「3兆円超の事業創出」の大きな意味
安倍晋三首相が中央アジア5ヵ国・モンゴル歴訪から帰国した10月28日の『産経新聞』(同日付朝刊)は、1面に「3兆円超す事業創出―首相、中央アジア政策発表」の見出しを掲げ、同5面に安倍首相の政策スピーチ要旨を掲載した。
『毎日新聞』を除く他紙は、安倍首相が27日夕、最後の訪問国カザフスタンの首都アスタナで行った講演内容を報じなかった。講演に先立ち同行記者団と宿舎で行った内政懇談についての報道だけだった。
だが、首相スピーチの中の「日本は中央アジアの自立的な発展を官民で連携して支えていく。民間企業の意欲はすでに高まっている。日本政府も公的協力、民間投資の後押し、インフラ整備、人づくりを支援する。今後、3兆円を超えるビジネスチャンスを生み出す」の件は重要である。なぜ、他紙が詳報しなかったのか、理解に苦しむ。
そもそも、日本の首相が中央アジア5ヵ国(トルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン)を訪問したのは初めてである。小泉純一郎首相(当時)が2006年にカザフスタンとウズベキスタンを訪問しただけであった。
安倍首相の5ヵ国訪問は、伝統的にロシアの影響力が強く、近年は中国の経済面での影響力が増大している同地域での日本の存在感を改めて示す絶好の機会となった。隣接するアフガニスタンや中東からテロ・過激主義の浸透防止が同地域の安全保障面での課題である現状からすれば、非エネルギー資源生産国であり、同時にアフガニスタンと約1400kmも長い国境で接するタジキスタン訪問の持つ意味は大きかった。
キルギスは同地域随一の民主主義国家であり、議会重視の国家運営を行っている。だが、皮肉なことに5ヵ国中最も人口が少ないうえに主要産業は牧畜・農業で1人当たりのGDPも僅か1,299ドルと貧しい。同国はタジキスタンとカザフスタン同様に中国と国境を接しているため、同国経済支援は中国への牽制になるのだ。
そして豊富な天然資源を持つトルクメニスタン(天然ガス埋蔵量は世界第4位)、ウズベキスタン(石油、天然ガス、ウラン、金などが埋蔵)、カザフスタン(ウラン埋蔵量は世界第2位、石油、レアアースなどが埋蔵)の3ヵ国については、特に運輸・物流インフラの全般的な老朽化による膨大な更新需要、そして電力・通信・交通などの新規インフラ開発による特需が見込まれている。
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