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07:00
もう殿堂入りでお願いします!

強い、強すぎる。場所のぶんの得点が0.1点でなく1.0点くらいあったとしても、この絶対王者をとらえることはできそうにありません。内村航平、世界体操選手権個人総合5連覇。やる前からわかっていた結果とは言え、ミスも怪我もなく予定通りの結果をなぞって見せる再現力は惚れ惚れするほど。「美しい体操」そのままに、絶対王者は今大会も表彰台のド真ん中にピタリと着地しました。

僕らが今見ているものは伝説であり、永久に消えることのない偉業です。ヴィタリー・シェルボもニコライ・アンドリアノフも加藤沢男も成し遂げられなかった個人総合5連覇。もし「世界体操史」というDVDを作ったら、チャプター1つぶんは確実にUchimuraに充てることになるでしょう。それほどの選手を、生で見て、リアルタイムを感じられる。日本人に生まれて得した気分です。

6種目すべてを15点台にまとめ上げる全方位的なチカラ。参加24選手中、6種目すべてで1ケタ順位に入ったのは内村さんただひとりです。しかも、得意のゆかでは15.766点という種目別でも上位に飛び込めるであろう高得点を叩き出し、跳馬と合わせて2種目で全体1位をマーク。「オールスペシャリスト」と名乗るのも納得の大圧勝です。この絶対王者を倒すには、本当に6人のスペシャリストを集めて「6対1」でやるしかないでしょう。それでも、あん馬や鉄棒で大過失があれば6人チームが負けるかもしれませんが。

ここまで来ると、見ている側にも欲が出てくるというもの。まず、リオ五輪での悲願の団体金は当然として、もっと先の偉業を見てみたくなります。特に期待したいのは新技「ウチムラ」の作成。それも極端に難しい技ではなく、みんなが挑戦したくなる程度のヤツを発表してほしい。文字通り、体操にその名を残すために。

例えば、昨夏話題になった「シライ/グエン」「シライ2」「シライ/キムヒフン」という技の場合、あんなものそうそう誰かれが出来るもんじゃありません。そうではなく、種目の根幹を成し、多くの選手が挑戦するような技を。「ゆか・鉄棒のツカハラ」「つり輪のヤマワキ」「跳馬のカサマツ、ツカハラ」「平行棒のモリスエ」に相当するようなウチムラが見てみたい。

2020年には母国大会で、その技を引っ提げて金を獲り、世界の選手たちもまたウチムラを構成に組み込んでくる。2024年、2028年、時代を超えて、その名が体操競技に残っていく。今この時代に生きている人だけの特典として、「このウチムラってのはな…」と爺になった頃に訳知り顔でうんちくを言えたら、最高の気分になるんじゃないでしょうか。勝った負けたよりも発想力が問われる難しいテーマですが、コッチの感覚も「勝って当たり前」まで麻痺してきてますので、ひとつご検討いただきたいものです。

ということで、内村航平さんの美しい見本演技を見ながら、世界の名選手が銀メダルを争った、世界体操選手権・個人総合をチェックしていきましょう。


◆内村がいなければ金!内村がいなければ銀!内村がいなければ銅!

団体で逃した金を購えるものではないでしょうが、ムカムカを少しでもおさめるためにも金を獲りたい。個人総合には、絶対王者・内村航平さんと田中家のリーサルウェポン・田中佑典さんの2選手が臨みます。フジテレビの中継レポーターとして会場入りした田中理恵さんも、「内村さんはどうでもいい!」「どうせ勝つでしょ!」「ゆーすけ!ガンバ!」と徹頭徹尾「姉」の顔で見守ります。

第1班に入った両名は、ゆか⇒あん馬⇒つり輪⇒跳馬⇒平行棒⇒鉄棒と進みます。田中佑典さんは平行棒と鉄棒が得意な選手。前半は我慢して食らいつき、後半での追い上げを狙います。内村さんは…まぁ放っておいてもいいでしょう。個人総合に出る選手同士の争いなら、弱点と言えるような種目はありません。得意のゆかで抜け出し、あん馬の落下にだけ気を付けて、最後まで先頭を突っ走って終わりです。

↓絶対王者は最初のゆかの演技から他選手を圧倒!すべてのタンブリングで着地を決める、驚異的なスタートダッシュ!


ライバル:「足の裏見せてもらっていいですか…?」
ライバル:「ノリは…ついてない…」
ライバル:「吸盤も…ない…」

ちなみにこの絶対王者は「シライ/グエン(F難度)」「シライ2(F難度)」より難しい、「リ・ジョンソン(G難度)」も持ち技です!

ムチャクチャです!

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一方、田中佑典さんはゆかはDスコアを低めの設定とし、Eスコアで頑張る構成。タンブリングの着地の乱れも小さく一歩で止め、キレイにまとめてきました。15点を超える演技でこちらも好発進。他の班に目を移すと、あん馬で素晴らしい演技が飛び出します。最終的に2位(内村がいなければ金)に入るイギリスのウィットロック選手。Gコンバインという非常に難度の高い1ポメル上の旋回技を披露します。これは内村さんでもちょっと挑戦できない(※怖いのであえて挑戦することもない)演技で、手強い感じが漂います。

↓参考までにこんな感じの演技です!



最初に画面手前側のポメル上で旋回しながら、腕立て伏せの格好で3回転するのがGのコンバインです!

クルクルするとエライのです!


1班はあん馬の演技へ。ここはとにかく落下による大過失が怖いところ。北京五輪で内村さんが金メダルを逃したのも、あん馬で2度落下したことによるものでした。日本の2選手はやや危ない場面もありながら、上手く粘って大過失なく演技を終えます。あん馬を終えた時点で「よし、内村は勝ったな」と確信。あとはひたすら「内村がいなければ金」は誰なのかが戦いの焦点です。

つづいて1班はつり輪の演技へ。団体戦では中国に大きく点差を詰められた不得意種目です。内村さんは振り上がり中水平で足が下がるなど、若干完成度を欠く演技。田中さんは足を振り上げて静止する新技タナカ(け上がり脚上挙十字懸垂)で見せ場を作りますが、Dスコア自体はかなり低めの設定。さらに、多くの選手が降り技に伸身新月面を採用する中で、日本の2選手は抱え込みの新月面で着地。この辺りはリオ五輪へ向け、改善の余地がありそう。力技は苦手でも、降り技の難度で負けるのは勿体ないところです。前半を終えたところで、内村さんは当然の1位、田中さんは9位からの追い上げを図ります。

↓田中さんの新技「タナカ」は面白い格好ですが、流行るかどうかは微妙!


「で?」という感じが拭えない新技wwww

そして「平行棒のタナカ(ベーレ1/2ひねり)」と微妙に紛らわしいw

何でこんなにカトウとタナカが多いんだよw


後半3種目、1班は跳馬の演技へ。ここで内村さんは再びの圧巻演技を披露します。ロンドン五輪でもシューフェルトという技の着地をピタリと決めた場面が何度もテレビで流れましたが、今回はさらに難度の高いヨー2という技で、再びのピタリを披露。全体1位の得点で、ダメ押しのダメ押しのダメ押しです!

↓あまりの完璧な着地に、内村さん本人も笑っちゃう!


絶対王者がワロてるwwwwwwww

「今、俺すごかったな」の顔wwwwwwwwww


↓ちなみに、アメリカのパワータイプのウィッテンバーグ選手は、ドラグレスク(ローチェ1/2ひねり≒3回宙返り1/2ひねり)で大きく外に飛び出す!



内村さんの技(ヨー2)もウィッテンバーグ選手の技(ドラグレスク)も、Dスコアは6.0なんですけどね!

床の材質が違うみたいな内村さんの吸いつき感!

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他選手がロペスやドラグレスクといったDスコア6.0の技に挑戦する中、田中さんはドリッグス(Dスコア5.6)の技に挑戦。団体でも加藤凌平さんがドリッグスを跳んでいましたが、跳馬のスタンダードはすでにDスコア6.0に移行しているように思います。「金」を狙うチームとしては、ドリッグスはそろそろ卒業の時期かもしれません。4種目を終えて内村さん1位、田中さんは9位です。

さぁ、勝負の第5種目・平行棒。ここからの2種目は田中さんの得意とするところ。マクーツ(最初のほうの片方の棒で倒立してから向きを変えて支持するところ)、シャルロ(棒下で宙返りしてから片方の棒上で倒立するところ)もキレイに決めます。後半のピータース(最後のほうの倒立)と合わせて棒上でひたすらに倒立をつづける演技は、パッと見はすごくないのに実はスゴイというイイ味を出しています。

↓よく見ると、ベーレとかドミトリエンコとかは一切やらず、ひたすら倒立してる田中さん!


客が沸かない感半端ないwwwwww

倒立系だけで演技を構成すると地味なんだよwww


↓ちなみに、平行棒の降り技も屈身ダブル(D難度)から前方抱え込み2回宙返り1/2ひねり(F難度)へとスタンダードが動き出している模様!


みんながやるようになったら、やらざるを得ないですからな!

屈身ダブルはもう飽きた!


平行棒で全体2位となり、大きく点差をつめてきた田中さん。内村さんは倒立の際にヒジが折れるなど、疲れからか美しくない場面も。それでも1位の内村さんは2位を1点以上離し、かなり抜けた状態ですので、専用メダルの獲得は確定的。問題は田中さんのメダルがどうなるかです。最後の鉄棒は得意の種目。田中さんはキレイな姿勢でカッシーナなどの高難度技を決め、鉄棒では1位となる高得点をマーク。「コレを団体戦で…」と言いたくなるような会心の演技を見せ、他選手の結果を待ちます。

2班のウィットロックは、あん馬で見せた美しい旋回をゆかでも活かして高得点。田中さんを抜いてこの時点で1位となります。1班で鉄棒に臨んだベルヤフスキーは田中さんを抜くのに15点台が必要な状況でしたが、開脚トカチェフなどの難度の低い技を選択。田中さんを抜くには至らず、この時点で3位にとどまります。2班のベルニャエフは、ゆかでラインオーバーを犯し、得点を伸ばせず14点台。こちらも及ばず、田中さんは最終演技者・内村さんを残して2位にとどまりました。「内村がいなければ銀」…つまり、銅メダル獲得決定です!

↓そして全員が見守る中で、内村さんは表彰台の真ん中にピタリと着地!自身の「内村専用メダル」獲得を決めた!


会場全員が「せやろな」の顔wwwww

本人も、さっき跳馬で着地決まったときのほうが嬉しそうwww

お母さんも、いい加減落ち着いて見て大丈夫ですよwww

やる前からみんな諦めてますからwww

自分を生んでくれた人 内村航平の母として

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表彰式での落ち着いた表情。インタビューでの反省の弁。これだけ高いところにのぼりながら、内村さんはまだ上を見ていました。本当に欲しかった「団体の金」は今大会もお預けとなりましたが、「内村」&「内村がいなければ銀」という結果で、「最強日本」は十分に印象づけました。ここに昨年の世界選手権で「内村がいなければ金」の順位となった加藤凌平が調子を戻してくれば、チョイ盛り程度では到底追いつけない差をつけることができるはず。いい加減そろそろ「団体の金」も獲りたいですので、リオ五輪までには「栄光の架け橋だ!」を超える名場面、見せてほしいものですね。


内村さんにプラチナをあげて、次点に金をあげるのもアリだと思います!