ラッセンは主要装備に、巡航ミサイル・トマホークや、対艦ミサイル・ハープーンを持つ。追尾から攻撃まで自動で行うイージスシステムで、100以上の目標に同時対処が可能だ。
加えて、湾岸戦争でも活躍した米原子力空母「セオドア・ルーズベルト」が、インド洋で行われた日本と米国、インドによる海上共同訓練「マラバール」に参加した後、先週24日に南シナ海の端に位置するシンガポールのチャンギに寄港している。士官・兵員約3950人、艦載機85機という「動く前線基地」の動向も、中国は把握しているはずだ。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「中国人民解放軍は陸軍が主流で、海軍は艦船の数はあっても、あくまで黎明期といえる。米軍はラッセンだけでなく、空母セオドア・ルーズベルトも作戦準備をしているとみられる。力の差は歴然。中国軍は太刀打ちできない」と話す。
こうなると、アジアの周辺国に軍事的恫喝を続け、強硬姿勢を続けてきた習政権は追い詰められそうだ。
中国情勢に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「習政権は、南シナ海での覇権拡大によって国内での求心力を保ってきた側面がある。ところが今回は、5中総会の最中という最悪のタイミングで米国にしてやられた。完全にメンツを潰された」と指摘する。