世界中の「ヤバい場所」を巡る異色の旅番組『クレイジージャーニー』(TBS系)。いま最もトガッていると言われるこの番組の人気リポーター・丸山ゴンザレスが、番組では明かせなかった旅の裏側を全部明かします!今回の舞台は4月に放送された、ルーマニア・マンホールシティー。もう一つの「クレイジージャーニー」をお楽しみください。
「ブルース・リー」が逮捕された!
――ブルース・リー逮捕
2015年7月のある日、twitterのフォロワーが私に教えてくれた。
ブルース・リーといっても、映画スターのほうではない。
ルーマニアの首都ブカレスト在住。太ももに「下水道の王」とタトゥーを入れた40代の男のことである。本名は知らないが、この男に話を聞くために、ルーマニアへと飛び、彼の住処にお邪魔(取材)させてもらったことがある。
TBSの『クレイジージャーニー』という深夜番組をご覧いただいた人ならば、ブルース・リーの奇異なファッションや、彼の住処であるマンホールの異様な雰囲気も伝わるだろう。
しかし、未見の方にはまったく想像のつかない世界かもしれない。それほど特異な場所であった。なぜこんなところに住んでいるのか。そこに注目が集まるのは当然だし、私もそのことを伝えたいと思っていた。
だが、その一方で映像だけでは伝えきれない部分もあった。たとえば、いったいなぜ私がルーマニアに興味を持ったのか。『クレイジージャーニー』の取材の裏では何が起きていたのか。その取材が終わったあとに、何が起きたのか。
それを知っていただくことで、番組がより立体的に面白くなるかもしれない。そんなエピソードなどをお伝えしたい。
なぜマンホールに人が住むのか
かつてルーマニアは、ニコラ・チャウシェスクが独裁支配していた共産国家だった。しかし、ソ連解体の余波で1989年に革命が起きて独裁政権は崩壊。独裁者とその妻は処刑された。
国政は民主化したが、様々な問題が吹き出した。そのひとつが、チャウシェスクが推し進めていた「堕胎禁止」=人口増加政策によって生み出された多くの子供達だった。その数は正確には把握されておらず、首都ブカレストの路上には生活苦から捨てられた子供、施設から脱走した子供などがあふれた。
東欧の冬は厳しい。寒さから身を守り、生き残るために子供たちはマンホールの中に居場所を求めた。地上よりも地下のほうが暖かく暮らしていけるからだ。
革命から20年以上の歳月が流れたものの、マンホールで暮らす人々はいまだ残っている。そんな集団を束ねているのが「ブルース・リー」なのだ。もちろん自称で、彼はれっきとしたルーマニア人である。
世界的にも類を見ないこの場所にかねてから注目していた私は、2015年が明けて間もない時期、ルーマニアの首都のブカレストを訪れていた。
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