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【社会】

「憲法守ろう」黒塗り日野市封筒 憲法順守 消された理念

東京都日野市が、公用封筒に印刷された「日本国憲法の理念を守ろう」という文言を黒く塗りつぶし、市民らに発送していた。古い封筒を使う際、現行型のデザインに合わせるためだったと釈明したが、市民らから抗議など50件が相次ぎ、大坪冬彦市長が公式ホームページで「遺憾」と陳謝

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 東京都日野市が、公用封筒に印字された「日本国憲法の理念を守ろう」という文言を黒く塗りつぶし、市民らに七百〜八百枚を発送していたことが分かった。市側は「封筒は古いデザインで、現行型に合わせるため」と釈明しているが、市民から抗議の声が寄せられ、大坪冬彦市長が市のホームページ(HP)で「誤った事務処理で市民の皆さまに誤解を与えた」と対応のまずさを認めた。 (加藤健太)

 問題となったのは、長形3号の縦長の郵便用茶封筒で、大きな「日野市」の文字の左下に「憲法の理念を守ろう」の文言が印字されている。二〇一〇年度のモデルで、四月一日からの一年間、全庁的に使われた。

 市によると、今年二月ごろ、用水路や公園の維持管理を担う「緑と清流課」で、使っていない一〇年度モデルが課内の段ボール箱に一千枚以上残っているのが見つかり、捨てずに利用することにした。

 同月、現行モデルにはない憲法の文言を、黒いフェルトペンで塗りつぶし、同課の業務で、主に返信用封筒として市民らに郵送。このほか、封筒を貸した都市計画課からも、黒塗りされた二十枚が発送された。

 緑と清流課の原正明課長は本紙の取材に、自身が指示したことを認めた上で、「現行モデルと見た目のデザインを合わせる必要があると判断した。封筒のデザインは、その時々で、発信したいメッセージやキャッチフレーズが変わるため定期的に変更している」と説明。憲法の文言が何年度から採用されたかは分からないが、長い間、印字されてきたという。

 この文言は一〇年度モデルを最後に消えたが、その理由について市は「把握できない」としている。

 この黒塗りされた封筒は今月に入っても使用され、受け取った人が問題視し、二十五日にインターネットに画像を投稿して拡散。市には抗議の電話やメールが五十件近く届き「中立であるべき役所にあるまじき行為」などの批判が寄せられたという。

 原課長は「当時は見た目のことばかり考えてしまい、短絡的だった。憲法の文言をあえて消す必要はなく、メッセージ性を持った行動と受け取られても仕方ない」と話し、手元に残った黒塗り封筒五百枚は、全て処分する方針を示した。

 市は三十日午後四時すぎ、HPで経緯を掲載。この中で大坪市長は「誤った事務処理で市民の皆さまに誤解を与えて遺憾に思う。憲法をはじめとする法令順守は市政の基本であり、今後も揺るぎない」とコメントしている。

◆理由思いつかない

<田島泰彦・上智大教授(メディア法)の話> 全く普通のスローガンで消さなくてはいけない理由が思い付かない。客観的に見れば、憲法を否定する意思表示。市民の批判は当然だ。安倍政権が進める改憲の動きと符合しており、逆に政治的だ。

 

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