<ドラマ「ファーストクラス」は復活するか?>ファッション業界ドラマの面白さは「マウンティング」
岩崎未都里[ブロガー]
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水曜22時のフジテレビドラマ『ファーストクラス2』が色々な意味で話題です。裏番組のテレビドラマである日本テレビ『きょうは会社休みます。』と対比され、
「『沢尻エリカ VS 綾瀬はるか』は綾瀬の圧勝」
・・・と言われています。
4月にスタートした前作『ファースト・クラス』では、フジテレビとしては初めての「23時枠で10%超え」になり、こちらはこちらで話題になりました。しかし、民放史上最短で始まった続編『ファーストクラス2』の方は・・・と言えば、第3話の段階で裏番組『きょうは会社を休みます。』にトリプルスコアの差をつけられてしまいました。視聴率では「完敗」とまで言われているようです。
しかし、『ファーストクラス2』対『きょうは会社休みます。』という分かりやすい構図ばかりが話題になっていますが、純粋に視聴率に関して見てみれば、2つのドラマだけが戦っているわけではありません。
水曜22時台には、『ファーストクラス2(フジテレビ)』『きょうは会社休みます。(日本テレビ)』『さよなら私(NHK)』と、同じ時間枠でドラマが3つ放送され、その3作品全てが「女性主演」という状態。ドラマ以外にも『水曜日のダウンタウン(TBS)』『報道ステーション(テレビ朝日)』といった人気番組もありますから、『ファーストクラス2』だけが「一人負け」をしているわけでないよう思います。視聴率が分散された、という見方もできるのではないでしょうか。
「第3話」で視聴率が不調だったからでしょうか、第4話で「最下位!受付嬢に転落でトイレ掃除!私も会社休みたい」と、フジテレビらしく(?)、「裏番組の題名」を第4話のタイトルに持ってくるあたりの話題作りは流石だと感じました。
ところで、ファッション業界の裏を描く業界ドラマは、これまでも様々に作られてきましたが、いずれも全て好結果・好評を得た作品です。
– 2000年「ブランド」(フジテレビ木曜22時)
– 2009年「リアル・クローズ」(フジテレビ火曜22時)
– 2011年「カーネーション」(NHK連続ドラマ小説)
– 2014年「ファースト・クラス」(フジテレビ水曜23時)
ファッション業界を舞台にするドラマが好評価になりがちなのは、「憧れる」「カッコいい」というイメージもあるかもしれませんが、「衣・食・住」の「衣」という私たちの生活に欠かせないモノを題材にしているということも大きいでしょう。
出演している俳優さんたちが身に着けている衣服やアクセサリーなどには、ドラマを視聴している視聴者は非常に敏感でし、こういったドラマからファッションの流行が生まれることも珍しくありません。そう考えると、ファッションを題材としているドラマというものは、主役が「ダブルキャスト」になっているとも言えます。つまり、主演俳優以外に、「もうひとりの主役」として「ファッション」自体があるわけです。
女の世界はファッション業界アパレルに限らず、学校でも、会社でも、合コンでも、恋人の収入・肩書でも、ママ友の世界でも、いつでも「マウンティング(小さな優越感を感じたいために、自分のほうが上だとアピールすること)」の世界で生きています。
『ファーストクラス1・2』の伏線「マウンティング」演出も女性社会の現実です。さらに「ファーストクラス2」ではファッション業界の実状もストーリーへ入れてきました。
私はとっては「ファースト・クラス1」よりも「ファーストクラス2」の方が俄然魅力があります。そこには男性社会であるファッション産業に近づき、男性俳優が多く参入・フィクサーによる吸収合併・PL法を使用せずに回収・デザイナーは合併すればあからさまな降格(もしくは無職のケースが多い)、などの憧れのファッション業界の本質である醜さと残酷な現状が描かれています。
ドラマへギリギリのリアリティを盛り込み、女優達で色鮮やかに作り込んだ「ファーストクラス2」は凄いチャレンジだなと観ています。
現在、『ファーストクラス2』は、水曜22時台での視聴率のマウンティング(序列)では4位。いよいよ、後半戦も始まりました。番組自体が「シンデレラストーリー」になるかどうかまだわからないのです。
最後に視聴者をひきつけるのは、現実社会を面白く演出した「ファーストクラス2」なのか、癒し系コミック原作「今日は会社休みます」のどちらでしょうね。番組の内容とともに、その行く末も楽しみです。
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岩崎未都里
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