書店の英語の本コーナーに行くと、常に新しい本が出ている。
こんなに英語本の繁栄が廃れないのは、リピーターが多いからだ。
つまり「習得した!」状態まで行く人が少なく、ほとんどの人は常に「もっといい英語の本ないかな〜」状態をさまようのだ。
「こうすれば話せるようになる」という本はいっぱいある。
しかし、なんでそこまで行きつかないのだろう。
私の英語学習、苦節12年の経験から考えてみた。
まず、日本人は英語の読み書きはたいてい得意。
できなくても、少し勉強したらある程度のレベルまで行く。
しかし、そこから「話せる」状態になるまでの壁がすご〜く高くそびえ立つ。
私は12年前に勉強を始め、TOEIC650点から3年で900点台になった。
留学経験ゼロなので結構真剣に勉強した。
「よし、これで話せるはず!」
と意気込んだが、そこからが相当長かった。
まず何言っているか聞こえない。
世間の人はTOEICみたいにきれいに話してくれないのだ!
そして、英語を話そうにも口から出てこない。
単語も無駄なほど知ってるし、書いたら文章をかけるのに!
悩んで、英語学習のために外資系に入社したが、会社はほとんどが日本人。
こんなはずじゃ・・・と思いつつ勉強を続け、2年で転職。
こんどこそ、本物の外資系へ!
外国人がうじゃうじゃいる会社へ。話せないのに。
書いたような英語を日本人発音して英語面接を突破。
「そんなにうまくないから職種に対してスペックが高すぎない」という理由で採用される(笑)
初日が始まる前夜は「おつかれさまでした」って何ていうんだろう、とか気になって眠れなかった。
新聞は読めるのに、普通の簡単な会話はできないのだ。
そこから冷や汗の経験をいくつも積む。
まず会社のPC環境が英語、ワードもエクセルも英語なので今までできていたことができなくなった。
「名前をつけて保存」は「save as」って言うのね・・・、と1個ずつ覚えていく。
会議も英語、メールも英語、上司も外人。
「今日の会議で意味がさっぱりわからなかったらどうしよう・・・なんか聞かれた時、トンチンカンなことを言ってしまったら・・・」と毎日恐怖。
上司に何か頼まれるけど、よく聞き取れないことがしょっちゅう。
ナゾナゾのようにわかったところ(ヒント)から推測して仕上げて出す。
あ〜、心臓に悪い。
気をぬくと海外から電話がかかってくる。
電話の英語はますます難易度が高い。
こりゃマズイと思った時は「音質が悪いからメールにして」と言って逃げる。
そんなこんなで3年ぐらいは冷や汗の毎日。
相変わらず、なんで自分は話せないんだろうと悩んでいた。
しかし、段々、大して話せなくても仕事ができる技を身につけ始めた。
最低限の単語とフレーズで、ほとんどのコミュニケーションを成立させるのだ!
そっちかよ!(笑)
それとともに、英語がこわくなくなってきた。
しょぼい英語でなんとかできるもん!
という自信。
「私、話せるな」
と、ある日思った。
そこまで来るのに最低7年。
すご〜く高い壁だった。
振り返ってみると、もっと効率的な勉強方法がいくらでもあった。
ひとまず、使わない単語なんて覚えなくていい。
単語や文法は基本的なことだけでいい。
考えなくても口から出てくるフレーズをある程度つくる。
自分がよく使う言葉がいい。
考えないと出てこないフレーズなんて会話では使えない。
あとはそれらを組み合わせて使う方法を学ぶ。それは実践。
こういうシチュエーションの時は、このフレーズが使えるというのを1個ずつ増やしていく。
スポーツと同じで、知識だけでは話せないの壁を越えられない。
体で覚える。
英語を話すのはスポーツと同じ、というのが私の実感である。
自分がシャイだから話せないんだ、と悩んだ時代もあったけど、全くそういうことではなかった。
とにかく、頭で考える前に口から出る状態まで体に覚えさせること。
それが私が考える、壁の突破方法だ。
どんなにしょぼくても英語が使えるようになったので、旅行に行っても現地のオプショナルツアーに英語で申し込んで外国人に紛れて一人で参加することができた。
海外のサイトから物を購入したり、海外ニュースを読んだりと、自由が格段に広がった。
勉強してよかった。
目下の悩みは、しょぼい英語でなんとかなっているので、しょぼくないようにするモチベーションがなかなか沸かないところ。
上手な人をみると、素敵だな〜、とウットリする。
もうちょっとがんばって、ウットリまではいかなくてもしょぼくないレベルになりたい。