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【群馬】

「虐待疑いに強制的対応も」 玉村・3歳児死亡で検証委

子どもの命を最優先にし、児相などの対応改善を求める渡辺部会長(中央)=県庁で

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 玉村町で昨年8月、母親が三男=当時(3つ)=を押し倒して死亡させた事件で、児童相談所や町の対応を調べていた検証委員会は29日、再発防止に向けた提言を盛り込んだ報告書をまとめ、県に提出した。虐待の重症度や緊急性の高い「ハイリスク家庭」を見極めて複数職員で継続的に検証するよう提言。子どもの命を最優先に考え、親元から子を引き離す一時保護や、出頭要求など強制的な対応を積極的に行うよう求めた。 (川田篤志)

 報告書では、児相は保護者との関係性に配慮し過ぎる余り、介入や保護の機会を逸してしまう場合があると指摘。子どもの安全が確認できない場合は、一時保護や警察への情報提供などをためらわず、出頭要求や立ち入り調査など強制的な対応も行うよう求めた。

 虐待には命の危険が差し迫った重度のものから外傷が残らない程度の暴力まで幅がある。提言では、重症度や緊急性のレベルを把握し、ハイリスク家庭には組織全体で継続的に検証するべきだとした。

 県によると、県中央児童相談所では今回の事件を受け、ハイリスク家庭かどうかを見極める判断基準を明確化した。「保護者が児相などの家庭訪問を拒否している」「子どもが保育所や幼稚園を連絡なく休んでいる」「経済的困窮が著しい」など十二項目あり、このうち二項目以上当てはまるとハイリスクと認定する。県はこの基準を参考に、県内にある残り二カ所の児相の対応策も検討する。

 ほかにも軽度のケースは市町村主体で対応していくなど児相との役割分担を明確にするよう求めた。虐待対応のための国や県のマニュアルの習得が徹底されるよう児相職員の研修体系に組み込むなど職員のスキルを上げる必要性も説いた。

 この日県庁で会見した渡辺敏正部会長=関東短期大学長=は「子どもの命を守ることを最優先にし、二度とこのような事件が起きないようにしてほしい」と訴えた。

 事件は昨年八月に発生。玉村町に住む母親(33)が自宅で三男を床に押し倒して死亡させた。母親は傷害致死などの罪に問われ、五月に前橋地裁で懲役七年の判決が出て、確定した。昨年十月から、大学教授ら第三者の委員五人でつくる検証委が児相などの対応の問題点を分析していた。

 報告書では、児相は昨年四〜六月、三男のあざを三回確認しながら、母親に聴取しなかったなどと対応の不十分さを認めた。保育所からアザの連絡を受けた町も、虐待を疑いながら「虐待ではない」とした児相の判断に異を唱えなかったとした。

 

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