<日本の国会の議長はロボットか?>数合わせで決まるロボット国会にはイノベーションが必要


茂木健一郎[脳科学者]

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9月18日に行われた安倍晋三首相の問責決議案を採決する参院本会議にて、山本太郎氏(生活の党)が単独の牛歩戦術を行った。それに対し、議長の山崎正昭氏は、

「このままでは投票時間を制限せざるを得ないことになります」

などと言っていた。横から紙を出されてそのまま発言していた。自分の判断ではなく、ロボットなのか?

さらに議長が、

「事後二分間に制限して、そのあとは投票箱閉鎖」

と言っていたが、それも、出された紙をそのまま読んでいた。議会を牛耳っているのは誰なのでしょうか? カフカの城のようである。

国会中継を見ていると、日本の国会の議長は、本当にロボットなのだと思う。自分で判断していないのだ。そういうのは、議長と言わない。

そのうち、本物のロボットに置き換えても何の問題もないのではないかと思う。

パブリックというものが、一人一人のコモンセンスによる判断で支えられているという基本がわかってない人が多いということに驚きを隠せない。議長がアルゴリズムで書けるロボットではダメだ。

ロボットばかりだと、創造性もないし、付加価値もない。何よりも、対話ができないのだ。数合わせで決まるロボット国会見ていると、日本の課題が凝縮している。個がない。自分で判断できない。ただ黙って党本部に従う。

それでは、実質的な意味は、ゼロである。国会にも、イノベーションが必要だ。

(本記事は著者のTwitterから編集・転載をしています)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。