遺産争族 #2【ムコの正体−結婚を決めた本当の目的!】 2015.10.29


(牧師)あなた方は自分自身をお互いに捧げますか?捧げます。
捧げます。
若い2人が愛を誓い合う
(牧師)誓いのキスを。
なんと美しい光景だろう
しかしロマンチックな誤解もこの瞬間でおしまい
結婚は愛の結びつきというより経済的結合である
日々の生活費や家の財産を与え合い奪い合う事である
(月子)長すぎ!
(凜子)長いよね。
(せき払い)
さてこの2人のキスの値段はいくらだろう?
えー皆さん。
本日は楓と婿育生の挙式にご出席頂きお疲れさまでした。
(華子)いきなり呼び捨て?本当に疲れちゃったわよ。
楓何分キスするのかと思ったわ。
(恒三)育生くん。
私の出身地である尾張の織田信長は長女の婿徳川信康に疑いを抱き殺させた。
えっ?
(恒三)しかし次女の婿蒲生氏郷を自らが討たれる日までかわいがったという。
出来れば信長と氏郷のようになりたいものだね。
それを言うなら信長自身だって舅の斎藤道三にはかわいがられた。
うん。
我々は道三と信長と氏郷でいこうじゃない。
ねえ。
はい。
よろしくお願いします。
では道三殿にあいさつをお任せしましょう。
よし!育生くん楓おめでとう。
イエイ!アハハ…。
(龍太郎)ハハハ…。
そして育生くんのお母様。
一人息子を婿に出すのはさぞやお寂しい事でしょう。
河村家の宝として大切にお迎えしますのでどうぞ安心してください。
どうも…。
宝だってよ。
あっへえ…。
血の繋がったさマーくんだってそんな事言われた事ないのにねえ。
今日の主役は2人なんだから!もう…。
(せき払い)育生くんには言っておきたい事がある。
ちょっと立ってくれんか?あっはい。
私は80歳だ。
病気もある。
まあ持ってあと1年だろう。
いいえちゃんと療養すれば長く生きて頂けます。
いや私は死ぬ。
まもなく死ぬ。
やめてよおじいちゃん結婚式に。
縁起悪いよ。
葬儀屋に縁起もへったくれもあるか。
私は育生くんに大事な大事な頼みがあるんだ。
育生くんは私の命の恩人だ。
その育生くんがかわいい楓と結婚した。
嬉しい。
もう思い残す事はない。
そこで私が倒れたら…。
全てを君に託したい。
お願い出来るかな?
(月子)す…全てって言った?言った。
どういう意味?だから全てっていうのはさallとかeverythingとか何もかも全てって事?えっ?どうした?引き受けてくれんのか?いや…あの…。
あっあの…その…。
(せき込み)
(正春)マミー?
(龍太郎)なんだ?うるさいな。
文句があるのか?
(月子)やだ文句なんかないけどさ…。
けどなんなんだ?申し述べたい奴は今言いなさい。
あっじゃあはい。
(龍太郎)ん?
(凜子)文句じゃないんだけどさ昨日まで他人だった人に全てを託すっていうのは私たち娘としてはさびっくりするじゃん。
ねえ。
ねえ!陽子姉ちゃん。
えっ?私は…。
お義父さんこの件は改めてお話しする機会を設けてはいかがでしょうか?
(恒三)育生くんも楓と今日式を挙げたばかりです。
いきなり全てを託すと言われても荷が重いのではないでしょうか。
(月子)そうよ困るわよね全てなんて。
ねえ?ええ…。
そうなのか?私が君に全てを託すのは迷惑なのか?いえ。
お引き受けします。
(せき込み)
(凜子)嘘!?
(龍太郎)そうか引き受けてくれるか。
はい。
倒れた時は全てを託したいってつまり…治療を頼みたいという意味ですよね?そのとおり。
ハハハ…。
いや先生は今研修医だが素晴らしいドクターになる。
うん。
頼んだよ。
はい。
全力を尽くします。
これで安心だ。
ハハハハハ…!ハハ…。
(月子)治療って意味だったの?なによもう。
ふざけないでよ…。
うっ…!ちょっと大丈夫?心臓にマジ悪いよね。
もうおじいちゃんったら。
(陽子)誤解されるような事言うんだから。
わざとだよ。
面白がってるんじゃないか?だとしたら育生さんよく返してくれたわね。
出来すぎだな。
家族は永遠に同じ舞台に立つ事は出来ない
突然誰かが退場する事もあれば新たに誰かが登場する事もある
そしてそこには必ず争う家族すなわち争族の悲喜劇が起こる
果たして彼は無事に迎え入れられるのだろうか?
それとも…
(渡辺達哉)よいしょ。
おしまいっと。
(達哉)これだけ?ああ。
式の前にパソコンは運んだから。
(渡辺美香)…にしたって洋服とかもっとあるでしょ?
(美香)あっそっか。
いつでも戻ってこられるようにしてるんでしょ。
お前な…。
おい美香!育生はもう結婚したんだよ。
諦めろ。
冗談やめてお兄ちゃん。
私別にこんな気の利かないだらしない男なんか好きでもなんでもない。
ただ心配してあげてるだけ。
お金目当てで婿に行ったのがバレて叩き出されないか。
(達哉)お前…!ガキですいません。
気ぃ悪くしないでね。
いえ。
強力なライバルばっかで燃えます。
「ばっか」?
(ドアの開く音)
(凜子)あらららら〜!月子姉ちゃんが帰ってくる部屋がなくなっちゃったねえ。
申し訳ないけど楓の部屋だけじゃ狭いじゃない?だからリフォームしたの。
前の坊ちゃんに比べたらマシかもしれないけどさ信用出来るの?こいつ。
(陽子)こいつって…悪い人じゃないわよ。
案外うちの財産を狙ってたりしてね。
(陽子)まさか。
お医者様なのよ。
(凜子)人がいいなお姉ちゃんは。
親が医者じゃないとさ開業するのに何億もかかるっていうよ。
うちに婿に入る事でその資金を出してもらおうなんて思ってるんじゃないの?やめなさいそんな事言うの。
だけどさあの母親さお父さんが全て託すって言った時目をギラギラ光らせてたよ?
(凜子)お父さんもなあ案外本心かもしれないよ。
お義兄さんとうまくいってないみたいだしさあの医者を後継者になんて思ってるんじゃないの?財産もあげるつもりかも。
全て。
凜子。
(凜子)ん?お金がいる事でもあるの?えっ?だってあなた小さい頃から贅沢でわがままだったけど気前がよくてお金に汚いところなかったから。
フフフフ…まあね。
今だってさ月子姉ちゃんみたいにがめつくはないわよ。
でもねお父さんがもう長くないと思ったらあれこれ考えちゃったのよね。
(凜子)少なくとも私はお父さんが苦労して貯めたお金を赤の他人に取られたくない。
そんだけ。
お姉ちゃんは?私?うん。
いっつもさ夫のため娘のため家族のために尽くしますって感じだけれどもそういう人に限ってお腹の中には不満が渦巻いてるんじゃないんですか〜?またそんな事を…。
フフフフフ…。
私は今の生活に満足して…。
(龍太郎)おーい!おーい!
(陽子)はーい!
(陽子)はいはい。
(龍太郎)書いといたぞこれ。
サイン。
ありがとう。
(陽子)楓たちが戻ったらすぐ渡しますね。
早く籍を入れておいたほうがいいな。
やっぱり婿は嫌だなんて逃げ出されても困りもんだ。
(恒三)たとえ失敗したと思っても式を挙げたあとでは逃げ出せるものではありませんよ。
ああそりゃそうだ。
しかし君のほうだって後継者が気に入らないからといって追い出すわけにはいきませんからね〜。
アハハハハ。
フフフ…。
(龍太郎)散歩散歩。
(凜子)お父さん。
付き合おうか。
1人で大丈夫?はい。
気味悪いな…。
ウフフ…。
おい凜子。
ん?お前早くロスへ帰れ。
カメラマンの仕事はどうしたんだ?フフ…。
いってらっしゃい。
(華子の泣き声)お母ちゃん。
(華子の泣き声)泣く事ないだろ?だって…。
泣かずにいられないわよ。
今泣かないでいつ泣くのよ?同じ東京なんだからまた来るよ。
「来る」じゃなくて「帰る」でしょ!もう…。
はいはいはいはいはい…はい。
育生考え直しなさい。
えっ?結婚式はもう終わったんだよ?結婚式に出たからわかったのよ!お母ちゃん…取り返しのつかない罪を犯したって…。
河村家の連中は最悪だよ。
金をちらつかせて人を試すような事して…。
あんたあんな家に入ったら本当に苦労するよ。
お母ちゃんね予言する。
あのじいさんが死んだらねあの家は遺産でもめるよ。
俺には関係ないって。
そうはいかないわよ。
(華子)もめにもめたら楓さんだって一文無しで放り出される事だってあるんだよ。
そしたらあんたなんかなんの得もない…。
お母ちゃん。
育生!今さらそんなきれい事なんか言ったら駄目だよ。
あんただって考えた上で婿を決めたって言ったじゃない。
(育生の声)俺だってただ押し切られて行くわけじゃない。
ちゃんと考えがあって婿に行くって決めたんだ。
(華子)将来の事を考えたからでしょ?自分の病院を持つ時の資金を出してもらおうって。
そんな事考えてないよ。
なんで?恥ずかしがる事ないじゃない。
医者として当然の権利よ。
俺は…。
もっと大きい事を考えてるんだ。
(華子)つまりちゃんと目的があるって事?ああ。
(華子)ならいい。
それならいい。
あっ!すいません。
ごめんなさい。
とても病み上がりの年寄りとは思えないわね。
お父さん…。
(凜子)誰?まさか…愛人!?
(凜子)えっ?まさかね…。
(携帯電話)
(凜子)うわうわうわうわ…。
(携帯電話)
(月子)「もしもし?もしもし?聞こえてないの?」聞こえてるわよ!なんかあったの?敵は到着した?
(凜子)「敵?」うん。
得体の知れない新米医師よ。
お父さんに取り入ってるんじゃないでしょうね?
(凜子)「まだご到着してないわよ。
そんな事よりさ…」今ね取り込み中なのよ。
それに電池も切れそうだからちょっと1回切るわね。
ごめんみんなちょっとごめん。
ちょっとごめんなさいね。
ちょっとちょっと…。
(凜子)あら?
(男の子)あっちでサッカーしよう。
(凜子)えっ?
(月子)まったくよく電池の切れる人ね…。
(正春)やった!ちょっとやった!ちょっと…マミー!マミー!マミー出来たよ!本格マルゲリータ!マミーちょっと!ちょっちょっちょっ…!やっぱさ奮発して国産の小麦粉にしてよかったよ。
これ生地の弾力性が全然違う。
マーくん。
あのねボヤボヤしてるとね突然やって来た赤の他人に全部持ってかれちゃうわよ。
どうしたら…どうしたらじいじの点数を稼げるか考えなさいよ!家系図でも書く?家系図?何訳のわからない事言ってるのよ?いやなんでもない。
(金沢利子)まず正式な家系図と財産目録をお作りください。
(龍太郎)これが河村家の家系図でこれが財産目録です。
なんせ裸一貫の成金なもんで。
お恥ずかしい限りです。
ハハハ…。
(利子)いいでしょう。
我々の世界では家系図を相続人関係図と呼びます。
全てはここから始まります。
はーい先生。
あっいや…子供の頃女の先生に習った時の事を思い出してます!どのような配分にしたいか考えておられますか?あっそれだ。
長女にはあまりやりたくありません。
(龍太郎)なぜならば婿の恒三のものになるからです。
恒三には会社を与えました。
いや死神にだまし取られたと言ったほうが正しいな。
これ以上びた一文やりたくないんです。
次女の月子なんですがこれもあまりやりたくありませんね。
(龍太郎)早くに亭主を亡くして不憫に思ったので会社のポストを孫共々与えたんですが働かず浪費ばかりしています。
末娘の凜子なんですがこれも気が進みません。
(龍太郎)アメリカに渡ってカメラマンになるんだなんて言ってたんでね援助してたんですが四十にもなってまだ芽が出たなんて噂も聞かんのです。
ではどなたに?孫の楓と婿の育生に主立った財産を譲りたいと考えております。
それは難しいですね。
法律上個人の遺産は配偶者に2分の1残りの2分の1はお子さんが分けます。
(利子)会長の場合奥様は亡くなられていますから3人のお嬢さんで分ける事になります。
長女の婿である恒三さんやお孫さんの楓さんには元々相続権がありません。
結婚したばかりの育生さんは言わずもがなです。
(龍太郎)しかし私の遺言状でそう指定すればよいのでは?書くのはご自由です。
…と言いますと?娘さんたちが遺言書に異議を唱えたら裁判になります。
遺留分といって本来の相続人を保護する判決が下るケースが多いです。
裁判?あの馬鹿な娘たちが…。
認識が甘いですね。
遺産には人間を変えてしまう魔力があります。
何か打つ手は…。
ないわけではありませんが…。
教えてください先生。
その前にこの育生さん信頼出来る方なのでしょうか?えっ?先方が会長を手玉に取っている可能性もないではありません。
いや…。
(利子)よく確かめてからにしたほうがいいでしょう。
ただいま!
(陽子)おかえりなさい!早かったわね。
(陽子)はいどうぞ。
すいません。
(陽子)お母様どうだった?寂しがっておられなかった?はい。
祝福して送り出してくれました。
(陽子)よかったわ。
同じ母親として気持ちはわかるもの。
ありがとうございます。
(ドアの開く音)保証人のサインもらっておいた。
うん。
明日出そう。
うん。
ごめんね初めてじゃなくて。
ううん。
先輩として教えてください。
もう!なんで…。
あっ!んっ!?早く家を出て2人で暮らそうね。
うん。
でも無理しないでいいよ。
考えてみたらさ俺当直もあるし家にいてくれたほうが安心だから。
ふーん…。
ん?ううん…。
私の事がたまらなく好きだから嫌でも婿に来てくれたのかなと思ったんだけど…。
それは間違ってないけど…。
何?はっきり言ってよ!ねえ好き?ああ。
はっきり言ってよ。
フフ…。
あっ!何?やっぱ…まずはお義父さんにあいさつに行くわ。
えっ?よいしょ。
(ドアの閉まる音)
(ノック)はい。
育生です。
失礼します。
先ほど引っ越しを済ませました。
ああ…。
あっ婚姻届の保証人ありがとうございました。
明日一緒に出しにいきます。
これからよろしくお願いします。
それだけかね?えっ?引っ越した。
婚姻届を出す。
よろしく。
子供の使いじゃあるまいし大人の付き合いなら気の利いた冗談の一つも言ってほしいもんだね。
気の利いた…。
黙ってもっともらしい顔をしていればいい医者にはわからないだろう。
葬儀社は病院の裏側を見る事が多い。
出来れば楓は医者とだけは結婚させたくないと思っていた。
アハッ…冗談だよ。
あっ…。
すいません笑えなくて。
そうだ。
その婚姻届私が出そう。
えっ?私の時も義父が出してくれた。
河村家の習わしともいえる。
そうでしたか…。
じゃあお願いします。
これを出せば君は河村育生となる。
職場での名字もきちんと河村に変更するように。
妻の家に入った男は元の姓を使う者が多いが私はすぐに河村に変えた。
不満かもしれないがそれが婿に入るという事だからね。
いえ。
明日から河村を名乗ります。
むしろ新鮮です。
(目覚まし時計のアラーム)うーん…。
(陽子)誰?すいません。
おはようございます。
ああ…育生さんだったの。
随分早いのね。
教授回診の日は特に早いので…。
あっこれもらっていいですか?何か食べていきなさいよ。
楓起こしましょうか?ああ…もうちょっと寝かせてやってください。
僕朝食べない習慣なんで。
わあすごいすごい。
ごちそうさまです。
いってらっしゃい。
いってきます。
気をつけて。
はい!なんの騒ぎだ?育生さん楓を寝かせておいてやってくれだって。
優しいわね。
私も言われてみたいわ。
(恒三)コーヒー。
(陽子)あらあなたもこんなに早く?区役所に寄って婚姻届を出してくる。
なんだかんだ言って応援してくれてるのね。
ご苦労さま。
30分も前に出たはずなのに…。

(シャッターにぶつかる音)おはようございます。
ああおはよう。
随分前に家を出たと聞いたけど。
ああ…ちょっとその…ランニングを。
ランニング?ええ。
毎朝の習慣なんです。
ふーん。
ねえどうして起こしてくれなかったの?おはよう。
だって育生さんが起こすなって言うんですもの。
なんで黙って行くのよ。
いいじゃないのよあんた。
ママみたいに家政婦扱いされちゃったらさ一生の不覚よ。
(凜子)夫はね最初からしつけなきゃ。
私は凜子おばちゃんみたいに打算的じゃないの。
若いわね!男に夢中になれるなんて…。
(育生の声)俺は…。
もっと大きい事を考えてるんだ。
河村…育生。
(大野壮太)あれ?佐藤名字変わったんだ。
(御浜高次)結婚したって言ってたけど婿に行ったの?ええ。
今日からは河村でお願いします。
お嫁さんどっかの社長の娘って言ってたもんな。
いいじゃんいいじゃん!ゆくゆくは開業資金援助してもらうんだろ?俺も金持ちの娘と結婚すりゃよかった。
いやでも大変ですよ。
婿いびりされるんで。
マジ?いじめられてんの?ええ医局のパワハラも真っ青ですよ。

(ノック)
(吉沢貴志)社長三田様の件いかがしましょう?例のペット葬か?盛大に送りたいとおっしゃるので…。
大理石の骨つぼにしまして締めて80万円程度の見積もりをお出ししたんですが…。
高いと言ってるのか?
(吉沢)違います。
1千万くらいかけてほしいと…。
1千万?
(三田晃子)わたくしねポコちゃんのお葬式で貯金を全部使ってしまいたいの。
使ってしまいたい?
(晃子)わたくしが死んだあとハイエナみたいな息子や嫁たちに貯金を奪われたくないの!
(吉沢の声)猫の葬儀に1千万という事になるとそのハイエナたちから何を言われるかわかりません。
いいじゃないか。
この際もうけさせてもらおう。
ポコちゃんの像でも作れば親族も文句はつけられまい。
それは名案ですね。
すぐ依頼します。
私は反対よ。
お金は親族に残すべき。
そんな泥棒猫に1千万なんて馬鹿馬鹿しい!猫に罪はありません。
(ノック)
(南リエ)失礼します。
社長にお客様が…。
(恒三)お客様?佐藤華子様という方がどうしてもと…。
仕事でちょうど近くまで来たんです。
結婚式の時にはバタバタしてちゃんとごあいさつ出来てなかったものですから…。
ご丁寧にどうも。
まあお座りください。
はい失礼致します。
(月子)あら〜営業の主任さんなんですか?すごいわ〜。
はい。
女手一つで息子を医学部を卒業させるために頑張りました。
今となっては育生のおかげです。
同じシングルマザーとして尊敬しますわ。
うちの子なんて三流大学ですもの。
(月子)やだわね〜。
ホホホッ…。
育生は…元気にやってますでしょうか?ええ。
といっても引っ越してこられたばかりですがね。
過保護ですけど…。
ぽっかり穴があいたようで…。
(華子)改めまして育生をよろしくお願い致します。
あの子は本当にいい子なんです。
お母様お母様嫌だわ…頭をお上げになって。
頭をお上げになって…。
ああ…ああ…。
やだ私まで涙出てきちゃうお母様…。
(華子)ありがとうございます。
よろしくお願い致します。
やだわお母様。
頭をお上げになって。
頭…。
(月子)たいした役者よ。
あれは間違いなく親子で詐欺師よ。
(凜子)詐欺師って何?なんか要求されたわけ?そんなわかりやすい事するわけないじゃない。
でもこれからはわかんないわよ。
油断ならないからあんたいい?しっかり見張っててよ!私ロス帰るよ。
仕事あるもん。
何が仕事よ。
え?あんたの写真なんかさあんたのブログでしか見た事ないんですけど。
自分だって昼間から帰ってきてるお飾り役員のくせに。
うるさい!いい?これはね遊びじゃないんだよ。
お父さんの事しっかり守らなきゃね!そうじゃないと河村家を乗っ取られて私たちね丸裸で追い出されるかもしれないんだからね。
丸裸ってそこまでないじゃん。
身ぐるみ剥がれてからじゃ遅いのよ!ええ?私たちねこれまで以上に協力しなきゃ!陽子姉ちゃんはどうすんのよ?陽子姉ちゃん?うん。
それは…100パーセント信用出来ないわね。
だって旦那がさ死神だから!死神だ。
一理あるわ。
とにかく育生の動向にはさ注意してよ!それからさ楓あの子は育生に夢中だからあの子にも要注意よ!うんイエッサー!2億!2億!
(馬のいななき)
(木村誠也)さすが落ち方がうまいね。
どうも木村様。
乗りに来られたんですか?どうっすか?新婚生活は。
最高っす。
(木村)ハハッ無理すんなよ。
お前がガンガン走ってる時ってうまくいってない時なんだよな。
お前とか言わないで。
あなたが呆れちゃうくらい幸せなんだから。
そうっすか?ありがとう。
よし行こう。
どうっすか?今日は一緒に。
(木村)聞いてよ楓。
凜子おばちゃん?
(木村)ああおばさん!どうも久しぶりです!どうも!
(凜子)ふーん…。
まさか元ダンに会ってたとはねえ。
向こうはここの会員だからねえ。
フフフフ…。
まあでもあれはあれでちょっと惜しかったね。
楓不倫してみたら〜?フフッ…。
帰って。
(凜子)やだちょっとどうしたのよ?こんな冗談いつもだったら軽くかわすじゃん。
あら?育生さんとうまくいってないの?まさか。
結婚したばかりだよ。
まあね!でも一緒にならなきゃさわからない事ってあるよね。
私がさ結婚しないのは一緒に暮らすと大体幻滅するから。
全部を知ってるわけじゃないんだなって…。
(凜子)そうね。
育生さん何考えてるかわからないとこあるからなあ。
彼のお母さんも神出鬼没らしいし。
育生のお母さん?
(凜子)うん。
聞いてない?お姑さん会社に来たらしいわよ。
何しに来たのかわかんなくて不気味だって月子姉ちゃん言ってた。
あっこれ全然悪口じゃないからね!たださ育生さんこう…妙に簡単に婿に来たなあと思って…。
田中さんお加減いかがですか?
(田中)ああ先生…。
じき熱が下がりますからもう少し我慢してください。
ありがとう…ありがとう…。
私の娘の婿にしたいよ。
お気持ちだけ頂きます。
お大事に。
あれ…?ちょっと具合が悪くなってね。
こっちです。
すまんね時間外に。
よっと…。
いえ。
どう具合が悪いんですか?
(龍太郎)うん…。
煩悩が消えん。
(ため息)それは治療出来ませんね。
先生披露宴で言った事は冗談とは違う。
私が死んだら財産を引き継いでくれますかな?えっ?あんたなら娘たちと違ってくだらん事には使わんだろう。
病院を建てるのもよし。
好きに使っていい。
いやちょちょちょ…待ってください。
皆さんが聞いたら怒りますよ。
死んだあと誰が怒ろうとそんな事構うもんか。
でも長く一緒に過ごしてきた家族じゃないですか。
この年になって知ったんだがね家族だからやりたくないんだ。
なぜだかわかるか?娘たちはもらうのを当たり前だと思ってる。
ありがたみがないから無駄に使うだろう。
どんなに苦労して築いた財産か考えもせずにだ。
癪に障るじゃないか。
だったら他人であるあんたにあげて世の中の役に立ったほうがマシ!
(龍太郎)これは頼みだ。
受け取ってくれ。
私は本気だ。
(吉沢)明共医科大病院の知り合いにお婿さんの事を聞いてみました。
思った事を言うので教授や准教授の覚えはめでたいタイプではなく医局に残れるかどうか微妙だとか。
(恒三)父親については?25年も前に別れてるので関わりはないんじゃないでしょうか。
それが結婚式に来たんだよ。
(恒三)そっと祝儀を置いていったらしい。
(吉沢)いい話じゃないですか。
別れた息子の幸せを陰ながら祝いたかったんですね…。
そんな人間いるのかね?金をやって祝うなら感謝されたい。
それが人間だ。
もし知られたくないなら別の目的がある時だ。
(亀山まるみ)ハ〜イ!まだ早いのに密談?ビジネスの話だよ。
ああ…。
(まるみ)あら!そのビジネスは要注意ね。
(まるみ)これは皇帝のカード。
本来なら物事を推し進める暗示だけど逆向きに出たという事は上に立つ者が悪だくみをしている。
(吉沢)うわっ…!上に立つ者…誰だろう?会長でしょうか?そうかもしれんな。
(恒三)私のツケで飲んでいきなさい。
(吉沢)ありがとうございます。
(吉沢)ごちそうになります。
悪だくみといえば…あんたしかいないだろ。
(ドアの開く音)
(恒三)おっ…。
おかえりなさい。
なんだがっかりした顔して。
育生くんを待ってたのか?一応ね新婚だから。
彼にランニング用の靴を買ってやったらどうだ?今朝会ったぞ。
毎朝の習慣だそうじゃないか。
(龍太郎)戻ったぞ!どうぞ。
(龍太郎)おお。
おかえりなさい。
ただいま。
一緒だったんだ?ああ寄り合いの帰りにな婿殿とバッタリ会って。
バッタリ…。
うん…駅で。
どうした?どうした?なんで嘘つくの?おじいちゃん病院に行ってたよね?私一緒に帰ろうと思って病院に行ったの。
…そっか。
「そっか」?ちょっと相談されたんだ。
なんの相談?それだけじゃない。
毎朝のランニングって何?そんな習慣なかったよね?あー…。
いきなり嘘が多すぎるよ。
私と結婚したのなんか変な目的でもあるんじゃないの?おかしいよねバツイチの私のとこに平気で婿に来るなんてさ。
信じてないんだな。
何よ。
嘘ついてる人どうやって信じろっていうの?俺の事だけじゃなくて自分の事もだよ。
(ノック)
(陽子)ママよ。
どうかした?見て見て〜すごいでしょマーくんが作ったの〜。
(正春)マルゲリータ!
(月子)これは育生くんが河村家の一員になったお祝い!
(凜子)美味しそうだね〜。
(正春)心を込めて生地を練って焼きました。
(月子)はいはいはいマミーが取り分けるからね〜。
(月子)お父さん。
(凜子)はいお父さん!
(龍太郎)油っこそうだな。
なあ?はいこれお義兄さんに。
(正春)あっはい。
はいおじさんあっ…社長もどうぞ。
(月子)そしてこれは陽子お姉ちゃん。
(陽子)まあ嬉しい!
(正春)次はマミーだね。
(月子)ありがとうはいこれ凜子ね。
(凜子)ありがとうお姉ちゃん。
いただきま〜す。
(月子)はいこれマミーでしょ。
は〜い。
えーっと…そうすると…マーくんと楓ちゃん。
よいしょはいどうぞ。
(正春)はいありがとう。
あれっ楓ちゃんどうしたの?僕のピザ食べてくれないの?
(凜子)あら…?そしてこれは…はい育生くん!はい育生くんどうぞ。
あ〜大変お母さんの分忘れてた。
ああ…育生くんごめんなさい仏様が先だからね。
はい早く。
はい!仏様に…。
(陽子)ご仏壇にピザはいらないわよ。
(月子)駄目よお母さんがいたから私たちがいるんじゃないの。
だったら私のを召し上がって。
(月子)自分の分は手放しちゃ駄目。
(陽子)なんの話?
(凜子)かまととねえ!お姉ちゃん遺産の話。
(月子)変な事言わないでよピザよピザ〜。
どうぞ僕はいりません。
あっついでに言いますが僕はこの家の財産は1円もいりません。
自分で働いた金以外欲しくないですから。
金持ちは自分に人が近づいてきたらすぐ金目当てだと思いたがるけどそんな奴ばっかじゃない。
あんたら…馬鹿みたいだ。
馬鹿?お義父さんもお義母さんもおじいさんもおばさんたちもそれから楓もみんな金に踊らされてるだけだ。
哀れだ。
たかが遺産たかが金じゃないですか。
(凜子)ハハハハハ!持たざる者は強いねえ。
何よ偉そうに!出ていきなさい!出ていきません。
僕は河村の家に来た大事な目的がありますから。
(恒三)目的…?どんな目的だね?楓を幸せにする。
それだけです。
腹減ったんでこっちの料理頂きます。
あっどうぞ。
いただきます。
ごめん…。
私勝手に疑ってた。
もういいから。
あっ明日からさ朝飯頼んでいい?えっ?俺朝食べないと頭動かないんだ。
朝コンビニでパン食ってた。
ランニングって言ってたのは…?起こすの悪くて朝飯食べない習慣って言っちゃったから。
なんでそんな遠慮するのよ!うーん…。
やっぱ婿だからかな。
もう!もうもうもうもうもうもう!
(陽子)パパ?楓いい人見つけたわね。
あんな事言われたの初めて。
(恒三)本音かどうかはわからない。
あんな演説を信じるほど私は単純じゃない。
どうしてそんなに疑り深いの?
(恒三)さあ…婿だからかもしれない。
たかが遺産されど遺産
遺産相続ほど人を狂わせるものはない
しかしまた遺産相続ほど家族の真価を問うものもない
金を巡る争いを通して見える家族の本当の顔聞こえる本当の声
こんなくだらないものに金使いやがって!やめて!だからあんたたちにやりたくなかったんだ!
これを乗り越えれば真に絆を結べるのだ
しかしそれは奇跡
(龍太郎)フフフフ…決めました。
育生くんは私が仕掛けたテストを通りました。
そうですか。
(龍太郎)やはり彼は信用出来る男だ。
教えてください。
遺産を彼に渡すにはどうしたらいいんですか?
(利子)育生さんと親子になれば誰も文句はつけられません。
親子になる?私と育生くんが?
ほとんどの家族が争いの果てに憎み合い散り散りに別れ壊れ果てる
(くしゃみ)すみません。
まことにご愁傷さま
(龍太郎)息子になってくれ。
(月子)3人でさ阻止しましょうよ。
なんでみんな育生を信じてくれないの?婿いびりでもされてんじゃないでしょうね?そんなに僕が気に入りませんか?育生に謝れ!
(龍太郎)早速潰されましたかね。
実家に帰らせて頂きます。
2015/10/29(木) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
遺産争族 #2【ムコの正体−結婚を決めた本当の目的!】[字]

結婚した育生(向井理)と楓(榮倉奈々)。しかし楓は、育生が母親に「婿入りしたのには“ある目的”がある」と告げるのを聞いてしまい、「遺産目当て?」と疑い始める…。

詳細情報
◇番組内容
“ムコ入り”した研修医、育生。そこには“遺産”をめぐっていがみ合い、欲望にまみれた一族がいた!−育生と楓の幸せな結婚が引き金となり、家長である龍太郎(伊東四朗)のにぎる約10億円の資産をめぐり、「家族」は「争族」へと変貌していく。金をめぐる骨肉の争いが、「家族」の本当の姿をあぶりだす!果たして遺産は誰の手に?愛憎にまみれた新しいホームドラマ誕生!
◇出演者
向井理、榮倉奈々、余貴美子、室井滋、板谷由夏、鈴木浩介、堀内敬子、真飛聖、渡辺いっけい、岸本加世子、岸部一徳、伊東四朗
◇脚本
井上由美子
◇演出
常廣丈太(テレビ朝日)
◇音楽
沢田完
◇主題歌
いきものがかり『ラブとピース!』(EPICレコードジャパン)
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】内山聖子(テレビ朝日)
【プロデューサー】服部宣之(テレビ朝日)、峰島あゆみ(テレビ朝日)、霜田一寿(ザ・ワークス)、池田禎子(ザ・ワークス)
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.tv-asahi.co.jp/isansouzoku/
☆Twitter
 https://twitter.com/isan_sozoku
☆Instagram
 https://instagram.com/isan_sozoku/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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