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国連 気温上昇の抑制目標「実現できない」10月31日 0時21分
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地球温暖化対策の新たな枠組みを目指して、世界のおよそ150か国が提出した温室効果ガスの排出量の削減目標について、国連の事務局は、試算の結果、世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えるという目標を実現できないとする報告書をまとめました。
これは、来月30日から始まる温暖化対策を話し合う国連の会議「COP21」が始まるのを前に、国連の事務局が発表したもので、世界のおよそ150か国が提出した温室効果ガスの削減目標を基に今後の世界全体の排出量を試算しました。その結果、温室効果ガスのうち、二酸化炭素の排出量は、各国が6年前の「COP15」で合意した、世界の平均気温の上昇を産業革命の前と比べて2度未満に抑えるという目標を実現できないことが分かりました。
具体的には、目標で示された水準よりも、排出量が2025年の時点でおよそ90億トン、2030年の時点で、およそ150億トン上回るとしています。ただ、各国が温室効果ガスの排出の削減目標を掲げたことで、何も対策をとらない場合に比べると、2030年の時点で40億トンの削減となり、遅くとも2030年をピークに世界の排出が減少に転じるとしています。
ドイツのベルリンで記者会見した国連の気候変動枠組条約のフィゲレス事務局長は「各国が削減目標を達成すれば2度7分の上昇に抑えられる。最初のすばらしい一歩だが、十分ではない」と述べています。
COP21で合意を目指す新たな枠組みでは、各国の削減目標を高めるため目標を5年ごとに検証する仕組みづくりや化石燃料に頼らない経済の実現に向けた取り組みが重要だと強調しました。
具体的には、目標で示された水準よりも、排出量が2025年の時点でおよそ90億トン、2030年の時点で、およそ150億トン上回るとしています。ただ、各国が温室効果ガスの排出の削減目標を掲げたことで、何も対策をとらない場合に比べると、2030年の時点で40億トンの削減となり、遅くとも2030年をピークに世界の排出が減少に転じるとしています。
ドイツのベルリンで記者会見した国連の気候変動枠組条約のフィゲレス事務局長は「各国が削減目標を達成すれば2度7分の上昇に抑えられる。最初のすばらしい一歩だが、十分ではない」と述べています。
COP21で合意を目指す新たな枠組みでは、各国の削減目標を高めるため目標を5年ごとに検証する仕組みづくりや化石燃料に頼らない経済の実現に向けた取り組みが重要だと強調しました。
国立環境研究所 3.3度上昇と試算
各国の削減目標を巡っては複数の大学や研究機関が将来の気温の上昇にどの程度影響するのかを試算し、結果を発表しています。その一つ、日本の国立環境研究所は民間のシンクタンクと共同で、150余りの国が提出した削減目標を基に今世紀末の気温上昇を独自に試算しました。それによりますと各国が目標を達成しても目標の期間が終了する2030年以降にさらなる対策をとらなければ今世紀末には産業革命前と比べて3.3度、削減目標による対策を全く行わない場合は4度、気温が上昇すると試算しています。このため、各国が提出した削減目標は一定程度、評価できるものの、2度未満の上昇に抑えるという国際的な目標の達成には不十分だと指摘しています。
「各国の削減継続が重要」
国連の事務局が発表した試算について国立環境研究所の亀山康子室長は「気温上昇を2度未満に抑える目標には届かなかったが、各国が削減目標を達成すればこれまで増加が予想されていた排出量の伸びが緩やかになり、減少に転じると予測されたことは非常に大きな一歩だ」と評価しています。そのうえで、「各国が排出削減をどれだけ継続できるかで気温の上昇が変わってくるので今後は各国の削減をチェックする手続きが非常に重要になる。ひとつき後のCOP21でも重要な争点になる」と指摘しています。