…。
ほらどうです?ほれほれ。
かわいいでしょう?ほれほれ。
え…ええです!よ…よう分かりましたので…。
ハハハハハ!どうやらお手伝いさんはお蚕様が苦手みたいだがね。
(笑い声)おせいさん。
(せい)ん?あの子は…。
(せい)ああ。
母親のトメと一緒にここで働いているおキク。
なかなか筋がよくいい女工さんになりますよ。
ですがまだ子どもでは…。
何をおっしゃるやら。
女は十になるとはあもう立派な働き手だ。
(物音)おい。
ここにトメって女はいるかい?何です?人の家に勝手に入り込んで。
亭主が博打で借金した銭を取りに来たんだい。
(トメ)借りた銭は返したはずだよ。
はっ利息がまだだんべ。
利息って…そんだら事言わなかったじゃねえか。
この証文に書いてあるがな。
このとおり!それに判ついたんは女房のお前だろ?難しい言葉が読めねえって知っての仕業だね?何の事だ?気に入らないねえ!何だと?よさねえか!阿久沢様の奥様だ。
すいませんね。
うちの若え者は血の気が多くて。
もうちっとちゃんとしつけといておくれ。
まあとにかく今日は帰っとくれ。
へえ。
ですがまた伺いますんで。
塩持ってきとくれ。
はい。
(キク)おっ母ちゃん…。
大丈夫だがね。
私がちゃんと話つけといてあげるから。
おせいさんいつもすいません。
あ〜あしょうがないね。
本当おせいさんがいてくれてよかったよ。
何かあった時はいつも助けてくれるからね。

(テーマ音楽)・「愚かなる吾れのことをも」・「友とめづ人はわがとも友と」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「燃ゆ」おせいさんのおかげで今日は事なきを得ました。
(寿)ですがそういうかたりまがいの事が堂々と行われとるんとしたらなんとかせんと。
(素彦)ああ。
早速警察ともはかって取り締まらせよう。
じゃが問題は…。
はい。
トメさんが文章が分かれば起こらんかったという事です。
トメさんの十になる娘さんも一人前に糸挽きをしとって…。
まだまだ女の子に教育など無用と思われとるんじゃろう。
この群馬だけの話じゃないが…。
長州でもそうでした。
すべての子どもたちが読み書きの手ほどきを受けてた訳ではなかったし…。
まずは小学校で学ばせねばならんな。
ですが大人たちが子どもを働き手と思うておっては…。
母親たちにもっと読み書きを覚えてもらうというのはどうでしょう?母親に?ええ。
そうすれば毎日の暮らしの中で自分の世界が広がるんが分かってもらえます。
子どもたちにも勉強させたいと思うはずです。
ええ考えですね。
じゃがどこで母親に勉強を?どこでもできます。
寅兄は台柄を踏みながら勉強しとりました。
私も手伝いたいんですけど…このところまた体の方が…。
寿姉…。
大丈夫か?寿。
ええ。
今日は先に休まして頂いてもよろしいですか?ああ。
さあ。
今夜も遅うまでお仕事ですか。
ああ。
寿は?もう眠っております。
そうか。
姉上の病ええ療法はないんですか?中風は難しい病気じゃ。
東京でもええ医者を探してもろうとるんじゃが…。
寿にはこれまで苦労のかけ通しじゃった。
兄上…。
これからはできるだけそばにおってやるつもりじゃ。
はい。
姉上にはそれがどねぇなお薬より効くと思います。
そのころ萩では…。
(文之進)おお。
小太郎。
前原殿は今どこで何をしておる?あれ以来何も事を起こさぬとは。
回想
(前原)新政府は我らの声を聞こうとはせん。
こうなればこの命懸け天子様に直訴奉るのみ!それが…。
(民治)ああ…それよりちいとご相談が。
あの〜…小太郎を東京で学問させたいと思うとりまして。
東京にじゃと?はい…。
たわけ!許さん!まあここんとこ生糸が高値で売れてるようだね。
はい。
皆大もうけできそうです!頼みますよ。
旦那様はご公務でお忙しいんだからね。
はい。
あの…字を覚えてみませんか?字を?はい。
もっと読み書きできたら暮らしに役立つ事もあります。
あの…これになろうて書けばすぐに覚えられますから。
そういうんは私たちにはねえ。
そねな事言わんと毎日ちいっとずつでも…。
いくらおいでんなっても構わないけど勝手な事はやめとくれ。
昨日みたいな事があっても私がいるから大丈夫だがね。
それに勉強する暇があるなら少〜しでも稼いでもらった方がいいってもんだ。
みんな楽な暮らしをしている訳じゃないんだ。
お手伝いさんみたいに。
さあみんな今日もたくさん糸を挽いとくれ!
(一同)はい!「お手伝いさんみたいに」か…。
お手伝いさん?はい。
おせいさん私の事お手伝いさんって呼ぶんですよ。
じゃあ楽しみやねえ。
いつ名を呼んでくれるんか。
寿姉!やけど我が家はありがたかったなと改めて思います。
女の私たちにも勉強させてくれましたから。
そうやねえ。
今になって塾の事をよう思い出します。
学びたいと皆さん目を輝かせていました。
姉上…。
塾にいらした前原さんの事なんですが…。
旦那様も前原様の事はひどく気にされとって政府や国元に様子を聞いとるようです。
やはりそうですか…。
また長州の者たちが戦をするような事があっては…。
久米次郎を東京に出してやってよかった…。
回想政府に対する不満もあろうが今のお前には世を見通す力がまだまだ足りん。
では私を東京に行かせて下さいませ。
自分勝手な事を言うとるのは分かっとります。
ですが今久米次郎が萩におったらと思うと…。
小太郎も東京に行きたがっとると聞きましたが…。
叔父上が許さんようです。
吉田家の跡取りを外に出す訳にはいかんと。
それに叔父上は前原さんたちのお味方をしとるようで…。
何もなければええんですが。
・ごめんください!あ…はい。
久坂美和様宛ての封書です。
はいありがとうございます。
(前原)「美和殿まこと申し訳なき儀に候」。
前原さん…。
美和の不安は的中していた。
今こそ我々はもう一つの維新を起こす!
(一同)おお!前原は300名余りの士族を率いて挙兵。
世に言う萩の乱である。
前原さん…。
回想自分の志を世に問うて何が悪いんです?久米次郎は…。
美和お願い。
はい…。
そのころ楫取のもとへも東京の木戸から至急の知らせが届けられていた。
(木戸)何としてもこの反乱を鎮圧するんじゃ!政府に刃向かう者たちを一掃する!
(博文)ですが長州の者たちはかつて一緒に戦うた仲間…。
やつらはもはや逆賊じゃ。
兄上!萩で前原さんが…。
知っておる。
木戸から知らせがあった。
では…。
もう反乱は起こっとる。
政府が鎮圧に動き始めた。
私は今から萩へ行く。
私は東京へ。
久米次郎を引き止めんと。
回想
(前原)あなたの言うとおり力では何も解決せんのかもしれん。
もう一度私を信じ集まってくれた者たちとよう話し合います。
前原さん…どうして…。
撃て〜!前原たちは萩で鎮圧軍と激突。
しかし鎮圧軍の圧倒的な兵力を前に劣勢を強いられた。
戦いには多くの若者たちも参加していた。
民治と亀の長男小太郎もその一人であった。
(亀)小太郎…無事でいておくれ…。
どうか無事で生きて…。

(砲撃音)今の旦那様は群馬の県令です。
それに今行けばどねな災難に巻き込まれるか…。
じゃが行かねばならん。
お願いです。
木戸様たちはこのような事があるかもしれんとお考えになり旦那様を関わらせんためにこの群馬の県令に任じたんだと私は思うております。
たとえそうだとしてもあの者たちの思いを分かっとるんは私じゃ。
私が行かねば。
いいえ!行かせる訳にはまいりません!それにもう起こってしもうたんです!止める事はできません!旦那様なりません!旦…。
寿!寿!寿!どいて下さい。
いいえ。
久米次郎行ってはいけません!私は前原様や小太郎たち仲間と共に戦いたいんです!今行ってももう遅いんです!どういう事ですか?政府軍がすでに反乱を抑えとるはずです。
だとしたらなおの事急がねば。
小太郎たちを見捨てる事はできません!いけません!私を卑怯者にしたいんですか?自分の意志も貫けん愚かな男にしたいんですか?今行かなければ私はこの先生きていけません。
分かりました。
私も行きます。
えっ?自分の目で確かめてみんさい。
そして数日後の事。
群馬に残った楫取のもとへ内務省の高官となっていた品川弥二郎が訪れた。
無事反乱は鎮圧しました。
たった数日でか。
力の差は最初から明らかでした。
前原はどうなった?首謀者の前原はまだ捕まらず今全力でその行方を追っております。
前原…。
楫取さん。
私は松下村塾の仲間たちに生かされてきたと思うとります。
やから死んでいった者たちの分も世のために尽くしてきたつもりです。
やのに…わしは前原さんに何もしてやれんのですか?小太郎…。
私は公務で山代に行くよう命じられ…。
おったら何が何でも引き止めた…。
兄上…。
お恨みします…。
叔父上さえ小太郎の東京行きをお許し下さっとったら…。
亀。
そうでございましょう!?小太郎は巻き込まれず死なずに済みました。
(民治)よさんか。
叔父上も分かっておられた。
じゃから…。
叔父上が…どうかされたんですか?
(滝)文之進様は…。
お腹を召されました。
えっ?小太郎たちが死んだと聞いてすぐの事でした。
これを残されて…。
(文之進)「わしは武士としてどう生きるべきかをいつも考えていた。
武士とは生まれるものではない。
つくられるものである。
武士とは信念を貫く者の事。
前原殿はまことの武士であった」。
私は政府に手紙を書き訴え続けておりました。
民のための政をすべきだと。
ですがその声が届かんかったんです。
誰かが立ち上がらねばならんのです。
では私が立とう。
えっ…?この老いぼれた命最後に使おう。
玉木様…。
最後まで武士として生きる。
玉木様なりません。
松陰先生の弟子が立たねば。
立つんは先生の弟子の私をおいてほかにはおりません。

(文之進)「わしは止める事はせん」。
「信念は貫かれねばならん。
じゃが若い命懸けさせてよいのかどうか…」。
叔父上…。
すでにその時には覚悟されとったんでしょう。
やからみずから命を絶たれ…。
母上…。
すみません…。
ですが何もする気が起こりません…。
せわぁない。
お任せ下さい。
久米次郎?私は東京へ帰ります。
仲間たちと共に戦えず一人残されるとは…。
これから失意のうちに生きていく事となりましょう。
いいえ違います。
あなたはみんなの分まで生きて…。
きれい事はもうええんです!私は志を立てる道がことごとく潰されていく。
それならもう何も考えずに生きていくだけです。
母上。
さあ食べんと。
美和が作ってくれたんじゃ。
頂こう。
そのころ天皇への直訴を目指した前原は島根で捕らえられ萩の牢獄につながれていた。
前原は斬首か…。
(木戸)いかにも。
せめてその前に前原の思いだけでも聞きに萩に行ってやれんか?民のための政をと訴え続けたその思いを政府として聞いてやってもらいたいんじゃ。
分かりました。
行きましょう。
じゃが今日本を取り巻く世界の状況は激しく動いている。
まずは何としても不平等条約を改正せねば西欧諸国から日本を守る事はできません。
そのために国の仕組みを大きく変えねばなりません。
つまり武士の世を終わらせる事です。
武士の特権を剥奪し四民平等にする。
そのために士族にとっては厳しい政策をとらざるをえんかった。
昔からお前は力に訴えるのではなく話し合いでの解決を誰よりも望んどった。
諸隊の反乱を鎮圧した時もそして今回も悩み抜いた末の事じゃと私は思うとる。
楫取さん…。
政府の土台を今こそ揺るがんもんにせねばならんのです!でなければこの国は新しい国家として生まれ変わる事はできん。
こうするのが一番なんです。
それが維新を生き残った者の務め!誰かが背負わねばならん役目なんじゃ。
分かっとる。
この後前原は…。
斬首された。
回想
(一同)えいえいお〜!えいえいお〜!えいえいお〜!えいえいお〜!えいえいお〜!えいえいお〜!えいえいお〜!寿の調子がようないんでしょう。
早う帰ってあげんさい。
やけど…。
こっちの事は心配せんで。
なんとかやっていけます。
寿を頼みます。
はい…。
分かりました。

(せい)ごめんなんし。
阿久沢の妻でございます。
どうぞお上がり下さい。
あっ…。
あらま奥様お一人でしたか。
すみませんお邪魔しますよ。
こんな格好でこちらこそすみません。
お手伝いさんは?どうなさいましたん?近頃お見かけしませんが。
妹の美和はもう帰ってくると思います。
はあどちらへ?ちょっと実家の萩へ。
ああそうでございましたか。
では私が代わりにお手伝いさんに。
さあもう何でもお言いつけなんしね。
お寒いでしょう。
すみません。
はいはいどうぞ。
どうぞどうぞ。
病気のお姉様を放っておいて何しに…。
あっああどうもどうも。
ただいま帰りました。
お疲れさまでございます。
お帰りなさい!うまいかい?はい!あら旦那様?県庁のお仕事の方は?
(権蔵)それよか生糸の相場が気になってさ。
ここんところ相場は大荒れだ。
萩で何かあったんかいね?県令様の地元で。
士族の反乱だろう。
今あっちこっちで起こってる。
けどすべて政府軍が圧勝よ。
これでいよいよ武士の時代は終わるって事だ。
へえ〜…。
本当に世の中変わりそうだいね。
ああ。
これからは商売人の世の中だ。
もうけねえとな。
はい。
(亀)美和さんそろそろ向こうにお着きになる頃ですかね。
とうとう最後まであの子に泣き言の一つも言わせんで送り出してしもうた…。
はい…。
美和さんのおかげで私は涙に明け暮れる事ができました。
やからもう流す涙ものうなりました。
私もです。
美和がそばにおってくれたおかげで…。
やけど…誰があの子の悲しみを受け止めてくれるんやろう…。
お前にもまたつらい思いをさせてしもうた。
すまん。
兄上…。
もう誰も死なんでほしいのに…。
やのに…また…。
どうして…大事な人たちばっかり…。
お断りします。
群馬で教育を根づかせようとする美和と楫取。
(トメ)学問は偉え人らがやりゃいんだ。
(権蔵)学校なんざいらん。
これからは誰でも自分で人生を好きに生きていけるんです!松下村塾も初めは狭い部屋から始まりました。
前原一誠は政府の要職を歴任したあと萩に戻りました。
前原は政府の近代化政策に不満を抱く士族たちの中心的な存在になっていきます。
明治9年10月旧藩校明倫館に士族が集結。
前原は政府の政策をただすため挙兵に踏み切ります。
杉民治の長男吉田小太郎は真っ先に駆けつけた一人でした。
しかし僅か10日ほどで政府軍に敗れます
前原に賛同した玉木文之進は責任を取り切腹。
前原は捕らえられ処刑されました。
吉田松陰から誠実な人柄を高く評価された前原一誠。
困窮する人々のため前原はその身をささげたのです
(手をたたく音)2015/10/31(土) 13:05〜13:50
NHK総合1・神戸
花燃ゆ(43)「萩の乱に誓う」故郷の悲劇が二人を近づける![解][字][デ][再]

美和(井上真央)と楫取(大沢たかお)の元に、萩で前原一誠(佐藤隆太)が反乱を起したとの知らせが…!家族や友人が巻き込まれる戦に、美和は萩に戻ることを決意する!

詳細情報
番組内容
美和(井上真央)は阿久沢せい(三田佳子)から、養蚕の仕事場を案内され、女たちが幼い頃から働いている現状を知る。楫取(大沢たかお)も学校を視察し、子どもたちの就学状況を危惧しており、二人は教育を振興させるための策を熱心に考え始める。そんな折、萩で前原一誠(佐藤隆太)が新政府に不平を持つ士族を集め、反乱を起したことが知らされる。家族、友人が渦中にある中、美和は楫取に代わって、萩に戻ることを決める…!
出演者
【出演】井上真央,大沢たかお,原田泰造,優香,久保田磨希,劇団ひとり,佐藤隆太,音尾琢真,檀ふみ,奥田瑛二,東山紀之,江守徹,三田佳子,【語り】池田秀一
原作・脚本
【脚本】小松江里子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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