千葉雄高
2015年10月29日20時42分
広島や長崎に投下された原爆で被爆した17人が、原爆症と認められないのは不当だとして、国に認定するよう求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。増田稔裁判長は全員を原爆症と認定。申請を却下した国の処分を取り消した。
国は2013年12月、「救済範囲を広げる」として新たな認定基準を設けた。17人は新基準でも原爆症と認められなかった。新基準で不認定だった被爆者を原爆症と認める司法判断は、大阪、熊本などで相次いでおり、今回で7例目。
判決は、国の認定基準について「一つの目安だが、残留放射線の影響や感受性の個人差なども考慮しなければならない」と指摘。基準外であっても、「個々の事情で、放射線が原因の疾病と認められる場合もある」と述べた。
そのうえで、爆心地から3・5キロで被爆して心筋梗塞(こうそく)を患った男性や、原爆投下の5日後に広島市に入って咽頭(いんとう)がんになった男性などを、いずれも「放射線が原因」と判断。17人のうち男性1人については、申請した疾病の一部を認めた。
判決などによると、17人は0~24歳で被爆。がん、狭心症、甲状腺機能低下症などを患い、原爆症の認定を申請した。だが爆心地からの距離や、原爆投下後に広島や長崎に入ったことなどから放射線が原因と認められず、いずれも申請が却下されていた。
厚労省は「判決を精査し、関係省庁と協議して今後の対応を決める」との談話を出した。(千葉雄高)
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朝日新聞社会部
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