総合診療医 ドクターG「高熱で苦しい」 2015.10.29


お早めにだしとくれやす。
去年夏。
東京の代々木公園でデング熱が発生。
高熱を出す人が続出し大きな騒ぎになっていた。
そして公園から程近いある会社で…。
(同僚)聡美ちょっと…大丈夫?何じゃこの熱半端ないよ。
何してるの聡美!
(藤野聡美)
実は2日ほど前から何だか体がだるくて熱っぽい感じがしていたんです
藤野君これもお願いします。
はい。
でも忙しくて休めるような状況ではなくて…
おなかすいた〜。
お昼になったら…
(2人)いただきます。
おっアスパラの肉巻きに卵焼きちゃんじゃないですか。
相変わらずうまそうですな聡美のお弁当は。
震えと悪寒がしてきて…
(同僚)聡美どうしたの?
冷房のせい?それとも何かの病気をうつされた?
(蚊の飛ぶ音)
まさかあれじゃ…
(同僚)聡美ちょっと大丈夫!?大丈夫…じゃないかも…。
私ただの風邪じゃないみたいです
正体不明の病気に苦しむ患者に向き合い鮮やかに病名を探り当てる医師がいる。
問診と診察を武器に埋もれたピースを拾い上げパズルのようにつなぎ合わせて正解を導き出す。
患者を救え!去年の夏で代々木公園で蚊?そうですよもう決定です。
決定ですよね。
デング熱です。
終了です。
終わっちゃうじゃないですか。
ゲストのお二人今のでどう思いますか?デング熱ですね。
そう思っちゃいますよね。
間違いないです。
デング熱ですよ。
紺野さんはあのお弁当も怪しいと。
お弁当怪しいです。
あの同僚がね。
同僚怪しいですねあれ。
それでは今回の症例を解決したドクターGの登場です。
(玉ちゃん)今回のドクターGは国立国際医療研究センター病院国際感染症センター忽那賢志先生です。
(拍手)忽那先生は感染症の砦として日本を守っていると。
私がトップというわけではないんですけど私が働いてる所が海外から入ってくるような危険性の高い感染症を担当する部署でありますので。
エボラとかねSARSとかいろいろありましたもんね。
今年もMERSという病気でいろいろ対応してますし忙しくしております。
忽那先生の元には海外で感染症にかかった患者が次々と訪れる。
病名を素早く突き止めるだけでなく国内で危険な病気が広がるのを食い止める。
その砦となるのが忽那先生だ。
今回の症例は去年の夏デング熱対策に追われる中で実際に起きたケースだ。
さあ病気の正体を探り当てるため全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(玉ちゃん)香田先生どうですか?総合診療医を目指してるという事なんですが。
地域の人たちとつながりながら迷ったらまず相談してくれるところとして総合診療医というところを考えています。
浅井先生どうでした?VTR見て。
2日前からの症状という事で急性期のものなのかなと思いましたけれども。
でもやっぱ忽那先生だから感染症がちょっとこうヤマ張ってんじゃないですか?まずは感染症を考えていきたいと思います。
菅井先生VTR見てどうでした?夏で公園で走って蚊の音もしてたのでやはりデング熱が怪しいのかなと。
(玉ちゃん)怪しいですよね。
さあそれでは再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
正しい病名にたどりつき患者を救う事ができるのか。
ドクタージェネラル!椅子にお座り下さい。
つらそうですね。
どうされましたか?何だか熱のせいか寒気がして体が震えて止まらないんです。
お話しできますか?はい何とか。
横になりますか?大丈夫です。
看護師さん体温は?40.1℃です。
脈拍は?102回です。
熱が高いですね。
おとといからです。
鼻水は出てないですね。
ちょっと喉を診せて下さい。
喉の腫れも無いですね。
ありません。
お弁当です。
でもほとんど食べられませんでした
はい。
パンとコーンスープを少しだけ。
火は通っていましたか?はい。
実はちょっとゆるくて下痢なんです。
水のようなシャーッという感じで。
一日何回くらいトイレに?4〜5回ぐらいでしょうか。
2日前に熱が出始めてからです。
熱と下痢が始まった2日前の朝の事を詳しく伺えますか?お弁当出来てるよ。
うん…だるい。
はい39度3分ありました
あんたしんどいんだったら会社休みなさいよ。
そう簡単に休めません。
それにこないだ有給使っちゃったし。
あんたもしかしたらデング熱だったりして。
うるさいなあ。
いたたた…。
あんたまたクーラーつけっ放しで寝てたんでしょ。
はい
(ノック)大丈夫?・
(聡美)う〜ん…。
いいえそれはありませんでした
あります
周囲の方で体調を崩したり休んでいる方はいませんか?
いませんでした
ありません。
あの…先生旅行には行ってないんですがちょっと気になる事が…。
何でしょう?
実は毎朝出勤前に代々木公園の周りをランニングしていたんです
その時蚊に刺されましたか?
はっきりと刺された記憶はないんですが…
(蚊の飛ぶ音)デング熱の事はご存じですよね?
それを聞いて1週間前に走るのはやめたんですけど
はい。
どういう痛みですか?ずきずきとした痛みです。
ありません。
おなかの診察をさせて下さい。
肝臓と脾臓が少し腫れていますね。
いっ…。
ここが痛いですか。
左は大丈夫ですね。
藤野さん今回以外で最近熱が出た事は?そういえば3週間前にも。
その時は朝起きた時からすごくだるくて…
ごめんねミント君。
餌あげるの忘れちゃってたね。
測ったら39℃くらいでした
聡美?
はい。
家の近くのお医者さんに行って抗生剤と解熱剤をもらいました
39度ぐらいなのが3日続いてでも薬をのんでるうちに良くなりました。
電話に出てもよろしいですか?はい。
はい。
小児科の富山です。
どうされました?クリニックからの紹介で来られた10歳の男児なんですが先生にご相談したい事があるんです。
今熱は40度です。
高いですね。
水様の下痢をしていまして血便ではないそうです。
水様ですね。
気になるのが発疹があるんです。
発疹ですか。
それで先生のご意見を聞きたくて。
分かりました。
すぐ向かいます。
失礼しました。
診察の途中ですが先に血液と尿と便の検査をして頂けますか?その間私は少し外します。
体調が悪くなったら看護師にすぐに言って下さい。
はい。
(玉ちゃん)先生どっか行っちゃいましたね。
ねえ新たなる患者急患が来ましたからね。
藤野聡美さん32歳の基礎データでございます。
ここから分かる事というのは…。
まあ40℃なんでかなり熱が高いという事と熱が出ると普通は脈速くなっていいんですけどやや低めかなと思いますね。
さあそれでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
さあゲストのお二人。
(紺野)あの寝室に亀が。
しかも蓋をせずに飼ってるってあれ怪しくないですか。
そうですね。
あの亀には…だってあの後に運び込まれたのが10歳の男の子でしょ。
(玉ちゃん)少年も亀飼ってるんですか。
(紺野)亀つながりです。
推測です。
江川さんどうでしょう?一回なってそれで3週間ぐらいたってますよね。
ポイントだと思うんですよね。
デング熱という可能性は?
(玉ちゃん)デング熱どれぐらいなんですかね潜伏期間。
代々木公園に行っていてしかも1週間前にランニングをされていて。
2日前から発熱ですからそうすると潜伏期間5日ぐらいという事になると思いますのでおかしくはないかなというふうには思いますね。
さあ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
一体どんな病名が出てくるんでしょうか。
それでは一斉にお出し下さい。
フリップオープン。
(玉ちゃん)ジャカジャン。
出ました。
まずは香田先生からお願いします。
(玉ちゃん)浅井先生は。
菅井先生。
(玉ちゃん)サルモネラ。
やっぱ亀ですよ。
(紺野)亀だ。
さあここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート!では皆さんそれぞれ考えられた疾患名答えて頂きましたけどどういう病気なのかという事をお答え頂きたいと思います。
まず香田先生からお願いします。
つつが虫病はリケッチアという病原体による感染症で高熱を引き起こす病気です。
つつが虫病はダニの一種ツツガムシが持っているリケッチアという細菌に感染する病気。
死に至る事もあります。
つつが虫に刺される事で感染するため刺された痕が残ります。
気になったのは比較的徐脈という病態で。
比較的徐脈っていうのは?熱の割には脈が上がってこないというふうな。
これぐらい熱があると普通はこれぐらい脈が速くなるという基準があるんですけどそれよりも上がってない状態。
発熱をすると体がより多くのエネルギーを消費するためその分栄養を送り込もうとして脈拍が速くなります。
しかし病気によっては体温の上昇に比べて脈拍がそれほど上がらない場合があります。
これを比較的徐脈といいます。
本来はあってもいいかなと。
比較的徐脈になる病気というのがこのつつが虫。
そうですねそのうちの一つという事ですね。
合わないところはありますか?
(香田)つつが虫病であれば刺し傷が見えるんですけれども今VTRの中では見えないのでもう少し探してみないと分からないのかなというところです。
刺し傷って大体どこら辺にできるものですか?無防備な所ですね。
洋服を着てない部分だったりとか。
気付かないとこですね。
陰部とかこの辺とかかまれたりしてる人もいたりするので。
中に入ってきてるって事?そうですね。
香田先生言ったように結構しっかり探さないと見つからない事もあるのでひょっとしたら今の患者さんもあるかもしれないですね。
はいありがとうございます。
じゃあ浅井先生。
細菌性腸炎というのは感染が全身に広がると敗血症といって感染に対して全身が反応するという事が起こります。
この方がすごく悪寒戦慄が強くてブルブル震えてる様子があるというところが気になって。
細菌性腸炎は何らかの細菌に感染して腸に炎症が起きる病気です。
重篤化すると敗血症を引き起こし死に至る事があります。
どういう細菌なのか分かんないんですけど。
多く種類はあるんですけれども。
いろんな菌があってまだそれはよく分かんないけど細菌性腸炎なんだって感じなんですか。
そうですね。
合わないところはありますか?細菌性腸炎であれば基本的には急性の経過だと思うので3週間前の症状はどのように考えたらいいのかなと思いました。
じゃあ菅井先生お願いします。
32歳の女性という若い方が急性の2日前からの発熱という事で感染症を考えました。
感染症の中でもサルモネラ菌の感染症では高熱を起こす事が多いというふうに聞いてますので。
サルモネラ菌は細菌性腸炎の原因菌の一つです。
加熱の不十分な肉や卵などを食べるだけでなくカメなどのペットからも感染する事があります。
サルモネラ菌による細菌性腸炎の場合比較的徐脈の症状が現れる事があります。
「シブリバラ」というふうに言うんですけれども便が出たあともまだ残便感が残るような症状というふうなVTRから見受けられたので。
シブリバラって日本語なんですね。
渋ってるわけね。
(玉ちゃん)渋り腹さんですね。
(菅井)合わない点としては肝脾腫肝臓と脾臓の腫大というものがやはりこれでは説明がつかないかなと思っているので。
はいありがとうございました。
先ほどのVTRを見て頂くとすごくこうデング熱がやっぱ疑われる状態じゃないかと思うんですよね。
デング熱はヒトスジシマカなどに刺される事でデングウイルスに感染する病気です。
聡美さんは1週間前まで代々木公園の周りをランニングしていた。
デング熱の感染が広がっているさなかの事だ。
まずデング熱の場合は発熱と同時に皮疹ですね出血斑と言われるんですけど点状の皮疹が出る事がある。
湿疹?皮疹の皮は皮膚の皮ですね。
デング熱の場合は全身に皮疹が出ますね。
ただデング熱は結構皮疹が有名なんですけど…熱とか頭痛関節痛とかですね。
最初は。
最初はですね。
じゃあ熱がある頃は出ない事が多いって事はこの患者さん…そうか皮疹は後なんだ。
皮疹が無いからといって…聡美さんの病気は一体何なのか?発熱下痢の原因になる疾患というのをちょっと皆さん挙げていって頂きたいと思います。
腎盂腎炎ってどういう病気ですか?腎盂腎炎は腎臓や腎盂が細菌に感染して起きる病気です。
腎臓から腸に炎症が広がり下痢を起こす事があります。
腎臓と腸ってくっついてますのでそこに腎臓に炎症が起こると炎症が波及して。
そういう事ですね。
他はいかがですか?腸チフス。
そうですね。
いや今回のケースとしては可能性は低いんですけれども感染性の発熱と下痢をきたす疾患として。
腸チフスはチフス菌によって起きる感染症です。
菌が全身に広がると高熱が出ます。
食べたもの?今でも…衛生状態が関係あるんでしょうね。
感染症についてはもうかなりたくさん挙げて頂いたので…クローン病は原因不明の難病の一つ。
小腸や大腸に炎症が起き発熱や下痢などの症状が現れます。
感染性腸炎としてサルモネラやO−157腸チフスノロウイルスなどその他にインフルエンザやHIV更に感染症以外のものも含め21もの病名が挙がった。
聡美さんを苦しめている病気は何なのか?今から少しこのリストの中から整理をしていきたいと思いますけどまずこの患者さんは発熱下痢ではあるんですけど他にもいろいろと特徴がありましたよね。
3週間前の発熱。
そうですね。
ごめんねミント君。
聡美さんは3週間前にも39℃の熱を出していた。
これをどう考えればいいのか?3週間前のものは。
やっぱり若い方なのでできたら一元的に考えたいなとは思います。
30代の人で1か月の間に2回も高熱を出すって事はそうそうないですよね。
一つの原因で熱が出てるというふうには思いますけどね。
繰り返す疾患というふうに考えると例えばサルモネラどうですか?危険なものをどんどん食べてたらそうかもしれませんけど普通は繰り返す事はないと思いますね。
腸チフスはどうですか?あまり自信がない?腸チフスは病気の特徴としては結構繰り返しやすいんですね。
治療しなかったらもちろん繰り返しますし抗生物質で中途半端に治療したりしても…腸チフスは一応残るかもしれないですね繰り返すという意味では。
では問題のデング熱ですけど。
(玉ちゃん)おおきた!繰り返す?いや自信がないです。
そうですね。
一度デング熱にかかると免疫ができるため同じウイルスのデング熱にはかかりません。
しかしデングウイルスには4つの型があります。
別のウイルスを持つ蚊に刺されると再びデング熱を発症する事があります。
すごい運悪いですよね。
そうですね。
日本国内でデング熱の2つのウイルスのタイプにかかるかというと…
(江川)デング熱が消えましたね。
(紺野)消えちゃった。
「3週間前」がキーワードなんですね。
キーワードでしたね。
(紺野)リケッチア気になる。
リケッチアはしっかり治れば繰り返さないと思います。
そうですね。
基本的には繰り返さない病気ですよね。
「症状が繰り返している」というエピソードから研修医が挙げた病気の可能性は低くなった。
他の病名もこのエピソードで大きく絞られた。
じゃあもう一つぐらい特徴的な所見でもう少し絞り込みたいと思いますけど。
肝臓と脾臓が少し腫れていますね。
肝臓と脾臓両方が腫れる肝脾腫。
限られた病気にだけ見られる症状です。
腎盂腎炎。
これはどうでしょう?あまり腎盂腎炎の方で肝脾腫がある人は見た事はないです。
ないですよね。
基本的には腎臓の感染ですから肝臓脾臓に炎症が起こるって事はないですからね。
腸チフスはどうですか?肝脾腫を起こすか?腸チフスは症状としては肝脾腫を起こす事が時々ありますね。
クローン病これはいかがですか?あんまりないかと思います。
そうですね。
これはちょっとここで消えますね。
ほとんどの病気の可能性は低くなった。
今残ってるのが腸チフスですかね。
聡美さんの病気は腸チフスなのか。
だが…。
そして…。
クリニックからの紹介で来られた10歳の男児なんですが…。
聡美さんの診察の途中で問い合わせがあった…それで先生のご意見を聞きたくて。
分かりました。
すぐ向かいます。
さあ診断を絞り込むためにVTRの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!すいません診察中のところ。
急患の情報をもう少し教えて下さい。
10歳の男児なんですが海外渡航歴はありません。
他の家族に症状は出ていないんですか?出ていないそうです。
熱が高いですよね。
40℃です。
気になる発疹があるんですね。
はい腹部に。
それを先生に確認して頂きたくて。
お待たせしました。
ちょっと診せてもらうね。
ママ…。
大丈夫よ。
発疹はどこですか?おなかを触ります。
肝臓と脾臓が腫れていますね。
うっ…。
痛かったねごめんね。
(富山)やっぱり。
血液と便の検査をしましょう。
分かりました。
できれば今日は入院して下さい。
恐らく数日で熱は下がると思います。
それと診断の手がかりになるかもしれないのでお二人の写真を撮らせて頂けますか?他の患者さんにお見せしてもよろしいですか?はい大丈夫です。
ありがとうございます。
お待たせしました藤野さん。
3週間前に熱が出た時下痢がありましたか?いえ逆です。
便秘という事ですか?はい。
おなかが張るような感じがして。
でも熱が下がったら調子も良くなったんです。
4日ぐらいだと思います。
ところで藤野さん。
山田さんとおっしゃるんですが。
山田さんですか?いや…。
そうですか。
すいませんちょっと調べ物をするので横になって休んでいて下さい。
この時ドクターGはある患者の事を考えていた。
それは聡美さんが受診する2日前に来た腸チフスの患者だった。
出張先の東南アジアから帰国する3日前からひどい下痢と熱に悩まされていた。
羽田空港の検疫所からここに来るように言われまして。
はい。
一緒に出張に行かれたんですよね。
発熱や下痢はありませんか?僕は大丈夫です。
なま物は食べてませんから。
体温と脈拍は?はい3人目が出てきましたが。
(玉ちゃん)しかも何か病名付きで。
「疑い」って書いてありましたよね。
さあそれでは研修医の皆さん考えられる聡美さんの病名をお書き下さい。
今までの流れだと何か腸チフスですよねどう考えてもね。
(玉ちゃん)悩んじゃってますよ。
だって3人出てきちゃったんだもん。
3人出てくるという事は何かの関係があるからですよね。
付き添いの方が「私はなま物は食べていません」と言ってましたよね。
という事はあのかかった方は何かなま物を召し上がったという事。
そういう事ですかね。
さあ研修医の皆さんが病名を書き終えたようです。
それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン。
(玉ちゃん)皆並んだ。
(紺野)そろいました。
(玉ちゃん)香田先生からどうぞ。
浅井先生。
菅井先生。
(玉ちゃん)腸チフス。
出ました。
さあそれでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート!では皆さん同じ腸チフスを挙げて頂きましたけど1回目の発熱と2回目の発熱で何か違った事ってありましたか?これはどうですか?腸チフスとして合いますか?下痢も便秘も起こしてよい症状だと思います。
そうですね先生よく知ってますね。
実は便秘をする事も時々あります。
最初の症状が便秘で2回目が下痢であってもおかしくはないんですね。
他の2人は?山田由樹人くんは同じように腸チフスが疑わしいですか?同じような症状が出ているので同じ腸チフスだとは思うんですが。
VTRでバラ疹とおっしゃってましたけれどもそれは腸チフスに特徴的な皮疹だと思いましたので。
由樹人くんも症状としては矛盾しないという事ですね。
山崎さんも同じように発熱下痢があってこの方は渡航歴がありますけど腸チフスが疑わしいという事ですよね。
3人の間にあまり接点がないようなので何が間に媒介となって感染が成立したのかというのが合わない点というか不明な点かなと思ってます。
あと2人は渡航歴がなくて1人だけ渡航歴があるという。
山崎さんは東南アジアの渡航歴があるという事でしたけど2人は渡航歴がない人ですよね。
そういう人が1つの病院で2人いるってなると…どこから広がるのかなというのが一番気になりますねこれね。
症状から見ると聡美さんも由樹人くんも腸チフスが疑わしい。
しかし2人には海外渡航歴がない。
互いに面識はなくどちらかがどちらかにうつした事も考えにくい。
山崎さんは空港から直接入院していて2人に腸チフスをうつす事はありえない。
腸チフスの国内感染自体が珍しいのに何の関係もない2人の患者が日本で同じ時期に発症する事などありえるのだろうか?何が考えられますかね?順番が分かんないですよね。
ここでじゃあ結構3人が入り乱れて複雑になってますので時系列を整理してみたいと思います。
腸チフスだとしたら潜伏期って大体どれぐらいになりますか?10日から20日。
そうですね。
大体それぐらいですね。
1週間から3週間ぐらいが典型的な潜伏期間ですね。
聡美さんが発熱したのは2日前。
だが3週間前に1度目の発熱をしている。
腸チフスの潜伏期間は1週間から3週間。
つまり4週間から6週間前に感染した事になる。
由樹人くんの発熱は5日前。
感染が考えられるのはこの期間だ。
そして山崎さん。
受診したのは2日前。
発熱したのはその3日前だから由樹人くんと同じだ。
つまり感染の可能性があるのは12日前から26日前だ。
山崎さんは…2週間と言ってましたね。
じゃあ東南アジアが関係あるのかどうかという事なんですけどどうでしょう。
先ほどの表に山崎さんの出張期間を加えてみる。
すると…。
…かもしれないですね。
ひょっとしたら山崎さんは日本で藤野さんと山田くんと同じ感染源だった可能性も出てきたという事ですかね。
だとするともしだとするとですよ。
どこで接点があるんだろうなこの3人は。
この日本で腸チフスに感染するとすると。
何かねさっき「僕はなま物食べてません」とか言ってたから食べ物という事ですか。
そうですね。
人から人に直接感染するというよりは食べ物を介して感染する経路が圧倒的に多いですので。
例えばどういう状況ですか?なるほど。
料理しないでほしい。
嫌だそれ。
聡美さんの便に触れた母親が見ず知らずの由樹人くんに料理を出す事はありえない。
また腸チフスにかかった料理人が高熱や下痢に苦しみながらお店で料理を出す事も考えにくい。
じゃあどういう人がそういう調理をしてるとそういう事になりえますか?感染してしばらくたってからも菌を排出する事があると思うので。
腸チフスにかかっているのに症状が出ず多くの人にうつしてしまった実話があります。
アメリカで家政婦をしていたメアリーさんは自分が腸チフスに感染しているとは知らずにたくさんの家で料理を作りました。
もしかしたらあまり手が洗われてなくて…次のVTRを見てみましょう。
藤野さん。
はい。
この男性に見覚えはありますか?ええ知ってますけど。
山崎さんと吉田さんですよね。
ご存じなんですね。
あれあれすごいかわいい2人発見した。
私の会社と同じビルに入ってる商社の人たちで移動販売車のお弁当を何度か一緒に食べました
よく会社の前に来るので時々利用するんです
サラダですかね。
独特の味付けですごくおいしいんです
いいえその店だけです。
そのお弁当を…はい食べました。
その時は1人でしたけど
すいません確認したい事がありますのでお待ち下さい。
ああ先生。
山崎さんちょっとよろしいですか?あっ同じビルの会社の方じゃないですか?よく会うよな。
確か聡美ちゃんだっけ?ああそうですそうです。
山崎さん。
ええありますけど…。
えっなぜそれを?出張に行く2日くらい前です。
度々すいません。
1つだけ確認したい事があるのですが。
はい。
ここ2〜3週間で由樹人くんに…あります。
20日ぐらい前でしょうか。
由樹人が食べたいって言って。
(玉ちゃん)うわ〜!3人とも共通してあのお店で食べていたという事ですね。
それでは3人の感染源共通したものも分かったという事で最終診断をどうぞ。
はい。
(拍手)腸チフスだ〜。
忽那先生はすぐに保健所へ連絡。
その情報に基づき保健所が調査を行ったところ…トイレに行ったあと十分に手を洗わず調理した事が原因だった。
料理人はすぐに治療を受け体内のチフス菌を根絶。
忽那先生の的確な対応によって日本で起こった腸チフスの集団発生は終息した。
これは本当にあった症例をフィクションにしてるんですけど実際の症例は移動販売をしてるものではなくてあるレストランで起こった事例ではあるんですけど。
治療されて皆さん無事に良くなられてます。
デング熱のねあの騒ぎの陰で。
(江川)陰でね。
実際こういう事があったわけですね。
ドクターGからメッセージお願いします。
腸チフスとかデング熱とかというと海外で起こる感染症で日本で起こるというイメージはなかったと思うんですけどこれからどんどん国際化が進んでいく中で日本で起こらないとは言えないような時代になってきてるのかなと。
そういう意識を持ち続けて頂きたいなと思います。
こちらから積極的に聞き出していく事でそれが診断の鍵になる。
今回で言うと感染源ですね。
食べ物の原因がどこだったのかという事が分かったりとか診断につながる事があるので自分からどんどん情報を積極的に取りに行くという姿勢を是非大事にして頂きたいなというふうに思います。
患者さんを丁寧に一つ一つ症状を診て論理的に考えていく必要があった症例だったと思いますので今後とも目の前にあたる症例に対して誠実に向き合っていきたいなと思います。
本当にいろいろな国の方が日本にいらして下さるのはうれしいですけれどもそれとともにこういった感染症って国境がないっていいますから危険も少しずつ増えていく。
そういった中でやはりお若い先生方に知識をどんどん増やしていって頂けたらうれしいですね。
外国人は増えますもんねこれからね。
(玉ちゃん)亀じゃなかったですね。
どうでした?江川さん。
いやもうね覚える事多すぎ。
すごい勉強量というか暗記量持ってないと…。
要は症例みてもこれかこれかこれかってとてつもなく多いじゃないですか。
だから本当にご苦労さまです。
頑張って下さいという。
さあ次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるのでしょうか。
さよなら!
(拍手)2015/10/29(木) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「高熱で苦しい」[字][デ]

病名推理エンターテインメント「総合診療医ドクターG」。去年夏のデング熱騒動の中、代々木公園でランニングをしていた女性が高熱で倒れた!デング熱?それとも…

詳細情報
番組内容
去年夏に代々木公園周辺で起こった、実際の症例をほぼ忠実に再現。ドクターGは、日本の感染症対策の最前線で活躍する総合診療医だ。患者の症状からはデング熱が疑われたが、全く別の病気の可能性もある。仮に別の感染症を見落としてしまったら、日本で爆発的な感染が広がることにもなりかねない!研修医たちならどうする?そしてドクターGがその時とった行動は?謎が謎を呼ぶミステリーのような展開に、ゲストたちも大興奮!
出演者
【出演】国立国際医療研究センター医師…忽那賢志,【ゲスト】紺野美沙子,江川達也,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

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