Kent Shiraishi Photo Studio

北海道美瑛町の大自然や身近な写真を、
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色空間のAdobe RGB & sRGBに関する誤解と無知

2015年10月30日 | カメラ&写真
色空間のAdobe RGB & sRGBに関する誤解と無知
あまりにも間違った知識、誤解されている方がを多いのでここに書いておきます。
ケント白石の科学的写真術講座

実は最近良く眼にする間違った知識があります。
価格.comのクチコミ等で、
ハイアマチュアを自称する様な方が素人の質問者に対して次の様に書かれていました。

「撮影時、カメラをsRGBに設定していても、RAWで記録している場合は、現像時、AdobeRGBにすることができる。そこで、様々な写真のRAWをsRGBとAdobeRGBの2種類に現像する…。」
また他の方も、
「RAWのデータそのものにはAdobe RGBとかsRGBといった色空間の概念はありませんよ。デジカメでそれらを選ぶのは、カメラ内で作成されるjpegデータをどちらの色空間にするか設定するためのものです。RAW現像ソフトでjpegデータを作る際にも、どちらの色空間にするか選べるはずなので(逆に、選べないものは知りません)、きちんと選んでやれば好きなように現像できますよ。」
こんなでたらめ、間違った知識を平気で書いています。

実はこの色空間に関する知識は、
間もなく来月実施される「フォトマスター検定」の過去問でも出題されました。
また僕の写真術講座を受講しに先日いらしたお客様で、デジタルカメラを本格的に勉強されて3年位の方ですが、この方は「フォトマスター検定1級」を習得されており、
「この程度の知識は基礎的なレベルだと思います。」そう話されていました。

・・・しかし、
実際にはこの基礎的な知識さえ無い方がどれほど多い事か…。
やはりクチコミ等で、初心者の質問に対して次の様に書いている方がいました。

「…SONYに関しては分かりませんが、残念ながら、Nikonのカメラは撮影時に色空間を決めなければならず、たとえ現像ソフトを使っても、sRGBで撮影したデータをAdobeRGBに変換する事は出来ません…。
しかし、Canonのカメラはそれが出来ます。つまりRAWデータで撮影していれば、キャノンの現像ソフトで後から自由に色空間を変換出来ます。」


凄すぎる〜〜〜〜〜〜ははははーーーーー
もしこれが本当なら、カメラの革命だよ〜〜〜〜〜〜
しかしそこまで良く言いきるわ!
いやほんとうに。
「無知の知」という言葉がありますが、
ここまで間違った知識を他人に教えて平気なの???
恐れ入りました・・・・。
呆れて何も言えません。
・・・・・・
さて、僕のこのブログをお読み頂いている皆様は多分十分正しい知識をお持ちだと思います。
「フォトマスター検定」のテキストにも書かれておりますから…。
ですから簡単に結論だけ書きます。

「Jpegで撮ってもRAWで撮影しても、撮影時にもしあなたが色空間をsRGBに選択したなら、
それをAdobeRGBの色空間に変換する事は出来ません。
もちろん無理やり現像ソフトで見ため上変換する事は可能ですが、それは間違った色空間のプロファイルをデータにただ単に与えるだけです。しかもその間違った色空間で保存するなら、もう二度と元に戻せません!」

僕は自信の無い事はここに書きません。
Nikonの技術者とは何年も前にその事を話しています。
しかし、上に書きましたように、Canonは出来るなどと書いていた者がおり、
早速電話でCanonに確認しました。
礼儀正しい賢そうな女性の担当者が応対して下さいました。
「実は・・・の件で、Nikonは色空間を後から自由に変えられないが、キャノンは出来ると話している方がおります。
つまり撮影時にsRGBに色空間を設定して撮影したRAWデータを貴社のソフトでAdobeRGBに変換出来ると言うのですが、それは本当でしょうか???
もしそれが出来るなら、自由に色空間が変更出来るなら、僕は今すぐカメラをキャノンに取り換えますが…。」
こんな感じで笑いながら質問させて頂きました。
そうしますと、
「・・・出来ますと答えたいですし、もう本当にそう出来れば素晴らしいと思いますが、残念ながら、当社もニコン様と同じです。
撮影時にsRGBを選択した画像を後からAdobeRGBに変換する、つまり色空間を広くする事は出来ません。
もし現像ソフトで無理やり変換した場合は、色空間は変わらず、しかも間違ったプロファイルを与える事になります。ご注意ください・・・。」

流石キャノン!とても説明が明確で分かり易い。
対応の素晴らしさに感動しました。
そしてSONYなんですが・・・
実は電話をしたのはSONYが先でした。
僕はキャノンに質問した様にSONYにも同じ事を尋ねました。
つまり、
「・・・Nikonはその変換は出来ないが、Canonは出来ると言っている方がいます。
果たしてSONYはどうなんでしょうか?」
そう質問しましたら、何と次の様な回答。
「・・・SONYもCanon様と同じ様に出来ます!
当社のRAW現像ソフトを使って頂ければ、たとえsRGBで撮影していても、後で簡単にAdobeRGBに変換できます。」

ガ〜〜〜ン、来たぞ来たぞ・・・
しかも自信満々でそう答えたのでありました。
キャノンと同じ答えが返ってくると信じて疑わなった僕は、
まさに映画「進撃の巨人」を観た様な気分になりました。
つまり巨人に食われる人間の気分です。
(#^.^#)
「あなたは本当に専門家ですか?
僕はプロフェッショナルですが、この事をブログに書きますよ!
あなたはSONYの看板を背負っているんですからね!!
・・・・・
あなたは自社の現像ソフトなら出来ると言いました。
しかし貴社のカメラを買ったら無料で使用出来る「Capture One」も、
また「Light Room」も全て変換出来る機能はついています。
だからアマチュアは間違えるんです。
しかしプロはそんな間違いはしません。
ましてあなたはSONYの方で、その質問に正しい回答をしなければいけない立場の方です。
そうでしょ?
・・・・・
だからもう一度尋ねます。
僕はあなたの回答をブログに書きますから。
SONYは自社の現像ソフトを使えば出来る。
そう書いても良いんですね?」
僕はそう詰め寄りました。
「ちょ…ちょっとお待ち下さいませんか?」
すると彼の自信満々の態度が豹変して、それから待つ事約5分間。
そして・・・
「申し訳ありません!間違えました!!
当社もNikonさんと同じです。出来ません!!」
僕の予想通りでした。
「あなたの様な方がしっかりされないと、これからSONYがどんなに素晴らしいカメラを作っても、
所詮は家電メーカーのカメラに過ぎない!そう言われてしまうんです。
僕は貴社のカメラを一押ししているんですから、あなたも高い意識を持たれて下さい!
お願いします!!」
そう言って電話を切りました。
・・・・・・・
残念ながら、今回の電話の応対に関して言えば、
Canonが遥かに上でした。
このブログはSONYの方もご覧になるでしょうから、あえてここに書かせて頂きます。
・・・・・・
またこれでお分かりでしょうが、
たとえRAWデータで撮影されても、
sRGBで撮った色空間をAdobeRGBに変換する事は不可能です。
少なくとも今現在のカメラでは出来ません。


さて最後に今日撮影した青い池をご覧下さい。


「雪降る青い池」北海道美瑛町

また丘に当たる朝日をとうぞ


「秋の朝日」北海道美瑛町

どちらもSONYのフルサイズセンサーカメラとしてはスタンダード機になるSONY α7IIで撮影しました。
僕が撮るなら、最高級機のα7R2と比較して、
一瞬どちらで撮ったか分からなくなる時があります。
多くの方にはこの機種で十分でしょう。
とても良く出来たカメラだと思います。
(#^.^#)
ケント白石
北海道を世界に売り込む侍写真家
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Tel:0166-92-5137
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