米田優人、横山健彦
2015年10月31日08時41分
京都府福知山市が宅地を造成して販売する際、浸水リスクを知りながら購入希望者に伝えなかったのは不当だとして、2年前の台風で浸水被害を受けた住民3人が30日、家の修繕費や慰謝料など計約2千万円の損害賠償を市に求め、京都地裁に提訴した。住民の弁護団によると、自治体が開発した宅地の浸水リスクをめぐって行政の説明責任を問う訴訟は初めてという。
住民3人は2009~10年、市が石原(いさ)地区に造成した土地を買って自宅を建てた。13年9月、台風18号の大雨で近くの由良川と支流があふれ、床上70~130センチの浸水被害を受けた。
死者を出した04年の台風23号でも、地区の一帯は浸水。市は06年、浸水の危険度を示す「防災ハザードマップ」を市内の全世帯に配ったが、地区で新たに土地を購入した住民らは受け取っていなかった。一帯は2~3メートルの浸水リスクがあることが示されていた。
国は04年から由良川流域で堤防の整備を進めているが、まだ完成していない。住民側は「市は以前から浸水リスクが高い地域と認識していたのに、かさ上げなどの対策をとらず宅地を販売した」と指摘。「リスクを知らせず販売したことは売り主としての説明義務に違反する」と訴える。
市危機管理室の担当者は取材に「転入届を出す前の人へのハザードマップの配布は水防法で規定がなく、必ず渡しているわけではない」と話している。
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