体操日本のエース・内村航平が前人未到の個人総合6連覇を達成した。
悲願の団体金メダルから2日。
静かに会場入りした体操界の絶対王者が今度は会場内の視線を一身に集めた。
まずは、得意のゆか。
すべての着地をまとめ、この種目トップの15.733をたたき出す。
続くあん馬。
最も姿勢減点が多いと言われる種目でつま先までピンと伸びた美しい演技。
15点を超え、この時点でトップに立つ。
3種目めは、今シーズン唯一、難易度を下げたつり輪。
それでも吸いつくような着地を決めトップを譲らない。
そして4種目めの跳馬。
できばえを示すEスコアは10点満点で9.433。
再び全体トップの得点をマークする。
しかし、ここでキューバの新星、ラルデュエトが内村に0.7点差に迫る猛追。
それでも5連覇中の王者は動じない。
5種目めの平行棒。
ほぼ完璧な演技で15.833の高得点。
再び差を広げる。
迎えた最終種目の鉄棒。
団体戦で落下したG難度のカッシーナはあえてやめ美しさを追求する。
そして…完璧な着地に勝利を確信し、珍しく観客の拍手をあおる。
2位に1.6点以上の差をつける圧勝で、前人未到の6連覇を達成。
リオオリンピックの代表にも内定した。
1億総活躍社会が言われる中、そんなスローガンもむなしく聞こえます。
今日の特集をぜひともご覧いただきたいと思います。
続いては、先ほど入ってきたニュースです。
まずは、旅客機が消息を絶ったというニュースから。
ロシア通信によると、エジプトのシャルム・エル・シェイク発ロシアのサンクトペテルブルク行きの旅客機が消息を絶った。
旅客機はロシアのコガリマビア航空のエアバスA321型機で、乗客・乗員合わせて224人が乗っていたと見られている。
ロイター通信はエジプトの首相府の情報として、旅客機はエジプトのシナイ半島に墜落したと伝えている。
一方で旅客機は墜落はしておらず、不時着したという情報もあり、情報は錯綜している。
またタス通信によると、機長から緊急着陸したいという連絡があった後、消息を絶ったとのこと。
維新の党を除籍された国会議員らによる新しい国政政党、おおさか維新の会の結党大会が大阪市内で開かれた。
新党の代表には大阪市の橋下市長が就任した。
結党大会には、維新の党を除籍された国会議員ら18人が参加し、橋下徹大阪市長が代表に就任した。
党本部は大阪に置き、あさって正式に総務省に設立を届け出る。
綱領には大阪の副首都化を掲げていて、橋下代表は新党立ち上げで来月の大阪府知事・市長選にはずみをつけたい考え。
しかし、維新の党をめぐっては大阪系議員らが、臨時党大会とする会議を開き、党の解党を決めたが、松野代表ら執行部はこれを認めていない。
今後、維新の党とおおさか維新の会が併存する事態となりそう。
今日午後、愛知県知立市の飲食店に車が突っ込み、客ら11人が重軽傷を負った。
警察は運転手の男を過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕した。
警察や消防によると今日午後2時前、知立市山町の飲食店、藤田屋本店にワンボックスカーが突っ込んだ。
客ら11人がケガをし、10〜70代の男女7人が病院へ搬送、うち3人が重傷。
運転手にケガはなかった。
運転手は市内に住む76歳の男で警察は過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕。
男は店の出入り業者で、アクセルとブレーキを踏み間違えたと話しているとのこと。
アメリカのオバマ大統領は、過激派組織イスラム国に対する掃討作戦を支援するため軍の特殊部隊をシリア北部に派遣することを承認した。
シリアへの地上部隊の派遣は初めて。
アメリカ軍は数週間以内にシリア北部に特殊部隊50人未満を派遣することを決定した。
前線には行かず、本部にとどまって軍事顧問団としてイスラム国と戦う反体制派の支援に当たるとのこと。
オバマ政権はシリア反体制派の軍事訓練を停止して武器の供与に方針を転換したばかりで、特殊部隊の派遣により、軍事介入を拡大する格好。
アメリカ軍はイラクには軍事顧問団を派遣しているが、シリアへの派遣は初めてとなる。
そのシリア情勢をめぐり、オーストリア・ウィーンで30日、アメリカやロシア、関係各国の外相らが集まり、今後の和平プロセスについて協議した。
今回、イランが初めて参加したが、アサド大統領の処遇をめぐって意見が合わず、合意は先送りされた。
協議は2週間以内に再び行われることになっている。
民主党の有田芳生参議院議員は、北朝鮮による日本人拉致被害者などの再調査について、日本側への報告が年明けになる可能性があることを明らかにした。
今月27日から北朝鮮を訪問していた有田議員は、経由地の中国・北京で報道陣に対し北朝鮮で日朝協議に関係する政府高官らと協議したことを明らかにした。
有田議員は北朝鮮による日本人拉致被害者などの再調査について報告書はほぼ完成しているが、日本への提出は年明けになるかもしれないとの説明を受けたとのこと。
北朝鮮側は報告について、口頭ではなく文書で提出したいと説明。
もし日本が報告の内容に納得せず受け取りを拒否した場合、一方的に発表せざるを得ないこともあり得ると話したとのこと。
ハロウィーン当日の今日、週末ということもあり、東京の渋谷は既に仮装した人々で大混雑している。
警視庁は態勢を強化し、警戒に当たっている。
思い思いの仮装を楽しむ若者たち。
渋谷駅周辺には日が暮れるにつれて多くの人々が集まり、ゆっくりとしか前に進めないほどの混雑ぶり。
今年のハロウィーンは土曜日で、多くの人出が見込まれるため警視庁は警備人数を去年より大幅に増やし、W杯や新年のカウントダウンに匹敵する数百人態勢で渋谷の繁華街の警戒に当たっている。
トルコでは、明日の総選挙を前に、政府に批判的なメディアを封じ込めるなど言論統制とも言える動きが強まっていてEUなどから懸念の声が上がっている。
私の後ろにある建物、トルコの地元のテレビ局で、政府に批判的な報道で知られていましたが、現在は警察の監視下に置かれています。
今月28日、トルコの警察が地元のメディアグループの社屋に突入。
これを阻止しようとする記者らとの間で衝突が起きた。
警察は、あくまでも治安対策の一環としているが、グループ傘下のメディアは政府に批判的な報道で知られていてそれを抑え込むための措置と見られている。
こうした政府の強硬姿勢の背景にあるのが今月10日、アンカラで102人が犠牲になった爆破テロ事件。
政府はテロ対策への不満が国民の間に広がっていることに神経をとがらせている。
トルコ政府の動向に対し、EUのモゲリーニ上級代表は、言論の自由は守られるべきだとして強い懸念を示している。
さらに、選挙での不正も問題視されている。
これは過去の地方選挙で投票用紙が燃やされ捨てられていたことを伝える地元テレビ局の映像。
トルコでは選挙のたびにこうした不正への疑念がつきまとう。
特集です。
中国が人工島を建設中の南沙諸島にアメリカがイージス艦を派遣しました。
中国はなぜ海洋進出を急ぐのでしょうか。
その背景を探りました。
27日、アメリカのカーター国防長官はアメリカ海軍のイージス駆逐艦が南シナ海・南沙諸島にある中国の人工島の12海里内に侵入したことを明らかにした。
航行の自由作戦と名づけたアメリカの行動。
一方中国は、不快感をあらわにした中国は、アメリカのイージス艦を駆逐艦「蘭州」などで追尾し、警告した。
29日にはアメリカと中国の海軍両トップがテレビ電話でおよそ1時間会談。
偶発的な衝突を回避するために定めた行動規範を守っていくことが必要との認識で一致したと言う。
米中の対立の舞台となった南沙諸島とはどのような場所なのか。
中国は、南シナ海の大半を九段線と呼ばれる線で取り囲み、領有権を主張している。
南沙諸島は、この中にある。
海洋資源も豊富。
フィリピンやベトナムなども領有権を主張しているが、中国は7つの人工島の建設を進めている。
アメリカの駆逐艦はこのうちの1つ、スビ礁の近くを航行したとされる。
これは、先月撮影されたスビ礁の衛星写真。
建設工事が進んでいるのがはっきりわかる。
中国は何をつくろうとしているのか。
もと自衛艦隊司令官の香田洋二氏は、こう分析する。
今まで中国が支配が及んでいなかったところにできるということが非常に意味が大きいのではないかと考えます。
これは今年1月の写真。
開発はほとんど進んでいなかった。
香田氏はこの工事のスピードにアメリカが危機感を持ったと指摘する。
しかし、中国が開発を進める人工島はもともと満潮時には水没する暗礁。
国連海洋法条約では沿岸から12海里までが領海となるが、暗礁については領有権や領海は認められないというのが一般的な解釈。
中国の主張に対し、牽制しておくことがアメリカの狙いだったと香田氏は説明する。
領海でもないのに領海だと言って、外国の海の権利を制限しようとしているわけですね。
中国はなぜ海洋開発を急ぐのか。
中国が進出しているのは南沙諸島だけではない。
3年前からフィリピンの西220kmに位置するスカボロー礁も事実上、支配している。
スカボロー礁周辺は古くからフィリピンの漁師たちの漁場だった。
だが、今はスカボロー礁に近づくと中国の沿岸警備隊に追い払われるという。
アテアノさんも今年3月、中国船から激しい放水を受けた。
さらに…生活がかかっているので漁を続けました。
沈没は免れたが、漁場を失い、収入は激減した。
以前は、一月に2万5000円ほど稼いでいたが、今は半額以下まで減ったと言う。
一方、フォロネスさんも漁だけでは生活ができず、3輪バイクのタクシーを始めた。
養豚も始めたが、中国船さえいなくなればまたスカボロー礁での漁を再開したいと考えている。
もともとは魚が豊富で、私たち漁師の収入源となる漁場でした。
そこを中国が破壊したんです。
2003年11月、九州の南端、大隅海峡を航行する潜水艦。
P3C対潜哨戒機は潜水艦が掲げた五星紅旗、中国の国旗を確実にとらえていた。
船体は赤茶けている。
塗料は水圧ではげ落ちたものと見られ潜水艦が深い海を長時間潜航していた能力を見せつけていた。
外洋海軍を目指す中国が日本列島に最接近した事件。
成長の速さに日本の防衛関係者は驚愕した。
中国が海軍力強化を急いだ背景にはアメリカとの確執があった。
焦点は動く巨大基地、つまり空母の存在。
96年、台湾の総統選挙で独立派の優勢が伝えられると、中国は台湾周辺で大規模な演習を行い、威嚇した。
同盟国アメリカは急きょ2隻の空母を台湾海峡に派遣。
中国は圧倒的な軍事力の差に沈黙せざるを得なかった。
中国は要するに何もできなかったわけですね、そのときに、空母の機動部隊に対して。
それで非常に悔しかったというか。
日米共同使用の山口県岩国基地。
離着陸を繰り返すアメリカの大型輸送機。
朝鮮半島有事を想定、アメリカ人を保護し、この基地に輸送する訓練。
EP3電子偵察機。
海上自衛隊は保有する5機すべてをここに配備している。
中国語、朝鮮語が堪能な隊員が乗り組み、他国の領空ギリギリまで接近し、電波情報を収集する。
防衛省の幹部ですら、機内に簡単に立ち入ることはできない。
機密性が高い偵察機だ。
EP3電子偵察機をめぐって米中の熾烈な駆け引きが起こったことがある。
極東最大のアメリカ空軍嘉手納基地。
2001年ここを飛び立ったアメリカのEP3が南シナ海で偵察中に中国の戦闘機と接触、海南島に不時着した。
いわゆる海南島事件。
このときもアメリカは空母を出動させ、軍事的な圧力で搭乗員と機体を返還させた。
空母の最大の敵は海の忍者と言われる潜水艦。
アメリカの空母に対抗して、中国は潜水艦を増強していく。
1隻が1兆円以上と言われる空母は半径300kmを駆逐艦や原子力潜水艦などに守られながら展開する。
2006年10月、沖縄近海でアメリカ海軍の度肝を抜く事件が起きた。
厳重な監視網を破り、空母の目の前に中国の原子力潜水艦が急浮上した。
その距離わずかに10km。
魚雷の射程には十分過ぎる近さだった。
これはもうすごい問題になって、アメリカ海軍としては、こんなに性能がよくなって静かな潜水艦で空母の機動部隊の中に入られちゃったわけですからね。
現在、中国海軍は大艦隊を編成し太平洋で演習を繰り返すまでになった。
南沙諸島への進出も、強力な海軍をバックにしたもの。
この高台から横須賀の港を見下ろせます。
手前にずらっと並んでいるのが自衛隊の艦船。
そして奥の方にあるのがアメリカ軍の艦船です。
現在、南沙諸島で作戦に当たっている「ラッセン」、この船もこの港を母港としています。
これは出港前日である先月13日に横須賀港に停泊しているイージス駆逐艦「ラッセン」をとらえた写真。
アメリカ海軍第7艦隊に所属し、2005年から横須賀基地に配備されている。
地元の市民グループに話を聞くと…今回の作戦についてアメリカ側は、これは当然認められるべき無害通航だということを言っていますよね?ところが今回行っているイージス艦は、極めて高い情報収集能力に加えてたくさんの種類のミサイルを持っていて。
横須賀基地に配備されるイージス艦は、今年の5月まで9隻だったが、2017年までに3隻が追加配備され、12隻となる予定。
また、今ヶま1日には、最新鋭の原子力空母、「ロナルド・レーガン」も新たに配備された。
アメリカがアジア・太平洋地域を重視するリバランス政策の一環として横須賀基地の機能も強化されているという。
全く日本とは関係ない、南シナ海というところで起こった米中の軍事的な状態というのに自動的に日本が巻き込まれていく。
その一番先端が横須賀である。
やっぱり一般的には遠い海の話である。
しかも、中国のやり方はあまりにも乱暴だというのが一般の人たちの受け止め方だと思うんですよ、今回の問題は。
その点、どうですか?非常に重要なご指摘だと思いますね。
中国がやっていることについて、何も言及しないままアメリカ軍がやっていることだけを問題だという言い方をするのは、それは通らないというか。
米中関係は今後どうなっていくのか。
クリントン政権で東アジアの安全保障政策を担当したジョセフ・ナイ氏は今週、都内で開かれた講演会でこの問題に触れた。
アメリカは埋め立てた人工島の12海里以内に艦船や飛行機を派遣しています。
それは、カーター国防長官が言ったとおりで我々は法律が許す場所ならばどこであろうと航行するということを彼らに示すためです。
さらにナイ氏は中国が軍事力で南シナ海のすべての島を領有化した場合、大きな代償を支払うことになると指摘した。
一方、2006年から中国駐在大使を務めた宮本雄二氏は、アメリカと中国の間で冷静な駆け引きがあったのではないかと話す。
このニュースを聞かれて、宮本さんは最初、何をお感じになりましたか?ついに来たなということなんですが、しかしながら、ここまでずっといくいくと言われながらここまで時間がかかった。
国防の最高責任者である范長龍という中央軍事委員会の副主席、制服のナンバーワンがいるんですね。
彼が10月17日の香山会議というのが北京で開かれたんですが、その場で、領土主権に関わる問題であっても、中国はもう軽々に武力に訴えることはしないと、話し合いによって解決するんだということを明確に打ち出しているんですね。
これで、人民解放軍はアメリカと何らかの折り合いをつける覚悟だなというのを感じましたね。
それを受け取った上での今回の行動?そうだと思います。
そして、日本の対応については、アメリカと比較しながら、次のように指摘した。
アメリカ政府というのは、非常に冷静に中国を分析して、そしてアメリカの指導者、1つ1つの言葉づかいでも十分研究してやってますよ。
あれだの大国があれだけ慎重な、精緻な外交をやっていることについて、かねがね敬意を払ってるんです。
まずこちらをご覧いただきたいんですが、これは日本の防衛政策なんです。
日米の軍事力、防衛力が中国の軍事力よりも大きくならなければならないというんですが、これを保つために日米としてはフィリピンですとかオーストラリア、またインドとも共同の訓練を行っていまして、また自衛隊としては集団的自衛権の行使を先取りするような訓練を行っていると、そういった図式になっているわけなんですね。
南シナ海をめぐる状況が新たな段階に入って、緊張感も増していることは事実だとは思いますけれども、一方で注目したいのは、米中の特に軍です、そこが対話のチャンネルをしっかり維持をしようとしていることなんですね。
中国というのは大体対立が起きると一方的に対話のチャンネルを切ろうとする、特に日本に対してそういう作戦をとるんですけれども、今回の場合、VTRにあったように米中海軍のトップがテレビで会談を行ったり、あさってからはまさに当事者であるアメリカの太平洋司令官が中国を公式訪問するんですね。
ですから、確かに南シナ海で何が起きているかということは重要ですけれども、その裏で米中の駆け引き、これも注目しないと物事をもしかすると見誤ってしまうと。
日本がどう対応すべきかなんですけれども、無条件にアメリカの作戦支持を言う前に頭を冷やせっていうか、外交努力を冷静に続けようという基本を堅持するべきだと、宮本元大使も指摘したんですけれどもむしろ領有権問題を東南アジアの国々と一緒にどう解決するかという根本問題について積極的に発言していく、イニシアチブをとるチャンスなんじゃないかと言ってましたが、米中対立をあおるような態度はもちろん論外ですけどね。
資格障害の盲、聴覚障害のろう、2つの障害が重なった状態を盲ろうと呼びます。
得られる情報が極端に制限されるため、情報障害者とも言われる盲ろうの人たち。
中でも教育を必要とする子どもの場合は大きな困難を伴います。
盲ろうの子どもたち、その学びの現場を取材しました。
公園で遊ぶ子どもたちがいた。
しかし、皆1人で移動することはできず、必ずそばに人がつく。
この子どもたちは、盲ろう者。
盲ろうとは、視覚と聴覚、その両方に障害があることを言う。
光も、音も得られにくい世界でこの子たちは生きている。
全国におよそ1万4000人いると言われている盲ろう者だが、年齢を重ねる過程で傷害が重複していくケースが多く、ほとんどが大人。
子どもは非常に少ない。
学齢期の盲ろう児は600人程度いると推定されているが、公的な調査は一度も実施されておらず、実際の数はわからない。
人数の少なさゆえ、盲ろうの子どもを持つ親は地域で孤立しがち。
そこで12年前に親たちが会を立ち上げ、年に1度、交流の場を設けている。
先輩ママに聞くと、それね昔うちもそうだったということが結構多くて、そうだったんですねっていう、ちょっと安心するというか。
杉浦さんの娘の花音ちゃんは、視覚と聴覚が少し機能している弱視難聴の盲ろう児。
花音ちゃんは今、都内の盲学校に週1回通い、教育相談を受けている。
この学校は、日本に1校しかない国立の盲学校で、視覚障害の子どものほかに盲ろう児の指導も行っている。
母親の真実子さんは盲学校とろう学校、両方に通いながら今後、娘に合った学校を選びたいというが、不安が大きい。
盲ろう児の指導経験がある副校長の星さんのもとには遠方からも多くの親が相談に訪れる。
その親たちから、決まって聞かれる質問があると言う。
すごく不安を抱えられていますね。
盲ろうの子どもは、目からも耳からも情報が得られにくい過酷な状況にある。
しかし、日本には盲ろう児に特化した教育機関は存在しない。
また、盲学校にもろう学校にも指導経験のある教員がほとんどいないというのが現状。
高い専門性が求められる横浜訓盲学院。
この学校は、盲ろう児など視覚障害とほかの障害が重複している児童を受け入れている。
長年にわたり、盲ろう児教育を実践してきた日本で唯一の民間の学校。
朝の授業が始まった。
ほかの生徒と離れたところに1人の女の子が。
ぐっすりと眠り込んでいた。
小学3年の井本美希ちゃん。
美希ちゃんは生まれつきの盲ろうで、強い光と大きな音しか感じることができない。
ちょっと寝てもらって、でも極力深い睡眠に入らないように、学校では活動して。
盲ろう児は、光や音の刺激が少ないために、昼夜の区別がつかず、睡眠のリズムがつくりにくい。
学習に入る前から体調面で困難を抱えている。
美希ちゃんは寂しいとき、手のひらを上に向けてタッチを求める。
盲ろうの場合、すぐそばに人がいても孤立する。
相手と触れ合うことが唯一の意思疎通の手段。
学習には独特の道具を使う。
透明のケースの中にはシンボルと呼ばれる、それぞれ違ったものが入れられている。
これが美希ちゃんの時間割。
シンボルを触ることで、これから何が始まり何が終わったのか、一日の見通しを立てる。
美希ちゃんはブランコなどの揺れる遊びが大好き。
盲ろうの子どもは、手先で遊ぶおもちゃなどは理解しにくく、体全体に刺激が伝わる遊びを好むと言う。
この日、いつものように登校してきた美希ちゃんだったか、外が寒かったのか、震えていた。
すかさず、先生が美希ちゃんの手をとり、体全体で震えさせる。
感情表現を教えているのだ。
盲ろう児の学びで、感情ほど教えにくいものはないと言う。
寒い、暑い、うれしい、悲しいといった気持ちを伝えられるように、表情や仕草を身につけさせる。
子どもは誰かに教えられなくても見て、聞いて自然の世の中の道理や仕組みなどの概念を学ぶことができる。
これを偶発的学習と言う。
しかし、盲ろうの場合はそれが難しい。
タライの中に入れたビー玉。
このビー玉を空き缶に入れたり出したりする。
これは概念の学習。
物は自分の手元から離れても存在している、これを保存の概念と呼ぶ。
盲ろう児には、途方もない時間をかけながら様々な概念を1つ1つ教えなければならない。
学院長の中澤さんは、40年以上にわたって盲ろう児を指導してきた日本の数少ない研究者。
盲ろう児の学習について、こう話す概念のほかに、盲ろう児にとって欠かすことのできない学習がコミュニケーション。
お腹を触ればトイレ。
口を触ればご飯。
美希ちゃんはこうした身振りでのサインを幾つか覚えているが、自分から発信することは少ない。
この日、先生が点字の絵本を触らせようとしていたが、美希ちゃんはあまり乗り気ではない様子。
何とか気を向けさせようとする先生に美希ちゃんは…わかった、おしまいね。
手を重ね、上の手のひらを滑らせるしぐさ。
これが終わりのサイン。
今まで学校ではほとんど見せなかったサインを、美希ちゃんが自ら出して気持ちを伝えた。
先生は絵本をすぐにやめて、美希ちゃんが好きなトランポリンで遊ぶことにした。
終わりのサインを受け止めなければ通じなかったと美希ちゃんが思い、今後、サインを積極的に出さなくなる可能性があるから。
学校で美希ちゃんの様子をときどき見守っている母親の千香子さん。
この学校に入って娘の成長が実感できるようになったと言う。
先生がすごいよく見てくれてるじゃないですか。
こういうことができるようになったと言ってくれると、本当にありがたいですね。
日本で本格的な盲ろう児教育が行われたのは今からおよそ60年前。
山梨県の盲学校に入った男女2人の盲ろう児に対して東京大学と盲学校の研究者が共同で学習指導を行った。
人間が人間である世界へ、彼らを導き入れなければならない。
山口茂子さんと秋山忠夫さんは生後間もない時期に病気で高熱を出し、盲ろうになった。
研究者らは、2人と寝食をともにしながら地道な指導を続け概念や言語を獲得させていった。
2人の教育は成人するまで続けられた。
そして、現在…。
秋山さんと山口さんは山梨の障害者施設に入所し、元気に暮らしている。
文字を指で表す手話を使って職員と意思疎通する。
子どもの頃の学習で身につけたもの。
細かいやりとりまでは難しいが、必要な要件は確実に理解できる。
点字の読み書きもできる。
山口さんは点字を打つことが好きだと言う。
生活に必要な身の回りのことは、ほとんど自分でする。
几帳面な秋山さんは、洗った服をきっちりたたんでタンスにしまう。
きっちり全部、布団もしくし服も着るしということで、とても驚きました。
2人は一日数時間、簡単な仕事もこなしている。
もし教育を受けていなければ彼らの人生は全く違ったものになっていただろう。
こうして60年前から始まった盲ろう児教育だが、日本の盲ろう児に対する教育環境はその後ほとんど変わっていない。
なぜか。
日本の法律では、盲ろうという障害が特別に定義されておらず、そのため国レベルでの教育システムは全く整備されていない。
たまたま盲ろう児を受け入れた学校がノウハウもないままに指導せざるを得ないのが現状。
制度がない中で、中澤さんら盲ろう児教育に携わる指導者たちは、有志で研究会を設立。
教員や家族へ情報を提供している。
研究会には、盲ろう児を担当する教員が全国から集まるが、ほとんどの人が私費で参加している。
手足の動く範囲から先にまだ行き切らないという。
そこがすごく大きな悩みです。
鹿児島盲学校の上峯先生は、初めて担当した盲ろう児の指導に悩んでいた。
その子どもは、鹿児島の離島、種子島に住んでいる。
粟屋紗世ちゃん4歳。
先天性の盲ろう児。
紗世ちゃんは両親と姉、弟の5人家族で暮らしている。
紗世ちゃんの視覚はわずかに光を感じることができ、聴覚は耳元の大きな音なら聞こえる。
家では、ずっと音の出るおもちゃで遊んでいると言う。
楽しみがないんでしょうね、やっぱりね。
いろいろなおもちゃも挑戦してみたけど、音が鳴るおもちゃが一番で。
紗世ちゃんは短い時間なら立ったり座ったりできる。
しかし、その場からほとんど動くことはない。
前に進むがない。
子どもは関心を持ったところに自分で行くが、紗世ちゃんの場合、その興味の対象になるもの自体を知らない。
そのため移動する目的がなく、その場にとどまっている。
紗世ちゃんは2011年9月に誕生した。
妊娠中の検査で異常が確認されたため、鹿児島市の大学病院で出産。
目と耳の障害は生まれてからわかったという。
何か、真っ白になったというか、よくわからなかったですね。
ちょっと信じられない?そうですね…。
ごめんなさい、ちょっと待って。
目も耳もってなったときに、想像ができなかった。
今でもできないんです。
これから何をさせてあげたらいいのかなって。
何か楽しいことを見つけてあげられたらなと思うけど、それがどんなのかあるのかというのが全然わからないから。
島には、紗世ちゃんを専門的に指導してくれる学校がないからだ。
種子島から鹿児島市へは高速船で1時間半かかる。
最も教育を必要としている子どもが、最も困難な環境にいる。
鹿児島盲学校に着くと、上峯先生が出迎えた。
爆睡ですね。
移動中に泣き疲れ、紗世ちゃんは眠ってしまった。
紗世ちゃんはブランケットに乗って揺らしてもらう遊びが大好き。
動きが止まると、紗世ちゃんは首を振った。
もっとやってという紗世ちゃんのサイン。
わかった、わかったよ。
少しずつ意思表示ができるようになってきたというが、2カ月に1度、わずか2時間程度では新しい試みがなかなかできないと上峯先生は言う。
どうしても間があくと、その間、成長しているじゃないですか。
またおうちで新しく何か感じたり、学んでることがきっとあるので、そこら辺をつかむのが少しまた時間がかかったりするのかなという。
この日、盲ろう教育の専門家の中澤さんと星さんが種子島を訪れた。
紗世ちゃんの様子を見るため。
中澤さんたちは、盲ろう児の指導に悩む教師や家族から相談を受けると、休日返上で全国を回っている。
鹿児島盲学校の上峯先生も駆けつけた。
紗世ちゃんの自宅を訪問するのは初めてだと言う。
母親の直美さんが普段、紗世ちゃんにどのように接しているか、中澤さんたちは、まずその様子を観察する。
どうしたの、どうしたの、紗世ちゃん。
人がいっぱいいるんだよ、紗世ちゃん。
聞いてる声出してる。
聞こえてる?答えてる。
今、見ると、どうもお母さんと彼女の左の頬ってとっても大事みたいなので例えば、お母さんのところに行くたびにお母さんってやってやると、もしかしたらそのうち、お母さん来てって言うかもしれない。
左頬を触れば母親のサイン。
このサインを覚えれば、紗世ちゃんは自分の頬を触って母親を呼ぶことができるかもれしないとアドバイスした。
様々な方法を使って紗世ちゃんの心に働きかける。
中澤さんがテーブルをたたくと…紗世ちゃんもたたき出した。
音と震動を感じ取って、紗世ちゃんがしっかりと応えた。
考えたね。
そうそう、ああ、うれしい、うれしいさらに、この後の行動が先生たちを驚かせる。
おもちゃをテーブルから下に落としてしまった紗世ちゃん。
手を伸ばし、探している様子。
先生たちはじっと見守る。
そして1分ほどたったとき…すごい!紗世ちゃんは自分でおもちゃを捜し当てた。
ものは手元から消えてもなくならないという概念を既に身につけていた。
紗世ちゃんは先生たちの前で次々と持っている力を発揮した。
おうちでとってもいい土台をつくっていらっしゃいますし、盲学校でもいろいろ工夫されてますし、私は可能性は大だと思ってます。
これから楽しみだし。
島では専門的な指導を受けることはできないが、今後、中澤さんや星さんが地元の学校と連携しながらサポートし、紗世ちゃんの学びを育むことになった。
今のVTR見てて、盲ろうの子どもたち世界がもっと広がっていって、より根源的な問題というか、困難を抱える子どもたちが自分の能力をまさに開かれていく瞬間、ああいうのを見ると、教育というのは本来何のために行われているんだろうな、こういうことのために行われているんじゃないかというそういう気持ちがすごく深く広がっていったというか、なんかね、神聖な気持ちになったみたいな気持ちがしましたけど。
正直なところですけどね。
種子島の紗世ちゃんも、これからどういう大人になっていくのかな、見守っていきたい気持ちになりましたけれども、取材した河北ディレクターの話によりますと、担当している鹿児島盲学校の先生が自費で研修に行ったから専門家とつながったということなんですよね。
その最も教育を必要としている子どもたちなのに、そういった先生たちの熱意ですとか、そういった偶然の出会いに頼ってしまっている現状があるというのは非常にもろくて、一種危うい架け橋じゃないかなと感じましたけどね。
確かに、私たち「報道特集」では4回にわたって盲ろうの人たちを取り上げて、盲ろうという重大障害が法律でしっかり定義されていないこと、そのために教育などの支援の整備が進まないことなど、現場の悩みの声をずっと紹介してきたんですけれども、いまだに盲ろう児童が日本のどこに何人いるか、その調査さえ行われていないということで、政府・行政はあまりにも無関心ではないか、ぜひ現場の声に耳を傾けていただきたいなと思います。
この後スポーツです。
Jリーグヤマザキナビスコカップ決勝。
6度目の優勝を狙う鹿島アントラーズかそれとも連覇がかかるガンバ大阪か、いざ決戦。
5万人のサポーターが駆けつけ、赤と青に染まった埼玉スタジアム。
今年で23回目となる戦いは0−0で迎えた後半15分。
小笠原のコーナーキックにファン・ソッコが頭で合わせ、鹿島が先制する。
後半39分には、再び小笠原のコーナーキックから最後は金崎が待望の追加点。
さらにその2分後、小笠原が起点となり柴崎からカイオへ。
キャプテン・小笠原の全得点の絡む活躍で、鹿島を3年ぶり6度目の優勝に導き、自身もMVPに選ばれた。
パラ陸上世界選手権。
男子5000m、知的障害クラス決勝に出場した中川大輔は序盤、後方からレース展開をうかがう。
4周目からスパートを仕掛けると、2位に大差をつけ、1着でゴール。
この大会、日本勢2つ目の金メダルを獲得し、仲間から温かい祝福を受けた。
車いす同士が激しくぶつかり合うウィルチェアーラグビー。
リオパラリンピックの切符をかけたアジアオセアニア予選3日目。
リオに行けるのは既に出場権を持つオーストラリアを除いた上位1カ国のみ。
ここまで全勝し首位に立っている日本は、世界王者オーストラリアとこの大会2度目の対戦。
昨日は9年ぶりの勝利を挙げたが、この日は激しいディフェンスに苦戦する。
惜しくも敗れるが、1次リーグを終えて日本とオーストラリアの2位以上が確定。
4大会連続となるパラリンピック出場を決めた。
冬のジャンプシーズン開幕戦、全日本選手権は高梨沙羅選手、圧勝3大会ぶりの全日本選手権出場となった高梨沙羅は1回目。
K点を越える92mのビッグジャンプでトップに立つ。
続く2回目も90mを飛び、2位に大差をつけ圧勝。
自身2回目の全日本女王の座に輝いた。
また男子では、1回目トップのソチオリンピック銀メダリスト、葛西紀明が2回目でまさかに失速。
7位に終わった。
ここでニュースが入ってきました。
エジプトを発った後消息不明だった旅客機が墜落しているのが見つかった。
エジプトのシャルム・エル・シェイクからロシアのサンクトペテルブルクに向け出発後、消息不明となっていたロシアの旅客機がエジプト・シナイ半島の山間部で墜落しているのが発見された。
旅客機はロシアのコガリマビア航空のエアバスA321型機で乗客・乗員合わせて224人が乗っていたが、エジプト当局は機体は大破していて、生存者はいないと見られるとしている。
日本人の乗客はいないものと見られている。
そして変わって現在の渋谷の映像、ご覧いただいております。
ハロウィーン当日の今日、週末ということもあって既に仮装した人々で大混雑しています。
警視庁は態勢を強化していて、警戒に当たっている状況です。
2015/10/31(土) 17:30〜18:50
MBS毎日放送
報道特集[字]【米中にらみあい〜緊迫の南シナ海▽盲ろうの子供たち】
あまたのニュースの中から、伝えるべき情報を厳選し、報道特集というフィルターを通して、責任をもって視聴者にお伝えします。
詳細情報
番組内容
【米中にらみあい〜緊迫の南シナ海】
南沙諸島に中国が建設した人工島の12カイリ内を米海軍の駆逐艦が航行。中国は激しく反発している。緊迫する南シナ海。米中双方の狙いは?そして、日本の対応は?
【盲ろうの子供達】
視覚と聴覚の両方に障害がある「盲ろう」の子供は約600人いるとされる。情報が極端に制限される中、どう物事を認識し、意思を疎通させ、学習するのか。盲ろう児教育に迫る。
出演者
【キャスター】
金平茂紀(TBSテレビ報道局)
日下部正樹(TBSテレビ報道局)
小林悠(TBSテレビアナウンサー)
上村彩子(TBSテレビアナウンサー)
関連URL
【番組HP】
http://www.tbs.co.jp/houtoku/
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おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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