<必要があればこれからも縛る?>北区・高齢者拘束「虐待」事件に潜む高齢者医療現場の暗部
山口道宏[ジャーナリスト]
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認知症患者の拘束は虐待。これまでには刑事事件に至るケースもあった。
この2月に東京都北区の高齢者マンションで発覚した、入居の認知症患者ら20人をベッドに拘束していた事件。身体をベッドに固定、脱げない服を着用させられていた。入居していた認知症の患者の多くは「嫌だ」と自分から意見を伝えられない高齢者ばかりだった。
その施設は、不動産業者が仲介の賃貸マンション型で、運営は同区にある医療法人。有料老人ホームの届け出はなかったという。その状態で訪問介護サービスというのも不思議だ。
さらに本件は3年前から同区の専門職会議で実態への指摘があったにも関わらず、北区は議事録から発言を削除していたことが判明している。行政が隠蔽に肩入れしているわけだ。その人権感覚のなさに驚く。
そして今になって勧告(都)、改善指導(北区)である。その後の調べで新たに75人についても日常的に身体拘束があった(159人中95人となる)と伝えられた。しかし、事件を起こした同医機関のコメントを聞く限り、まったく「懲りてない」。
「医師の適切な指示に基づいて(略)ご利用者様の個別の心身状態等を再度慎重に検討したうえで。」
であるという。つまり、医療上の必要があれば、人によっては「これからも縛りますよ」と言っているわけだ。また「退去の意思を示す入居者の家族はいない」(北区)とも発表した。
「他に預けるところがないから」
「家では看られないから」
つまり、高齢者が人質に取られているのだ。
分かっているだけで、我が国の認知症高齢者数は約462万人(2012年厚労省)。予備軍400万人を加えると800万人超の時代を迎えている。明日は我が身かもしれない。
特養不足、介護報酬引き下げ、人材不足といった我が国の高齢福祉政策の貧弱からくる介護の家族依存。そういったところに事態を呼ぶ「引き金」があるが、こうした構造的な問題に気付く報道は乏しいのが実情だ。
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山口道宏
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