クマムシの足、実は循環器か 京都の高校生の仮説脚光
過酷な環境でも生き延びる微生物「クマムシ」を研究する木津高(京都府木津市)の科学部が、脚光を浴びている。足の役割は移動機能ではないとの仮説を立てているからだ。顕微鏡のみで観察を続け、学会の高校生部門で2位に当たる最優秀賞を獲得した。
クマムシは体長0・1~1ミリほどの緩歩動物で4対8本の足を持つ。周囲が乾燥すると縮んで休眠し、水分が戻ると活動を再開する特徴がある。高温、低温、高圧でも生き延びる。
科学部は6年前に研究を始めた。足の爪が1対だけ逆を向き、移動には不便なため、足には循環器など別の役目があると仮説を立て、実験や観察をしている。
2年北澤美天(みそら)さん(17)=京都府宇治市小倉=が今年に入って、クマムシの休眠前後の比率(収縮率)を測定し始めた。その結果、収縮率が一定の比率にあるときに生存する傾向があり、足を意図的に収縮させて計画的に水分を出していると推測した。
東京都内で8月にあった日本進化学会の高校生部門で、審査の研究者が高く評価し、全国33件の研究のうち最優秀賞に選ばれた。その後も、京都大で研究発表したり、研究者との対談が計画されたりと注目を集めている。
顕微鏡しか設備がないなか、北澤さんは日々、コケにいるクマムシを探しては、乾燥前後の長さを測っている。「調べる数を増やせば説得力が増す」と意気込んでいる。
31日午後にけいはんなプラザ(京都府精華町光台)で開かれる「まほろば・けいはんなSSHサイエンスフェスティバル」で研究成果を発表する。
【 2015年10月30日 09時26分 】