今回から、部下対応に関する具体的な「コツ」を記していきたいと思います。
これらは、「人の上に立ったときにどうするべきか」に関するものですが・・・、私も他の多くの方と同じく、うまくいかないことだらけで随分と思い悩みました。
自分で考え、本を読み、いろんな人から教えてもらったりして、何年間も試行錯誤を重ねながら、自分なりに思い至ったものであります。
今現在は、これらは「有効」だと自負していますが、時間が経つと、私自身、考えが変わるかもしれません。そして、恥ずかしながら、私自身が全てを実行してこれたものでもありません。
そういう意味でも、決して完成された「コツ」ではありませんが、ただ、どんな人でも「人の上に立ったとき」には、必ず思い悩むものであり、管理職や上司と言われる立場でなくても、例えば入社2年目に新入社員の教育係を任される場合でも、必ず壁にぶち当たることがあります。
その際に、少しでもヒントになればとの思いから、記していきたいと思っています。
なお、「上司」という言葉は原則「管理職」を示すものとご理解ください。そして、「上から目線」の表現を多用すると思いますが、ご容赦ください。
前置きが長くなりました。
前記事において、上司に求められるスキルは「適切な指示を出し確認するためのスキル」と、「指示事項を部下に実行させられるスキル」になる、そして悩みの根っこは後者にあると述べました。
b-zone-salariedman.hatenablog.com
後者の「指示事項を部下に実行させられるスキル」は、他者に働きかける外的な能力と考えますが、これを大別すると、部下に
・実行してもらえるように指示を出すこと
・実行してもらえる能力を身につけてもらうこと
・実行しようという気持ちになってもらうこと
だと思っています。
そして、その大前提として、
・上司としての部下対応の心構えを持つ
・部下のことを把握する
ことを挙げたいと思います。
まず、「上司としての部下対応の心構え」ですが、
・上司とは、部下から疎まれ嫌われる存在であることを自覚し、それに耐えること
が、スタートと心得るべきです。
一人の人間として、実に寂しいことですが、これを自覚出来ない人は、残念ながら上司失格だと思います。
そして、それ以上に本人のハートが傷つく可能性が高いと思っているのです。
もちろん、わざと嫌われたり、疎まれたりする行動を取りなさい、と言う意味ではありません。
どんな行動を取ったとしても、部下の中から、あなたのことを嫌ったり、疎ましく思う人が、一人や二人は出てくるもの、との気持ちを持つことが必要だと言いたいのです。
一人の上司に対して、複数の部下がいます。
当然ですが、部下の数だけ人生があり、価値観があります。
あなたの仕事の進め方を、喜んで受け入れる部下がいれば、全面的に拒否する部下もいるのです。
10人中9人が受け入れても、1人が徹底的に拒否するような場合、結果として、あなたのを嫌いになることは十分ありえます。
また、部下を尊重し、必要な配慮をするのは大切なこと、というか、それ以前に人として当たり前のことです。
ただし、自分が嫌われたくないから、という理由で部下に”おもねる”ことは、やがて、上司が本来なすべきことを放棄し、組織を腐らせることになります。
自分のみならず、部下をも不幸にしていきかねないことなのです。
それと、これもつらい話ですが、
部下との関係で感じる一体感は、その半分以上はただの幻想に過ぎない
と思っていたほうが良いです。
あなたに笑顔で応え、指示に従い、一生懸命仕事をし、何かと世話をしてくれるのは、あなたが会社で上司だから、なのです。
全てがあなた個人の力によるものではないのですね。
もし、あなたに今の立場や役職、そして、社内における今後がなければ、向けられる笑顔は、残念ながら半分以下に減るもの、時に感じる一体感も単なるまやかしに過ぎない、くらいに思っておくべきでしょう。
部下との心理的なかかわり方は、上司の性格や組織・部門の特徴で変わってくると思います。
それでも、自分の中では決して「部下に対して甘い幻想は持たない」という覚悟が必要です。
それが、あなたの「ハートを守る」最大の防具なのですから。