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【政治】

1億総活躍会議が初会合 労働側メンバー不在

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 政府は二十九日、安倍晋三首相が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けた施策を検討する国民会議の初会合を首相官邸で開いた。経済界や学界などから選ばれた民間の有識者と関係閣僚計約三十人が出席。経済成長につながる働き手の確保や生産性の高め方などを議論する方針だが、労働界から入ったメンバーはおらず、経営側の意向に沿って議論が進む懸念を抱えた船出となった。 (我那覇圭)

 議長の首相は初会合で、(1)国内総生産(GDP)六百兆円(2)希望出生率一・八(3)介護離職ゼロ−の目標達成に向け「省庁の枠組みを超え、従来の発想にとらわれない対策、新たな案をまとめていただきたい」と要請した。国民会議は十一月末に第一弾となる緊急対策をまとめる。来春に中長期のロードマップ(工程表)を盛り込んだ「日本一億総活躍プラン」を定める。

 会議ではメンバーから就労支援や雇用確保のあり方に意見が及んだ。会議後、榊原定征経団連会長は「強い経済をつくることが最優先解題。出生率向上については長時間労働の是正が喫緊の課題」と記者団に話した。菊池桃子戸板女子短大客員教授は「子育てからもう一度仕事を始めるときに何が壁になっているかを話した」と明らかにした。

 高橋進日本総研理事長は「個々の人たちを支える政策を打ち出し、同時に働き方改革も一緒に進める国民運動にすべきだ」。増田寛也東京大大学院客員教授は「若い人たちの無業者、働く場を失ってしまったような人たちを引き上げるような取り組みを」と求めた。

 多彩な人材がそろったにもかかわらず、会議には労働側のメンバーはいない。加藤勝信一億総活躍担当相は会議後の記者会見で、労働者の視点をどう反映させるかについて「労働の実態に精通している方々が何人もいるので働く視点に立った話は聞ける」と述べた。

 安倍政権はこれまでも規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)など労働側不在の会議で雇用制度の見直しを進めてきた。「一生派遣になる」と批判が根強い改正派遣法は先の通常国会で成立、九月末に施行された。労働時間規制を外す「残業代ゼロ」制度の創設を盛り込んだ労働基準法改正案も国会に提出した。

 

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