駒崎弘樹さんが炎上している

駒崎弘樹さんが炎上している。発端は、私も賛同人の一人として名前を連ねている「ひとり親を救え!プロジェクト」だ。

これは、ひとり親世帯に支給される「児童扶養手当」の増額を求めるネット署名のキャンペーンなのだが、これに対して「母子家庭」に育った、いわば当事者の一人である評論家・常見陽平さんが意見を投げかけた。

「ひとり親を救え!プロジェクト」を端に発した常見氏と駒崎氏の論争まとめ
http://togetter.com/li/891659

ここからお二人の議論は白熱していき、双方がこの問題について自身のブログにて見解を述べ合った。

陽平ドットコム~試みの水平線~
「ひとり親家庭は応援するが、『ひとり親を救え!プロジェクト』を応援しないことにした」
http://www.yo-hey.com/archives/55400784.html

駒崎弘樹BLOG
「『ひとり親の貧困が問題だ』→『貧困じゃない人もいる。失礼だ』という論法の生み出すもの
http://www.komazaki.net/activity/2015/10/004715.html

しかし、このお二人のやりとりを有意義な議論とは見なさず、ただの不毛なケンカであると捉える方も少なからずおり、周囲も巻き込んでヒートアップしていった。

おおたとしまさオフィシャルブログ
「ひとり親支援キャンペーンの件について」
http://ameblo.jp/toshimasaota/entry-12089743278.html

中川淳一郎 おはよウサギ!
「常見・駒崎の『ひとり親』騒動 こりゃ噛み合うわけねぇよ、という話だぞ」
http://jnakagawa.blog.jp/archives/1043826171.html

さて、経緯の説明はここまでにして、私の見解に移りたい。この件に関する私の考えは、以下に引用する中川氏の指摘とほぼ同様である。

【駒崎氏は単に「貴重な御意見ありがとうございます。人は色々な考えがありますね」だけで軽くいなせば良かった。正直「ちっ、うっせーな」だけで済ませてもいいのである。理由は、同氏が信念を持ってやっていることなのだから。】

【最初の対応としては論破するのではなく、「貴重な御意見ありがとう」で、さらに意見を言われてウザいと感じたのであれば、あとはブロックしても良かったんじゃないのかな。こんなことを書くと「事なかれ主義」と言われるかもしれないけど、ノイズをスルーすることこそ、駒崎氏が言うところの「問題解決」を早めるんじゃないの?】

なので、友人でもある駒崎さんには、当初から「ムダな争いは避けたほうがいい」と進言してきた。ところが、彼からの返答は私の考えの斜め上を行くものだった。

「こうして議論が盛り上がれば、このキャンペーンがより多くの人に届くと思うんです」

つまり、彼には当初から“人柱”になる覚悟があったのだ。もちろん、彼にだって常見さんが指摘されることの意味はよくわかっている。たしかに配慮に欠ける部分があったことも理解しており、それを申し訳なくも思っている。

中川さんがご指摘の通り、常見さんのご意見に対して、初めから「貴重なご意見をありがとうございました」と穏便に済ませておけば、ここまで彼が炎上することもなかったであろうし、もっと言えば「紳士的な対応ができる人だ」と彼自身の評価を上げることにもなっただろう。

だが、駒崎さんはそんなこともすべて理解した上で、みずからが炎上する選択をした。そのことで、このキャンペーンが、貧困に苦しむひとり親家庭の窮状が、ひとりでも多くの人に伝わることを選んだのだ。

「駒崎さんの言っていることは正論だけど、ちょっと言葉が強すぎ」
「プロジェクトの趣旨には賛同するけど、ちょっと上から目線に感じる」

ここ数日、こうした言葉がネット上に散見された。それらの言葉を目にするたび、私は胸の奥をぎゅっとつかまれたような苦しさを覚えていた。

「違う、違うんだよ……」

何度、画面の前で叫びたくなる衝動に駆られたことか。

しかし、結局は私の感情などよりも駒崎さんの慧眼が優っていたということになるのかもしれない。現実として、この論争がおおた氏や中川氏のような方を巻き込み、それによってこのキャンペーンがネット上で多くの人の目に触れることとなり、そしてつい先ほど、このキャンペーンのオンライン署名は、当初の目標である3万人を突破した。

彼が不器用で、言葉が強く、誤解を招いてしまうタイプであることは、友人である私から見ても否定できない事実だ。しかし、彼が社会の不条理に対して心から憤り、その改善に向けて自分の損得も考えずに突き進むことのできる人であることも付け加えさせていただきたい。たとえみずからの評価を下げることになっても、社会がわずかでも良くなることを優先する人間だということを。

こんな“ネタばらし”を彼が望んでいるとは、到底思えない。むしろ、「勝手なことを書かないでください」とあとで叱られるかもしれない。でも、四方から石を投げられる彼を見て、どうしても書かざるを得なかった。駒崎弘樹という人間の本質を、少しでもみなさんに知っていただきたかった。