小さな旅「夢つむぐ 都会の海〜千葉県 船橋市〜」 2015.10.31


(テーマ音楽)
東京都心から電車で30分。
千葉県きってのターミナル駅船橋駅です
午前7時。
ホームは通勤客であふれんばかりです

東京湾に面した船橋市
マンションや高速道路に囲まれた一角。
漁船が並んでいました
東京湾で漁をする漁師およそ150人が暮らしを立てています
通勤ラッシュと同じ頃水揚げで忙しい港を訪ねました
魚入ってます?これは入ってきた船?どんな…。
あ〜魚は何と何が入ってるんですか?今日はほとんどスズキですね。
スズキ。
あ〜大きいね。
この辺になれば。
この辺りの魚千葉でしょ。
「江戸前」と呼んでいいのかしら?江戸前。
もう真っただ中の江戸前。
あ〜そうなの。
ここしか江戸前って言えないはずだよ。
この日揚がっていたのはスズキ。
築地をはじめ全国の市場に出荷されます
サバにコノシロカレイなど年間の水揚げは2,500トンに上ります
港で目につくのは若い漁師の姿です
今いくつ?今年で21になりました。
じゃあまだこの船乗って浅い?4月から乗ってるんで。
この4月から?はい。
家は漁師をしてるとか何かとか?いや全然やってないです全く。
いきなり自分だけ。
きついでしょ?きついはきついですねやっぱ。
小田龍海さんは地元船橋の出身。
今年4月からまき網漁船で働き始めました
何で上なんだよ!
先輩の小滝和也さんは25歳。
船に乗って7年になります
今ではまき網のワイヤーを操作する大切な役目を任されています
(小滝)手で押さえんなよワイヤー。
結構緩いよ。
早いから出るのが。
(小滝)じゃあドラムの方足でチョコチョコ押さえてくれ。
軽くでいいよ。
よく面倒見てくれますねすごい。
フフフフ!助かります。
頼りになりますねめちゃめちゃ。
俺面倒見てもらった。
面倒見いい先輩いて。
ちょっと恐かったけど。
「ボケー!」つって。
よく怒られましたよ。
その先輩いなかったら多分ねほんとくずになってたと思う。
なんもできなくて。
江戸の頃から続く網元…
かつて船橋では東北などから来る出稼ぎの漁師が多かったのですが最近は漁師の経験のない地元の若者が増えているといいます
まあ都会だから遊ぶ所がいっぱいあるじゃないですか。
あと何があれかっていうとやっぱりその日の成果というのはその日に分かるわけだから。
他の仕事ってなかなかね自分のやった事が実際会社にどうなのかなというのはなかなか分かんない部分というの多いと思うんですけど漁師はねその日の結果がすぐ出ちゃうからね。
漁の始まりは夕方6時
網元の大野さんが船を走らせます
港を出て1時間
暗闇で輝くのは東京湾アクアラインの「海ほたる」。
漁場はすぐ近くです
2艘の船から網を入れ魚の群れを追い込むまき網漁です
タイミングを合わせながら網を上げます
一回ストップ一回ストップ。
和也一回ストップ!
かかったのは秋東京湾に入ってくる脂ののったサバ
まずまずのスタートです
テンション上がりますよ。
早く帰れんだっつって。
ハハッ!とれりゃ帰れるから。
しかし海ではハプニングも付き物。
網がワイヤーに絡まり切れてしまいました
再び漁をするため全員で素早く繕います
新人の小田さんこうしたさまざまな出来事を通して漁師としての経験を重ねていきます
再び網を張れるようになったのは2時間後
サバの群れを逃したため狙いをスズキに変えて夜が明けるまで漁を続けました
港近くの住宅地に漁師たちが暮らす寮があります
「寮」って書いてある…。
「大平丸寮」。
大きな建物だな。
ごめんください。
(小滝)はい。
あっいたいた。
よろしいですか?はい。
ここが寮?そうです。
じゃ小滝君たちはここに住んでんの?そうです。
この部屋は何の部屋?まあ食堂みたいな感じです。
食堂?食堂っていうかまあ…。
ここで飯を食うの?そうですね飯食ったり作ったり。
あ〜!そうかこれまき網の網。
そうです。
いっぱいだね。
はい。
倉庫兼用のこの寮。
網もいっぱい積み上げられていました
小滝さんはじめ若い漁師など5人が暮らしています

家賃は1か月1万5,000円。
都心に近い船橋では破格の安さです
街で暮らしながら海の仕事ができる。
そのめりはりのある生活が魅力だといいます
「もうやめようかな」と思った事もあるの?いっぱいあります。
いっぱいあります。
こんな長時間働かせて絶対やめてやるって思いながらも次の日普通に仕事行っちゃうみたいな。
おはようございま〜すみたいな感じで。
結局来ちゃったみたいな。
やってみたら結構面白いじゃんと思うと思いますよ。
何か面白いじゃないですか。
毎日自分の食いたい魚とって。
あれ食いたいなとか考えながら仕事すんのよくないですか?いいですよ。
普通のサラリーマンじゃあんまできないじゃないですか。
釣り行かないとそんな事できないし。
ちょっと特殊だからこそ面白いみたいなのあるんじゃないかなみたいな。
いつか漁師として独立する夢も持ち始めています

船橋の沖に「東京湾のゆりかご」と呼ばれる場所があります。
埋め立てを逃れて残った三番瀬。
干潟や浅瀬およそ1,800ヘクタールが広がっています
大潮の日には1キロ余りも潮が引き貝やカニなどを育む広大な干潟が現れます
ありました!アサリが。
江戸前の貝といえばアサリ
三番瀬では昔からアサリが多くとれ人々に恵みをもたらしてきました
三番瀬の海の幸を扱う直売所です
こんにちは。
これ直売所?はいそうです。
漁協の直売所なんですけれども。
鮮魚も売ってんだ。
スズキにアジそしてサバなどとれたての魚に混じって…
何これ?「ホンビノス」って。
外来種なんですね。
まだ日本には15年か20年ぐらいであまりなじみがないんですけれどもハマグリの親戚なんです。
これはここでとれてるの?そうです三番瀬もうすぐ出た所で。
北米原産の二枚貝ホンビノスガイです。
外国からの貨物船について東京湾に入り住み着いたと言われています
うん!しっかり貝の味がしてる。
ハマグリに似た風味。
アメリカではクラムチャウダーの材料に使われています
この外来の貝が今船橋の貝漁を支えています
三番瀬で70年以上アサリをとってきた…
盛んにとっているのはホンビノスガイです
入ってるよ。
アサリに混じって見慣れぬ貝が揚がるようになったのは10年近く前の事
これ何の貝かなって思ったね。
見た事ないもん。
最初は売れなかったもん。
ハハハッ。
外来の貝だって売れなかったんだよ。
ここ数年海の環境の変化でアサリの水揚げは減ってきています
そこでホンビノスガイを新たな特産にしようと県や漁協が後押しする中漁が行われるようになったのです
ホンビノスガイを街に広めようと取り組む人もいます
内海金太郎さん。
貝の卸問屋の3代目です
5年前からホンビノスガイの売り込みに力を入れてきました
地元の飲食店などに働きかけメニューに入れてもらえるようになりました
おはようございま〜す。
おはようございます。
いつもありがとうございます。
(内海)いつもありがとうございます。
でかいですよね。
昨日もこれと同じ量だけ。
ハマグリと全く大きさ…。
こっちの方がでかいですね。
でかいですね。
食感も同じですよ。
やっぱ人気ですよ。
だからないとほんとみんなお客さん怒りますもんね。
最初は5軒だった得意先も今では20軒を数えます
失礼します。
ホンビノスの酒蒸しです。
船橋の定番料理になりつつあります
うまい!うまいです。
うまいね。
ハマグリみたいですね。
食べ応えありますもんね。
(内海)救世主だし江戸前の新名物だしみたいな。
まあ都心のど真ん中にある漁港でそういう何ていうのかな?未知といえば未知の品物が揚がってるっていう意味では。
そういうとこで仕事ができるっていうのが何か自分としては誇りには思ってる事なんで。
変わり行く海と向き合いながら江戸前の誇りを受け継ぎます
夕方港に若者たちがやって来ました
めっちゃ寝坊した。
今起きた。
ともり始めた街の明かり
今日も都会の海で魚を追います

(テーマ音楽)2015/10/31(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「夢つむぐ 都会の海〜千葉県 船橋市〜」[字]

62万人が暮らす千葉県船橋市。マンションや高速道路に囲まれてぽっかりと残る海に漁船が並ぶ。巻き網漁船の若者やベテランの貝漁師。都会の海に集う人々を訪ねる旅。

詳細情報
番組内容
東京都心から電車で30分、62万人が暮らす千葉県船橋市です。マンションや高速道路に囲まれてぽっかりと残った海に漁船が並びます。この港で働く漁師はおよそ150人。水揚げ日本一と言われるスズキをはじめ、東京湾でとれた江戸前の魚介類を扱っています。住宅街にある「納屋」で暮らしながら、夜の東京湾に出漁する巻き網漁船の若者。海の変化を受け入れて生きる貝漁師や卸業者。都会の漁港に集う人々の思いにふれる旅です。
出演者
【語り】国井雅比古

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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